外というのと、内というのを、昔話の題目にしてあるんだがね、これは、今から約二百年前、中部といいよったから、まあ中頭だろうと思うんだがね、中頭のある大部落のね、相当金持ちの大地主の家のね、牛がね、何者かに盗まれたというんだよね、そうしたらね、さあこれは昔のことだから、警察さーね、昔は警察には、平等所(ひらじゅ)といいよったって。平等所に、盗難届け出を出すということでね、盗難の届けを出したそうだよ。受け付けではね、やっぱり聞くさあねー、いろいろね。「じゃあ、あんたはそのう、いつ、何時頃盗まれたか。」とか、あるいはちょうどね、年の暮だから、今度、盗まれたのか、去年かということを聞かれるわけさーね。じゃあ、何匹だったかというのも訪ねられたわけさあね、そしたらこの人が、答えるには、非常におもしろいんだよ、これはね。最初はね、あんた、何匹盗まれたかと言ったらね、一匹かと思ったら、二匹というんだよね、そしたらまた、二匹かと思ったら、一匹というんだよ。おかしいなー、係の人だから、これはひとつの童話になるかもしらんが、そういうふうなあれでね。それとも、むこうが言うことだから、「おお、おお。」で、係の人は聞いたわけさあね。そうしたら、いつ、盗まれたかということを聞かれたらね、「今度かな、去年かな、今度るやがやー、去年(くじゅ)るやがやー。」りちはっきり分からんわけだ。そういうふうなね、返事したというんだよね、じゃあ、あんたは、そういうふうな物の言い方、届け出の言い方するか、あんたはその盗まれた人になんか、心当りあるのかといったら、そうですね、内かと思えば外、外かと思えば内、という返事したらしいんだよ。そうしたらね、おかしくなって、じゃあ、まあ受付、これで終ってね、受付して終って。それから、何日かたって、やっぱり裁判だからね、裁判されるわけさーね、呼び出しがあって裁判の時に、ま、いえば今の判事さーね、今の判事さんが、いろんなこういうものをね、聞いたわけさーね、盗まれて、どうして、どうだ、また何匹だったのか、今度か去年かというふうなものを聞いたもんだから、二人だけのときに言った、あのとおり順序よく言ったらしいんだよ、だからその判司さんというのは、やっぱり偉い人だがね、ちゃんと来るわけさーねー。じゃあ、あんたのものはね、これは盗んだ人は婿(むーく)。これを盗んだ人は婿、婿さんであるということを言ったらしいんだ。その理由としてはね、ちょうどね、昔はね、琉球王国時代はね、昔、旧の正月ね、年(とぅし)ぬ晩にね、あの時の夕飯でね、食べた人は、ひとつ年、多くなる。食べない人はそれ、時間的な関係はないよ。年の夜の話だから、食べたらひとつ多くなる、すなわち、今年食べない人は、去年だよ。だから食べてから、盗まれたのか、それとも、食べないうちに盗まれたかわからんから、去年だったのか、今年かということになるわけだ。それで、じゃあ、あんた何匹盗まれたかということをね、その牛は雌だったんだろうね。妊娠しておったというんだよね、だから、妊娠しておったもんだから、もし、盗まれてから、子供ができておったら、二匹なるというさーね。まだできていなければ、生まれるその日にちなっていたんだろうね。はっきり分からんけど、そういうふうなね、妊娠しておったら、生んでおったら二つ、生んでなければ、一つということになるさーね。もうひとつはね、内と外ということになるさーね、内というのはね、自分の婿(むーく)だから、内さーね。それから、外というのは、もしなにかのあれで離縁でもしたらね。これ外になるんだよ。それで、そういうふうな今の判事さんの判決の理由だったらしいんだよ。
| レコード番号 | 47O372916 |
|---|---|
| CD番号 | 47O37C126 |
| 決定題名 | 牛どろぼう(共通語) |
| 話者がつけた題名 | 外と内 |
| 話者名 | 金城棟進 |
| 話者名かな | きんじょうとうしん |
| 生年月日 | 19201203 |
| 性別 | 男 |
| 出身地 | 沖縄県読谷村波平 |
| 記録日 | 19880622 |
| 記録者の所属組織 | ゆうがおの会 |
| 元テープ番号 | 読谷村波平T10A03 |
| 元テープ管理者 | 読谷村立歴史民俗資料館 |
| 分類 | 本格昔話 |
| 発句(ほっく) | - |
| 伝承事情 | - |
| 文字化資料 | 読谷村民話資料集9波平の民話 P61 |
| キーワード | 外と内,中頭,金持ち,大地主,牛,盗まれた,平等所,盗難届け出,年の暮,何匹盗まれた,裁判,盗んだ人は婿 |
| 梗概(こうがい) | 外というのと、内というのを、昔話の題目にしてあるんだがね、これは、今から約二百年前、中部といいよったから、まあ中頭だろうと思うんだがね、中頭のある大部落のね、相当金持ちの大地主の家のね、牛がね、何者かに盗まれたというんだよね、そうしたらね、さあこれは昔のことだから、警察さーね、昔は警察には、平等所(ひらじゅ)といいよったって。平等所に、盗難届け出を出すということでね、盗難の届けを出したそうだよ。受け付けではね、やっぱり聞くさあねー、いろいろね。「じゃあ、あんたはそのう、いつ、何時頃盗まれたか。」とか、あるいはちょうどね、年の暮だから、今度、盗まれたのか、去年かということを聞かれるわけさーね。じゃあ、何匹だったかというのも訪ねられたわけさあね、そしたらこの人が、答えるには、非常におもしろいんだよ、これはね。最初はね、あんた、何匹盗まれたかと言ったらね、一匹かと思ったら、二匹というんだよね、そしたらまた、二匹かと思ったら、一匹というんだよ。おかしいなー、係の人だから、これはひとつの童話になるかもしらんが、そういうふうなあれでね。それとも、むこうが言うことだから、「おお、おお。」で、係の人は聞いたわけさあね。そうしたら、いつ、盗まれたかということを聞かれたらね、「今度かな、去年かな、今度るやがやー、去年(くじゅ)るやがやー。」りちはっきり分からんわけだ。そういうふうなね、返事したというんだよね、じゃあ、あんたは、そういうふうな物の言い方、届け出の言い方するか、あんたはその盗まれた人になんか、心当りあるのかといったら、そうですね、内かと思えば外、外かと思えば内、という返事したらしいんだよ。そうしたらね、おかしくなって、じゃあ、まあ受付、これで終ってね、受付して終って。それから、何日かたって、やっぱり裁判だからね、裁判されるわけさーね、呼び出しがあって裁判の時に、ま、いえば今の判事さーね、今の判事さんが、いろんなこういうものをね、聞いたわけさーね、盗まれて、どうして、どうだ、また何匹だったのか、今度か去年かというふうなものを聞いたもんだから、二人だけのときに言った、あのとおり順序よく言ったらしいんだよ、だからその判司さんというのは、やっぱり偉い人だがね、ちゃんと来るわけさーねー。じゃあ、あんたのものはね、これは盗んだ人は婿(むーく)。これを盗んだ人は婿、婿さんであるということを言ったらしいんだ。その理由としてはね、ちょうどね、昔はね、琉球王国時代はね、昔、旧の正月ね、年(とぅし)ぬ晩にね、あの時の夕飯でね、食べた人は、ひとつ年、多くなる。食べない人はそれ、時間的な関係はないよ。年の夜の話だから、食べたらひとつ多くなる、すなわち、今年食べない人は、去年だよ。だから食べてから、盗まれたのか、それとも、食べないうちに盗まれたかわからんから、去年だったのか、今年かということになるわけだ。それで、じゃあ、あんた何匹盗まれたかということをね、その牛は雌だったんだろうね。妊娠しておったというんだよね、だから、妊娠しておったもんだから、もし、盗まれてから、子供ができておったら、二匹なるというさーね。まだできていなければ、生まれるその日にちなっていたんだろうね。はっきり分からんけど、そういうふうなね、妊娠しておったら、生んでおったら二つ、生んでなければ、一つということになるさーね。もうひとつはね、内と外ということになるさーね、内というのはね、自分の婿(むーく)だから、内さーね。それから、外というのは、もしなにかのあれで離縁でもしたらね。これ外になるんだよ。それで、そういうふうな今の判事さんの判決の理由だったらしいんだよ。 |
| 全体の記録時間数 | 5:59 |
| 物語の時間数 | 5:59 |
| 言語識別 | 共通語 |
| 音源の質 | △ |
| テープ番号 | - |
| 予備項目1 | - |