大年の客(シマグチ)

概要

大体、中国に本当にあったはずだが、沖縄の人は沖縄にしているでしょう。下男を大勢使っている金持ちと、また年の晩の夕飯も食べることのできないほどの貧乏者がいた。その三家庭の話だけどね。この人は神様なのだが、人間の姿になって、大晦日の晩、その金持ちの家に、「泊めてくれませんか。」と行ったようだ。(そこの主人は)夕飯をもてなして、家を貸さなければならないから、損になるといって貸さなかったようだ。そして、追い払ったようだね。それで、年の晩の夕飯も食べることのできないような大変貧乏者の夫婦の家庭に行き、「泊めてくれませんか。」と言った。(その夫婦は)「実はもう今日は、大晦日であるけれども、私達は夕飯も準備できないほどですよ。夫婦ぐらしの貧乏者です。」(と答えても)「とにかく、寝かせて下されば良いから、泊めて下さい。」(と願うので)「それではお泊まり下さい。」と(言って内に入れた)。それで火御馳走という話があるでしょう。「火にあたって年を越してくださいよ。旅の人。私達ももう食べる物もないので、火にあたって年を越すのです。」と。そうして、火を燃やして暖まっていると、その神様が、人に姿をかえている神様が「ねえ、お前たち、台所から鍋を取ってきて、その火の上にかけなさい。そして、その鍋に水を入れなさい。」と言って(その通りにすると)その人は、神であるから、何かこうして垂らしたようだが、それからすぐ、米が炊けてね、御飯が炊けてね。「はい、はい、この御飯を移して、この鍋にもう一度水を入れて、急いでここの火にかけなさい。」と(神様が)言った。そうしてその神様が、また何かを入れたようだ。今度は、肉がグツグツ煮えて出てきてね、それで夕飯も食べたようだ。そうして、翌朝、「昨夜はありがとう。あなた達のおかげで一緒に御馳走を食べることができて、年を越すことができた。私はこれから旅に出るけど、私が出ないうちに、お前たちの家から、あなた達は何か願い事がないか。」と言ったそうだ。「あなた達は願いがあるんだったら、私に話さないか。」と言った。「私達は、もう金賭けをしようという願いはありません。ただ、夫婦が若くなれたら、もっと働いて、今からでも家をもりあげて、繁盛してみたいなあと思っています。」(と答えると)「ああ、そうか、それでは、大鍋に湯を沸かしなさい。」といってこの人が湯を沸かさせると、またも何かを入れた。「これで、あなた達は交代で浴びなさい。」と言って、(夫婦が)浴びたところ、元の十七、八の姿にもどった。それでおじいさんやおばあさんは、「あー珍しいことだね。」と言って喜んだそうだ。そうしているうちに、「あなた達はもう若くなっているから、一生懸命働いて、裕福になりなさいよ。私はもう行くからと。」それから出て行ったようだ。それで「私達は若くなって、ほんとに嬉しいねぇ。」と言って、隣近所に年始まわりをしに行ったようだね。欲張りのおじいさんの家にも。そこは下男も多く使っていた。若くなった夫婦がきたので、(驚いた主人は)「どうした、お前達は何十年前かの姿になっているが、どうしたのか。」と聞いたところ、「実はゆうべ、旅の人がいらっしゃって、泊めると、夕飯もおいしく食べて湯で浴びると、私達夫婦は元の若い姿になっているんだよ。と言った。「それでその人は、どこへ行ったか。」と(金持ちの欲張りじいさんがきいたので)「どこそこに行ったよ。」と教えた。するとそこへ追っていって、もう来たがらないのを無理に引っぱって連れてきて、「私達はお金は余るほどありますが、年をとりすぎているので、あそこの夫婦が若くなったように私達も若くしてくれ。」と、願った。(神様であるその人は)「それでは、湯を沸かして、交代に全員浴びなさい。」と言った。そして浴びると、全員、下男達までも猿になった。そして、猿になって、キィーキィーと泣きながら山に行ったようだ。猿になっているのだから、山に入って行った。その神様は(貧乏人の所に)また戻っていらっしゃって、「あの家は皆、猿になって家を守ることができないんだからね。財産を管理することができないからもう天の授けものだから、あの家は君達でみなさい。あの家に越しなさい。」と言った。「それでいいのでしょうか。」と夫婦が聞くと、「それは、天の授けものだから。」と神様が言ってくれた。それで、そこに越したら、毎日同じ時間にこの猿がやって来たそうだ。キィーキィー泣いて、物は言わないが。「私達の財産を横取りしている。私達の財産を横取りしている。」と言わんばかりに、もうキィーキィー泣いて毎日のように来たようだ。それで、その夫婦は「あの神様が出ていらっしゃったらいいのに。もう私達は、他人の財産に居座ってしまったといわれ、手を焼いている。」と思っているところに、神である方は、戻っていらっしゃって「そんなに、この猿達が動物になってまでも、この人間社会に未練を残して、こちらに来たりするのなら許せないな。この庭のマー石を全部焼いて、庭の石を全部焼いておきなさい。」と言った。そうして、マー石を焼いて庭に置いた。猿達はいつもそこにきて、座っていたというからね。そうして猿達は、そこに座ったようだね。それで猿の尻は焼けて、赤くなったということだ。とーこれだけだよ。話は。

再生時間:5:16

民話詳細DATA

レコード番号 47O373018
CD番号 47O37C130
決定題名 大年の客(シマグチ)
話者がつけた題名 猿長者
話者名 照屋寛良
話者名かな てるやかんりょう
生年月日 19080510
性別
出身地 沖縄県読谷村座喜味
記録日 19770227
記録者の所属組織 読谷村民話調査団
元テープ番号 読谷村座喜味T02B27
元テープ管理者 読谷村立歴史民俗資料館
分類 本格昔話
発句(ほっく)
伝承事情 夕食後に祖父から聞いた。
文字化資料 読谷村民話資料集10座喜味の民話 P193
キーワード 金持ち,貧乏者,神様,人間の姿,大晦日の晩,火御馳走,鍋,御飯,肉,夫婦が若くなりたい,大鍋に湯,十七、八の姿,年始まわり,金持ちは猿になった,財産を横取り,庭のマー石を焼く,猿の赤尻
梗概(こうがい) 大体、中国に本当にあったはずだが、沖縄の人は沖縄にしているでしょう。下男を大勢使っている金持ちと、また年の晩の夕飯も食べることのできないほどの貧乏者がいた。その三家庭の話だけどね。この人は神様なのだが、人間の姿になって、大晦日の晩、その金持ちの家に、「泊めてくれませんか。」と行ったようだ。(そこの主人は)夕飯をもてなして、家を貸さなければならないから、損になるといって貸さなかったようだ。そして、追い払ったようだね。それで、年の晩の夕飯も食べることのできないような大変貧乏者の夫婦の家庭に行き、「泊めてくれませんか。」と言った。(その夫婦は)「実はもう今日は、大晦日であるけれども、私達は夕飯も準備できないほどですよ。夫婦ぐらしの貧乏者です。」(と答えても)「とにかく、寝かせて下されば良いから、泊めて下さい。」(と願うので)「それではお泊まり下さい。」と(言って内に入れた)。それで火御馳走という話があるでしょう。「火にあたって年を越してくださいよ。旅の人。私達ももう食べる物もないので、火にあたって年を越すのです。」と。そうして、火を燃やして暖まっていると、その神様が、人に姿をかえている神様が「ねえ、お前たち、台所から鍋を取ってきて、その火の上にかけなさい。そして、その鍋に水を入れなさい。」と言って(その通りにすると)その人は、神であるから、何かこうして垂らしたようだが、それからすぐ、米が炊けてね、御飯が炊けてね。「はい、はい、この御飯を移して、この鍋にもう一度水を入れて、急いでここの火にかけなさい。」と(神様が)言った。そうしてその神様が、また何かを入れたようだ。今度は、肉がグツグツ煮えて出てきてね、それで夕飯も食べたようだ。そうして、翌朝、「昨夜はありがとう。あなた達のおかげで一緒に御馳走を食べることができて、年を越すことができた。私はこれから旅に出るけど、私が出ないうちに、お前たちの家から、あなた達は何か願い事がないか。」と言ったそうだ。「あなた達は願いがあるんだったら、私に話さないか。」と言った。「私達は、もう金賭けをしようという願いはありません。ただ、夫婦が若くなれたら、もっと働いて、今からでも家をもりあげて、繁盛してみたいなあと思っています。」(と答えると)「ああ、そうか、それでは、大鍋に湯を沸かしなさい。」といってこの人が湯を沸かさせると、またも何かを入れた。「これで、あなた達は交代で浴びなさい。」と言って、(夫婦が)浴びたところ、元の十七、八の姿にもどった。それでおじいさんやおばあさんは、「あー珍しいことだね。」と言って喜んだそうだ。そうしているうちに、「あなた達はもう若くなっているから、一生懸命働いて、裕福になりなさいよ。私はもう行くからと。」それから出て行ったようだ。それで「私達は若くなって、ほんとに嬉しいねぇ。」と言って、隣近所に年始まわりをしに行ったようだね。欲張りのおじいさんの家にも。そこは下男も多く使っていた。若くなった夫婦がきたので、(驚いた主人は)「どうした、お前達は何十年前かの姿になっているが、どうしたのか。」と聞いたところ、「実はゆうべ、旅の人がいらっしゃって、泊めると、夕飯もおいしく食べて湯で浴びると、私達夫婦は元の若い姿になっているんだよ。と言った。「それでその人は、どこへ行ったか。」と(金持ちの欲張りじいさんがきいたので)「どこそこに行ったよ。」と教えた。するとそこへ追っていって、もう来たがらないのを無理に引っぱって連れてきて、「私達はお金は余るほどありますが、年をとりすぎているので、あそこの夫婦が若くなったように私達も若くしてくれ。」と、願った。(神様であるその人は)「それでは、湯を沸かして、交代に全員浴びなさい。」と言った。そして浴びると、全員、下男達までも猿になった。そして、猿になって、キィーキィーと泣きながら山に行ったようだ。猿になっているのだから、山に入って行った。その神様は(貧乏人の所に)また戻っていらっしゃって、「あの家は皆、猿になって家を守ることができないんだからね。財産を管理することができないからもう天の授けものだから、あの家は君達でみなさい。あの家に越しなさい。」と言った。「それでいいのでしょうか。」と夫婦が聞くと、「それは、天の授けものだから。」と神様が言ってくれた。それで、そこに越したら、毎日同じ時間にこの猿がやって来たそうだ。キィーキィー泣いて、物は言わないが。「私達の財産を横取りしている。私達の財産を横取りしている。」と言わんばかりに、もうキィーキィー泣いて毎日のように来たようだ。それで、その夫婦は「あの神様が出ていらっしゃったらいいのに。もう私達は、他人の財産に居座ってしまったといわれ、手を焼いている。」と思っているところに、神である方は、戻っていらっしゃって「そんなに、この猿達が動物になってまでも、この人間社会に未練を残して、こちらに来たりするのなら許せないな。この庭のマー石を全部焼いて、庭の石を全部焼いておきなさい。」と言った。そうして、マー石を焼いて庭に置いた。猿達はいつもそこにきて、座っていたというからね。そうして猿達は、そこに座ったようだね。それで猿の尻は焼けて、赤くなったということだ。とーこれだけだよ。話は。
全体の記録時間数 5:16
物語の時間数 5:16
言語識別 方言
音源の質
テープ番号
予備項目1

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