昔、お祖父さん、お祖母さん達から聞いた話です。昔、兄妹がいらっしゃったそうですが。父親はこの首里の御城の何という按司だったのかは分かりませんがね。ある戦でこの按司は滅ぼされてしまったそうです。戦に滅ぼされてしまったから。もう兄は首里で育って、妹はヤカー〔守り役〕に、国頭に連れて行ってもらった。国頭まで連れて行って、妹は育ててもらうことにした。そこで妹は無事に育ち、十八歳になり大変美人になった。その時、兄は妹より二歳上だったから二十歳になっていたようだね。そして兄は、首里の御城勤めから山原に勤めに行くようになったのだが、自分の妹だということは知らず、このような山原の田舎に、こんな美しい女性もいるものかど思っていた。自分の妹であるのだが、そうとは知らずにたいそう望んでいた。もう大変望んで、どうしても妻にして首里に連れて行かねばならないと思っていた。お爺さんに、「妻にさせて下さい。」と願ったのだが、お爺さんは首里の御城から連れて来た娘を「あなたの妹ですよ。」と言いたいのだが、どうしても言えない。お爺さんはもう大変悩んでいた。兄がは望んでいるのだから。それで花笠踊りというのは、ちょうどこれから出たらしい。『花笠造(ちゅく)やい 面顔(うむかお)隠(かく)ちょてぃ〈花笠を造って 面顔を隠し聴取 梅(うみ)ぬ匂い ヤーレ〈梅の匂いだよ ヤーレ聴取 ヨイシヨイシトゥ カタミティヨイシ』これ歌です、歌。このように、兄は娘が妹だとは分からずに歌まで作って望んでいるのだが、おじいさんは妻にはさせてくれなかった。もうこれはどうしても田舎勤めを終わったら、私は妻にする、首里からは絶対に妻は捜さないと兄は思っていた。それから妹を連れて行こうとしたら、お爺さんが、ヤカーのお爺さんが口説を詠んだ。「もうあなた達が小さい時に父親は亡くなられて、貴方は首里に育ち、妹は私が田舎下りし、そこで草刈りをして私が育てたのですよ。貴方の妹ですよ。」と言ったそうだ。もう仕方がない、それは按司なのだから妻にする訳にはいかないと、兄は諦めて首里に上って行った。また、妹も一緒に首里に連れて行き、そこで良い夫も持たせたという話。
| レコード番号 | 47O374227 |
|---|---|
| CD番号 | 47O37C184 |
| 決定題名 | 首里坂下の恋物語(シマグチ) |
| 話者がつけた題名 | - |
| 話者名 | 比嘉静 |
| 話者名かな | ひがしず |
| 生年月日 | 19151017 |
| 性別 | 女 |
| 出身地 | 沖縄県嘉手納町屋良 |
| 記録日 | 19761219 |
| 記録者の所属組織 | 読谷村民話調査団 |
| 元テープ番号 | 読谷村大木T01B05 |
| 元テープ管理者 | 読谷村立歴史民俗資料館 |
| 分類 | 本格昔話 |
| 発句(ほっく) | - |
| 伝承事情 | - |
| 文字化資料 | 読谷村民話資料集13 大木・長田・牧原の民話P44 |
| キーワード | 兄妹,父親,首里の御城の按司,戦,按司は滅ぼさた,兄は首里で育った,妹は国頭に,大変美人,兄は妹より二歳上,山原に勤め,妻,ヤカーのお爺さん |
| 梗概(こうがい) | 昔、お祖父さん、お祖母さん達から聞いた話です。昔、兄妹がいらっしゃったそうですが。父親はこの首里の御城の何という按司だったのかは分かりませんがね。ある戦でこの按司は滅ぼされてしまったそうです。戦に滅ぼされてしまったから。もう兄は首里で育って、妹はヤカー〔守り役〕に、国頭に連れて行ってもらった。国頭まで連れて行って、妹は育ててもらうことにした。そこで妹は無事に育ち、十八歳になり大変美人になった。その時、兄は妹より二歳上だったから二十歳になっていたようだね。そして兄は、首里の御城勤めから山原に勤めに行くようになったのだが、自分の妹だということは知らず、このような山原の田舎に、こんな美しい女性もいるものかど思っていた。自分の妹であるのだが、そうとは知らずにたいそう望んでいた。もう大変望んで、どうしても妻にして首里に連れて行かねばならないと思っていた。お爺さんに、「妻にさせて下さい。」と願ったのだが、お爺さんは首里の御城から連れて来た娘を「あなたの妹ですよ。」と言いたいのだが、どうしても言えない。お爺さんはもう大変悩んでいた。兄がは望んでいるのだから。それで花笠踊りというのは、ちょうどこれから出たらしい。『花笠造(ちゅく)やい 面顔(うむかお)隠(かく)ちょてぃ〈花笠を造って 面顔を隠し聴取 梅(うみ)ぬ匂い ヤーレ〈梅の匂いだよ ヤーレ聴取 ヨイシヨイシトゥ カタミティヨイシ』これ歌です、歌。このように、兄は娘が妹だとは分からずに歌まで作って望んでいるのだが、おじいさんは妻にはさせてくれなかった。もうこれはどうしても田舎勤めを終わったら、私は妻にする、首里からは絶対に妻は捜さないと兄は思っていた。それから妹を連れて行こうとしたら、お爺さんが、ヤカーのお爺さんが口説を詠んだ。「もうあなた達が小さい時に父親は亡くなられて、貴方は首里に育ち、妹は私が田舎下りし、そこで草刈りをして私が育てたのですよ。貴方の妹ですよ。」と言ったそうだ。もう仕方がない、それは按司なのだから妻にする訳にはいかないと、兄は諦めて首里に上って行った。また、妹も一緒に首里に連れて行き、そこで良い夫も持たせたという話。 |
| 全体の記録時間数 | 2:45 |
| 物語の時間数 | 2:45 |
| 言語識別 | 方言 |
| 音源の質 | 〇 |
| テープ番号 | - |
| 予備項目1 | - |