五月五日由来(シマグチ)

概要

あの五月五日(注)の由来の話。五月五日はどうして菖蒲の葉を飾ってあまがしを作るかという話ね。これはね、ある女とある男が結婚していたそうだが、その女は鬼だったんだね。鬼であるけれども、夫の前では全然鬼の姿は見せないで、また夫がいないところではもうまったく鬼になったようだ。その鬼になっているときに、夫の友達が見たようだ。そこで「これは確かに、この人の妻は鬼だからそのままではいけない。いつかは呼んで、この男に言わなければならない。」と考えた。でも、その男は妻がかわいかったんでしょう。ちっとも信用しなかった。その女は、男がだれかに取られはしまいかとどこにも出さなかった。今度は常会を持って青年を集めた。その男の妻は鬼であるということを、呼んで見せないといけないといって考えた。そして、青年は集まりなさいと、太鼓やら鉦を打って、青年だけだよ、女は違うよと、太鼓、鉦を打った。男は妻にね、鬼にね、「私も青年だのに、『青年集まりなさい』と鉦も打っているのに行こうね。」と言うと、「行かないで、行かないで。」と言ったようだ。「それでも、私は青年だのに行かないといけない。」と、無理やりに立ったようだ。「行かないで、行かないで。」と言うが。今度は、男を連れて行って、ある青年が歩くところに連れて行って、「お前の妻は鬼だよ。」と言うと、「まさか。」と言った。美人でもあるのでね。「お前たちは、私を離婚させようとして、私の妻が鬼だと言うのか。」と、実際は鬼だが、そうじゃないと、意地をはっていたようだ。どうしても納得できないとそれでは見せてあげようねと、すぐ家へひき帰した。節穴から見なさいと言った。節穴からね、「お前の妻の様子を見なさい。お前がいなくなると、すぐ鬼になるんだよ。お前がいる間は鬼に化けきれずに、面をかぶっているんだよ、実は鬼なんだよ。」「そうかなあ。」と、今度は節穴から見たようだ。そこに青年をおいて、戸の節穴から見ると、もう角もはえて、すさまじい鬼になっていた。それを見て、びっくりして、夫はもうどうしたらいいか、鬼を妻にしていたとはと、とても驚いていた。そして、「それではね、お前は今だったら助けられるので、早く逃げなさい。」と言った。「どこに逃げるか。」と言うと、「お寺へ逃げて行きなさい。」と言われたようだ。どこどこにお寺があるのでと、お寺へ逃げて行って、あそこのお寺へお願いして、突き鐘があれば、あとは戻って行くはずだからと。そうして、男は逃げて行くでしょう。そのときに、逃げて行くのを妻は戸を開けて見ていた。そして鬼に化けてその男を追いかけて行った。どんなにしても殺すといって、そのときからは本当の鬼になって、男を追っかけていた。男はもう息も切れんばかりに走って、ようやくお寺の中へ入って行った。男は「助けてくれー。」と叫ぶと、坊さんが「内に入りなさい、内に入りなさい。」と言った。「私は鬼に追われているよ、鬼に追われているよ。」と言った。妻であるが、突き鐘を降ろして、その男を中に入れた。それからまた、鬼は包丁をもっているので、包丁をふり回していた。そうすると、その坊さんは菖蒲の葉を持って、その男を菖蒲が繁っているところに隠したようだ。菖蒲の葉は鬼にとってはとても恐ろしいものだそうだ。男は菖蒲の中に隠したので、女は包丁をふり回しながら来るでしょう。その女に、坊さんが菖蒲の葉を持ってこんなふうに向かって、鬼に向かっていったので、しまいには自分から死んでしまった。「ばれてしまった、私はもう生きられない。」と自分で(包丁を)たてて死んでしまった。そのときの話がね、その男が、「菖蒲の葉のために 命を救われ どのようにして 菖蒲の葉に恩を返そうか 五月五日になれば 菖蒲の葉を飾って、あまがしを作って 祭をしよう。」

再生時間:4:33

民話詳細DATA

レコード番号 47O372952
CD番号 47O37C128
決定題名 五月五日由来(シマグチ)
話者がつけた題名 五月五日菖蒲由来
話者名 比嘉テル
話者名かな ひがてる
生年月日 19100713
性別
出身地 沖縄県読谷村座喜味
記録日 19770227
記録者の所属組織 読谷村民話調査団
元テープ番号 読谷村座喜味T01A24
元テープ管理者 読谷村立歴史民俗資料館
分類 本格昔話
発句(ほっく)
伝承事情
文字化資料 読谷村民話資料集10座喜味の民話 P22
キーワード 五月五日,菖蒲の葉,あまがし,女は鬼,太鼓や鉦,節穴,お寺,突き鐘,包丁,坊さん
梗概(こうがい) あの五月五日(注)の由来の話。五月五日はどうして菖蒲の葉を飾ってあまがしを作るかという話ね。これはね、ある女とある男が結婚していたそうだが、その女は鬼だったんだね。鬼であるけれども、夫の前では全然鬼の姿は見せないで、また夫がいないところではもうまったく鬼になったようだ。その鬼になっているときに、夫の友達が見たようだ。そこで「これは確かに、この人の妻は鬼だからそのままではいけない。いつかは呼んで、この男に言わなければならない。」と考えた。でも、その男は妻がかわいかったんでしょう。ちっとも信用しなかった。その女は、男がだれかに取られはしまいかとどこにも出さなかった。今度は常会を持って青年を集めた。その男の妻は鬼であるということを、呼んで見せないといけないといって考えた。そして、青年は集まりなさいと、太鼓やら鉦を打って、青年だけだよ、女は違うよと、太鼓、鉦を打った。男は妻にね、鬼にね、「私も青年だのに、『青年集まりなさい』と鉦も打っているのに行こうね。」と言うと、「行かないで、行かないで。」と言ったようだ。「それでも、私は青年だのに行かないといけない。」と、無理やりに立ったようだ。「行かないで、行かないで。」と言うが。今度は、男を連れて行って、ある青年が歩くところに連れて行って、「お前の妻は鬼だよ。」と言うと、「まさか。」と言った。美人でもあるのでね。「お前たちは、私を離婚させようとして、私の妻が鬼だと言うのか。」と、実際は鬼だが、そうじゃないと、意地をはっていたようだ。どうしても納得できないとそれでは見せてあげようねと、すぐ家へひき帰した。節穴から見なさいと言った。節穴からね、「お前の妻の様子を見なさい。お前がいなくなると、すぐ鬼になるんだよ。お前がいる間は鬼に化けきれずに、面をかぶっているんだよ、実は鬼なんだよ。」「そうかなあ。」と、今度は節穴から見たようだ。そこに青年をおいて、戸の節穴から見ると、もう角もはえて、すさまじい鬼になっていた。それを見て、びっくりして、夫はもうどうしたらいいか、鬼を妻にしていたとはと、とても驚いていた。そして、「それではね、お前は今だったら助けられるので、早く逃げなさい。」と言った。「どこに逃げるか。」と言うと、「お寺へ逃げて行きなさい。」と言われたようだ。どこどこにお寺があるのでと、お寺へ逃げて行って、あそこのお寺へお願いして、突き鐘があれば、あとは戻って行くはずだからと。そうして、男は逃げて行くでしょう。そのときに、逃げて行くのを妻は戸を開けて見ていた。そして鬼に化けてその男を追いかけて行った。どんなにしても殺すといって、そのときからは本当の鬼になって、男を追っかけていた。男はもう息も切れんばかりに走って、ようやくお寺の中へ入って行った。男は「助けてくれー。」と叫ぶと、坊さんが「内に入りなさい、内に入りなさい。」と言った。「私は鬼に追われているよ、鬼に追われているよ。」と言った。妻であるが、突き鐘を降ろして、その男を中に入れた。それからまた、鬼は包丁をもっているので、包丁をふり回していた。そうすると、その坊さんは菖蒲の葉を持って、その男を菖蒲が繁っているところに隠したようだ。菖蒲の葉は鬼にとってはとても恐ろしいものだそうだ。男は菖蒲の中に隠したので、女は包丁をふり回しながら来るでしょう。その女に、坊さんが菖蒲の葉を持ってこんなふうに向かって、鬼に向かっていったので、しまいには自分から死んでしまった。「ばれてしまった、私はもう生きられない。」と自分で(包丁を)たてて死んでしまった。そのときの話がね、その男が、「菖蒲の葉のために 命を救われ どのようにして 菖蒲の葉に恩を返そうか 五月五日になれば 菖蒲の葉を飾って、あまがしを作って 祭をしよう。」
全体の記録時間数 4:33
物語の時間数 4:33
言語識別 方言
音源の質
テープ番号
予備項目1

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