海に臼が沈んでいるという話でしょう。あるところに、男の兄弟が二人いたそうだ。二人いたが、兄さんはたいへん金持ちで、弟はたいへん貧乏だったようだ。そして、兄は、もう正月になったので、豚一頭をつぶしたようだね。豚一頭をつぶしたので弟が、「どうか兄さん、私にも一、二斤分けて下さい。」と言うと、「お前みたいな貧乏者が肉を喰うというのか。」と言った。「どうか兄さん、年の晩だのに一斤でもいいので、一斤でも分けて下さい。」と言ったようだ。「それほど言うのか。」と肉二斤をすぐ投げてあげたようだ。「お前は、年の晩をしなさい。」とあげたようだ。その後に、また今度は、神様のような人が、身なりの汚い格好で来たようだ。豚をつぶす所に来たので「私もね、たいへん貧しいものだけど…。」、神様とは分からないのだろう。「私は貧しい者だけどね、正月もできないが、あなた方はこんなに大きい豚をつぶして、私に肉一斤分けてくれないか。」と言うと「お前のようなギンジャー、ギンジャーがでておって、ここに来て邪魔になるのに、肉をくれ、何をくれというのか。」と追い払ったようだ。豚をつぶしている金持ちがね。すると、今度は、「そうか。」と、もうそこから出たようだ。出て歩いていると、もう肉二斤を持っている弟の後を追ったようだ。追っていると、「おーい、ちょっと待ってくれ、それに、お前は何を持っているのか。」と言った。「私は貧乏な者でね、家といってもないし、洞窟に住んでいるが、正月だのに、肉一斤さえもないので、兄の家に行ったら、大きい豚をつぶしているので、分けて下さいと言うと、『お前みたいな貧乏者、お前も肉を喰うのか』と言われたが、どうか兄さん、分けて下さい。」とお願いした。すると、肉二斤を投げたようだ。弟にあげたので、「あゝありがとうと言って取って、もう家に帰るんだが、私は、この二斤で正月するつもりでいるんだが。」と言った。「私も貧乏者で、家、家庭もなく、何もなく、肉二斤で私と二人で煮て食べて正月しようね。」と言った。「それではいらして下さい。私は家、家庭もなく洞窟に住まっている身ではあるけれども、それでも私と一緒に正月しますか。」と言った。その人が神様とは知らないよ、「二人で肉を煮て正月をしようね。」と食べたようだ。二人で煮た。そして、食べた後、「私は実はね、本当の人ではないよ。」と言った。「何ですか。」と聞くと、「お前が一番欲しいのは何か。」と聞いたので、「私が欲しいのはね、お金です。お金でもあるし、食物でもあります。働くこともできず、仕事もないのですから、もう、兄は裕福だが、私はもう貧乏のまま暮らしてね、そのようにしているが、食物とお金さえあれば兄さんにバカにされないと思います。」と言った。「そうならば、この臼をお前にあげるので、この臼を何回廻すと金が出るよ、何回廻すと塩が出るよ、何回廻すと、ご馳走が出るよ。」と教えた。「もうこれがあれば、お前は兄さんに劣らずに生活できるので、お前はとても愛情を持っている青年だからね、いつかは成功するのでね、成功させるので、臼をお前に譲るので、お前が欲しいもの何回廻ると塩だよ、何回廻ると金だよ、そうして負けないように成功してね。」と、その後からは帰っていなかった。そうして、その人は神様だったんだけどねと、それから、何回廻すと塩が出る、何回廻すとお金が出ると言っていたのでと、廻してみると、止まってお金が出て、塩が出たので、今度は塩を出して、売り歩いて金持ちになったそうだ。それから兄さんが来て、「どうしてお前はそんなに金持ちになったか。」と言ったようだ、「なぜ、何でもないよ。」と「確かに何があるね、お前は。」と、しつこく聞いたようだ。兄さんが、「確かにお前は何かある、こんなに裕福になっているのに何かある、何かある。」と‥‥。もうそんなに言うのなら、兄さんだから話してあげよう。「こうこうで、兄さんから年の晩に肉二斤をもらって、その肉をキンジャーのような人だが、二人で年の晩を過ごしたら、その人が教えたんだ。この宝の臼をくれて、これを廻すと塩をたくさん出して、塩を売って生活しているよ。」と。「そうだったら、私にこの臼をちょっと借してくれないか。」と言った。弟は誠実な人だから借してちょうだいと言われたので、貸したくなくても貸さないといけないでしょう。兄弟なんだから、弟は情があるのでね、「そうか、あなたに長いことは貸さないよ、すぐ返してよ。」と弟は言った。すると、臼を持って舟に乗ったそうだ。舟を盗んでポンポン舟に乗って行ったようだ。 そして、廻してみると止まらない。その臼を止めるのを知らない。止めるのが分かれば止まるが、もうずっと廻りっぱなし、舟から溢れたようだ。その塩は、溢れて臼もろとも人も沈んで死んでしまった。その臼は海のずっと奥に流れて行ってずっとずっと廻って、その水はどんなに雨が降っても、ちっとも甘くならないのはその臼が原因だという話を聞いた。
| レコード番号 | 47O372948 |
|---|---|
| CD番号 | 47O37C127 |
| 決定題名 | 塩吹き臼(シマグチ) |
| 話者がつけた題名 | 塩吹き臼 |
| 話者名 | 比嘉テル |
| 話者名かな | ひがてる |
| 生年月日 | 19100713 |
| 性別 | 女 |
| 出身地 | 沖縄県読谷村座喜味 |
| 記録日 | 19770227 |
| 記録者の所属組織 | 読谷村民話調査団 |
| 元テープ番号 | 読谷村座喜味T01A20 |
| 元テープ管理者 | 読谷村立歴史民俗資料館 |
| 分類 | 本格昔話 |
| 発句(ほっく) | - |
| 伝承事情 | - |
| 文字化資料 | 読谷村民話資料集10座喜味の民話 P53 |
| キーワード | 海に臼が沈んでいる,男の兄弟が二人,兄は金持ち,弟は貧乏,正月,豚一頭をつぶした,肉二斤をすぐ投げてあげた,神様,身なりの汚い格好,お金,臼,塩,宝の臼 |
| 梗概(こうがい) | 海に臼が沈んでいるという話でしょう。あるところに、男の兄弟が二人いたそうだ。二人いたが、兄さんはたいへん金持ちで、弟はたいへん貧乏だったようだ。そして、兄は、もう正月になったので、豚一頭をつぶしたようだね。豚一頭をつぶしたので弟が、「どうか兄さん、私にも一、二斤分けて下さい。」と言うと、「お前みたいな貧乏者が肉を喰うというのか。」と言った。「どうか兄さん、年の晩だのに一斤でもいいので、一斤でも分けて下さい。」と言ったようだ。「それほど言うのか。」と肉二斤をすぐ投げてあげたようだ。「お前は、年の晩をしなさい。」とあげたようだ。その後に、また今度は、神様のような人が、身なりの汚い格好で来たようだ。豚をつぶす所に来たので「私もね、たいへん貧しいものだけど…。」、神様とは分からないのだろう。「私は貧しい者だけどね、正月もできないが、あなた方はこんなに大きい豚をつぶして、私に肉一斤分けてくれないか。」と言うと「お前のようなギンジャー、ギンジャーがでておって、ここに来て邪魔になるのに、肉をくれ、何をくれというのか。」と追い払ったようだ。豚をつぶしている金持ちがね。すると、今度は、「そうか。」と、もうそこから出たようだ。出て歩いていると、もう肉二斤を持っている弟の後を追ったようだ。追っていると、「おーい、ちょっと待ってくれ、それに、お前は何を持っているのか。」と言った。「私は貧乏な者でね、家といってもないし、洞窟に住んでいるが、正月だのに、肉一斤さえもないので、兄の家に行ったら、大きい豚をつぶしているので、分けて下さいと言うと、『お前みたいな貧乏者、お前も肉を喰うのか』と言われたが、どうか兄さん、分けて下さい。」とお願いした。すると、肉二斤を投げたようだ。弟にあげたので、「あゝありがとうと言って取って、もう家に帰るんだが、私は、この二斤で正月するつもりでいるんだが。」と言った。「私も貧乏者で、家、家庭もなく、何もなく、肉二斤で私と二人で煮て食べて正月しようね。」と言った。「それではいらして下さい。私は家、家庭もなく洞窟に住まっている身ではあるけれども、それでも私と一緒に正月しますか。」と言った。その人が神様とは知らないよ、「二人で肉を煮て正月をしようね。」と食べたようだ。二人で煮た。そして、食べた後、「私は実はね、本当の人ではないよ。」と言った。「何ですか。」と聞くと、「お前が一番欲しいのは何か。」と聞いたので、「私が欲しいのはね、お金です。お金でもあるし、食物でもあります。働くこともできず、仕事もないのですから、もう、兄は裕福だが、私はもう貧乏のまま暮らしてね、そのようにしているが、食物とお金さえあれば兄さんにバカにされないと思います。」と言った。「そうならば、この臼をお前にあげるので、この臼を何回廻すと金が出るよ、何回廻すと塩が出るよ、何回廻すと、ご馳走が出るよ。」と教えた。「もうこれがあれば、お前は兄さんに劣らずに生活できるので、お前はとても愛情を持っている青年だからね、いつかは成功するのでね、成功させるので、臼をお前に譲るので、お前が欲しいもの何回廻ると塩だよ、何回廻ると金だよ、そうして負けないように成功してね。」と、その後からは帰っていなかった。そうして、その人は神様だったんだけどねと、それから、何回廻すと塩が出る、何回廻すとお金が出ると言っていたのでと、廻してみると、止まってお金が出て、塩が出たので、今度は塩を出して、売り歩いて金持ちになったそうだ。それから兄さんが来て、「どうしてお前はそんなに金持ちになったか。」と言ったようだ、「なぜ、何でもないよ。」と「確かに何があるね、お前は。」と、しつこく聞いたようだ。兄さんが、「確かにお前は何かある、こんなに裕福になっているのに何かある、何かある。」と‥‥。もうそんなに言うのなら、兄さんだから話してあげよう。「こうこうで、兄さんから年の晩に肉二斤をもらって、その肉をキンジャーのような人だが、二人で年の晩を過ごしたら、その人が教えたんだ。この宝の臼をくれて、これを廻すと塩をたくさん出して、塩を売って生活しているよ。」と。「そうだったら、私にこの臼をちょっと借してくれないか。」と言った。弟は誠実な人だから借してちょうだいと言われたので、貸したくなくても貸さないといけないでしょう。兄弟なんだから、弟は情があるのでね、「そうか、あなたに長いことは貸さないよ、すぐ返してよ。」と弟は言った。すると、臼を持って舟に乗ったそうだ。舟を盗んでポンポン舟に乗って行ったようだ。 そして、廻してみると止まらない。その臼を止めるのを知らない。止めるのが分かれば止まるが、もうずっと廻りっぱなし、舟から溢れたようだ。その塩は、溢れて臼もろとも人も沈んで死んでしまった。その臼は海のずっと奥に流れて行ってずっとずっと廻って、その水はどんなに雨が降っても、ちっとも甘くならないのはその臼が原因だという話を聞いた。 |
| 全体の記録時間数 | 5:20 |
| 物語の時間数 | 5:20 |
| 言語識別 | 方言 |
| 音源の質 | 〇 |
| テープ番号 | - |
| 予備項目1 | - |