モーイ親方 嫁釣り(シマグチ)

概要

それは成人してからのことでしょうね。縁談の話があったでしょう。嫁にもらう娘は、偉い人の娘だったそうだ。それで同級生が、「あなたの婚約者はあのモーイってね、あなたは馬鹿の妻になるの。」と、皆に苛められて、笑われたそうだ。それで家に帰って来て、「私はモーイの妻にはならないよ、お父さん。」と言った。「そうはいっても、ちゃんと婚約者ということで、約束してあるのに、どうすることもできないよ。」と言われた。「いやだ、私はモーイの妻になるくらいだったら、死んだ方がいい。」と、娘は外には出なくなってしまったって。それからまた、モーイの友達が、「おい、お前の妻になる人は誰か、本当かどうか見せなさい。」と言ったら、「うん、見せるよ。」と。しかしもうその娘は閉じ籠っているのだから、誰がも外には出せないさあ。そこで、モーイは知恵を出したそうである。モーイは闘鶏を持って行って、娘の屋敷に放し、「ああどうしよう、私の闘鶏よ。」と、泣いたから、「何ごとか。」と、その娘は飛び出て来たらしい。娘は「ええ、あのような馬鹿なのに、私をあんな奴の妻にするの、お父さん。私は絶対に嫁にはいかないよ。」と言った。するともう、「そうだね。」と、「これはこれほどの者だったのか、噂通りの奴だな。」と父親も考えた。それから夫婦でモーイの家に破談を願いに行った。「娘が結婚することはできないと言っているから、あなた達も別に考えて下さい。」と言ったので、モーイの親はもう自分の子が馬鹿者だということは分かっているのだから、「学校へ行かせば田の畦道から遊び歩いているし。勉強しなさいと言ったら、床下に籠っているのだから。なるほどもう、こいつがは良い所の婿にはなれないさ。」とモーイの親も納得し、断りを受け入れた。そしたら家に帰って来たモーイは親に、「私はあそことの縁談は断られたのか。」と聞いたら、「断ったよ。断られたよ。お前がこのように馬鹿になって歩くからだよ。」と言ったようだね。するとモーイは知恵を出して、「これはまたどうにかして考えを出さなければいけない。」と思った。今度は、娘の家の門には鳥居がついていたそうだが。そこに座っていたって、魚を釣る釣針を持って行って。そうして釣針を持って、そこの父親が勤めに出て行かれるのを待ち受けていた。昔は欹髻(カタカシラ)を結っているでしょう。カンプーをね。その欹髻に釣針を引っ掛けたら、自分で釣針を外すことができない娘の父親は、「モーイ、お前はどうしてこんなことをするのか。それを外してくれ。」と言った。「だったらね、結んである縁がも外せますか。掛けてある釣針はすぐに外すことはできませんよ。」と返事したそうだ。「どうしてそう言うのか。」と言ったら、「だったら、貴方の娘を私の嫁にするといって、ちゃんと縁組もしたのに貴方達は断ったそうじゃないですか。自分で外して下さい。かけてある釣針は外せませんよ。」と。「分かった、モーイよ、私が悪かった。私達の娘は嫁にやるから、外しておくれ、モーイ。」と言った。「言った言葉は忘れないで下さいよ。」と。「言葉は朽ちないよ、腐れないよ、お父さん。」と言ったようだね。「うん、お前が言うのを聞くから、ちゃんと外してくれ。」と。髪型を乱すことなく、その釣針をきれいに外したって。「覚えていて下さいよ。」と言ったようだね。それで、父親は出て行こうとしているのを、家に戻って来て、「このような事で、こいつは馬鹿な真似をしているのだが頭は優れているから、もう元のように縁も結び、娘は嫁にした方が良いのでは。」、「そうですね。」と夫婦で相談した。今度は娘の家からモーイの家に行き、「りっぱな婿ですから、うちの婿に下さい。娘を嫁にして下さい。」という話があったとか…。その話は私のお父さんから聞いた。

再生時間:4:06

民話詳細DATA

レコード番号 47O374246
CD番号 47O37C184
決定題名 モーイ親方 嫁釣り(シマグチ)
話者がつけた題名
話者名 砂辺光
話者名かな すなべみつ
生年月日 19120805
性別
出身地 沖縄県具志川市
記録日 19761219
記録者の所属組織 読谷村民話調査団
元テープ番号 読谷村大木T02A09
元テープ管理者 読谷村立歴史民俗資料館
分類 笑話
発句(ほっく)
伝承事情 祖母から聞いた。
文字化資料 読谷村民話資料集13 大木・長田・牧原の民話P122
キーワード 縁談,嫁は偉い人の娘,同級生,婚約者,モーイ,馬鹿の妻,娘は閉じ籠った,モーイは知恵を出した,闘鶏,娘の屋敷に放した,夫婦でモーイの家に破談を願いに行った,田の畦道から遊び歩いている,娘の家の門には鳥居,魚を釣る釣針,父親,欹髻,言葉は朽ちない
梗概(こうがい) それは成人してからのことでしょうね。縁談の話があったでしょう。嫁にもらう娘は、偉い人の娘だったそうだ。それで同級生が、「あなたの婚約者はあのモーイってね、あなたは馬鹿の妻になるの。」と、皆に苛められて、笑われたそうだ。それで家に帰って来て、「私はモーイの妻にはならないよ、お父さん。」と言った。「そうはいっても、ちゃんと婚約者ということで、約束してあるのに、どうすることもできないよ。」と言われた。「いやだ、私はモーイの妻になるくらいだったら、死んだ方がいい。」と、娘は外には出なくなってしまったって。それからまた、モーイの友達が、「おい、お前の妻になる人は誰か、本当かどうか見せなさい。」と言ったら、「うん、見せるよ。」と。しかしもうその娘は閉じ籠っているのだから、誰がも外には出せないさあ。そこで、モーイは知恵を出したそうである。モーイは闘鶏を持って行って、娘の屋敷に放し、「ああどうしよう、私の闘鶏よ。」と、泣いたから、「何ごとか。」と、その娘は飛び出て来たらしい。娘は「ええ、あのような馬鹿なのに、私をあんな奴の妻にするの、お父さん。私は絶対に嫁にはいかないよ。」と言った。するともう、「そうだね。」と、「これはこれほどの者だったのか、噂通りの奴だな。」と父親も考えた。それから夫婦でモーイの家に破談を願いに行った。「娘が結婚することはできないと言っているから、あなた達も別に考えて下さい。」と言ったので、モーイの親はもう自分の子が馬鹿者だということは分かっているのだから、「学校へ行かせば田の畦道から遊び歩いているし。勉強しなさいと言ったら、床下に籠っているのだから。なるほどもう、こいつがは良い所の婿にはなれないさ。」とモーイの親も納得し、断りを受け入れた。そしたら家に帰って来たモーイは親に、「私はあそことの縁談は断られたのか。」と聞いたら、「断ったよ。断られたよ。お前がこのように馬鹿になって歩くからだよ。」と言ったようだね。するとモーイは知恵を出して、「これはまたどうにかして考えを出さなければいけない。」と思った。今度は、娘の家の門には鳥居がついていたそうだが。そこに座っていたって、魚を釣る釣針を持って行って。そうして釣針を持って、そこの父親が勤めに出て行かれるのを待ち受けていた。昔は欹髻(カタカシラ)を結っているでしょう。カンプーをね。その欹髻に釣針を引っ掛けたら、自分で釣針を外すことができない娘の父親は、「モーイ、お前はどうしてこんなことをするのか。それを外してくれ。」と言った。「だったらね、結んである縁がも外せますか。掛けてある釣針はすぐに外すことはできませんよ。」と返事したそうだ。「どうしてそう言うのか。」と言ったら、「だったら、貴方の娘を私の嫁にするといって、ちゃんと縁組もしたのに貴方達は断ったそうじゃないですか。自分で外して下さい。かけてある釣針は外せませんよ。」と。「分かった、モーイよ、私が悪かった。私達の娘は嫁にやるから、外しておくれ、モーイ。」と言った。「言った言葉は忘れないで下さいよ。」と。「言葉は朽ちないよ、腐れないよ、お父さん。」と言ったようだね。「うん、お前が言うのを聞くから、ちゃんと外してくれ。」と。髪型を乱すことなく、その釣針をきれいに外したって。「覚えていて下さいよ。」と言ったようだね。それで、父親は出て行こうとしているのを、家に戻って来て、「このような事で、こいつは馬鹿な真似をしているのだが頭は優れているから、もう元のように縁も結び、娘は嫁にした方が良いのでは。」、「そうですね。」と夫婦で相談した。今度は娘の家からモーイの家に行き、「りっぱな婿ですから、うちの婿に下さい。娘を嫁にして下さい。」という話があったとか…。その話は私のお父さんから聞いた。
全体の記録時間数 4:06
物語の時間数 4:06
言語識別 方言
音源の質
テープ番号
予備項目1

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