聞いたのは私が今から何年前かな、六十七、六十八歳になっているから私が十四、五かな、十四、五ぐらいのさ、聞いた話だが、おやじから聞いた話だからね、だいたい、おやじだったと思うんだよ。何かこう、なにかのついでに話がでて、こういう話をきいたんだがね。昔、中国にね、ブー王という王様がいたというんだよね。その人がね本妻もいらっしゃるんだが、子供も二人はいたというんだ。ある時、その王様がね、自分の領土内だからね、あっちこっちまわって見る巡視というか、その時にね、休んでいる目の前からね、非常にきれいな人がね、非常に珍しく、ほんとの美女だなというふうな人が通ったのをね、見かけて、ね、それを、心にあれしておったんだろうね。自分のお城に帰ってからね、自分の部下に「おい、あの女の子は非常にきれいだったがね、まだ結婚してないのかな、結婚しているのかな。」やっぱりあるていど聞いたんだね。したら、王様のことだからね、部下が調べるのは訳ないさね、権利あるわけだから。調べたら、まだ未婚者であるということが分かったもんだからね、それを、じゃ、はじめは、自分のお手伝いか。そういうもののかたちをとって、連れてこんかということであるもんだから、王さまのことだからもう二言いえないさね。本人でも、連れていってね、はじめは、お手伝いであったんだが、しだいしだいに、女中さーな、女中であったんだが、日がたつにつれてしだいに、いよいよ分かるわけだろうね、あとはそのー、妾という、ま、ユーベーさーね、妾という段位までもってきたらしい本妻がいるもんだから。最初は、その、あんまり遠慮してね、本性いうかな表さないでね。いたそうだよ、しかし、後はしだいしだいに、何年かたつにしたがってね、その本妻を追い出そうというふうな野望がでたんだろう。そうして、しまいには、本妻を追い出した。で、そこには、長男、次男がいるもんだからね、本妻は出したけれども、子供までは出すことはできないさあね。そのまましておった。そういう最初は。それでね、そのやっぱり、あんまりきれいなもんだからやっぱり誰がも、疑いはしないけれどね、長男、次男がなにかのひょうしに、その二号さんのね、本性みたんじゃないかな、それは本当の人間ではないということをね。見たもんだから、それをいわば、王様に話しても、それはもうほれてしまっておるから、そこはもう問題じゃないでね、あとはもう、とうとうそれを、見ぬかれたもんだから、長男と次男をなにかこう二人をおろして、自分のかってにやろうというあれが、そういうふうなことをやったんだろう。それを反対にね、長男に弓矢で討たれておるんだよ。この人はね、そして、討とうとしたら非常に、危機一髪のところで、もうやがて討つというところで、逃げたというんだ。だから逃げたのか、むかしの、これは本当の話か、嘘か分からんがね、とにかくタヌキだから、蝶にも、鳥にも化けることができるわけさーね。で、鳥に化けて、飛ぼうとするところを討(うち)おとされて、
落ちたというんだ。見たら、その老狐 きつねであったというんだよ。だから、もうこれはもうたいへんだということでよ、なんかに埋めたらね、また出てくるからと、昔はやっぱり埋葬というのは、土で埋めているからね。土に埋めたらいかんだろう、と思ってからに、水に入れてもよくないし、泥に、泥水に入れてしまって、入れてしたら、あとは出てこないだろうというつもりで、埋めたらしいんだよ。それが、そのそういうふうにね、死ぬまぎわになってね、そのきつねは死んでも、とにかく人間の血を吸ってやる、ということを遺言かな、残してね、埋められたというんだ。 それで、もう、ドブの中だからなにもでてこないだろうというつもりで埋めたのが今の、ボーフヤーさーな、あれになってね、それが、一応、まあ、蚊になってから人間をさすというふうなね、死んでからも、こういうふうなさしたというあれだね。それで、その、よく見たらね、ボーフヤー、あの蚊の顔をよく見たらね、あんたがた、見たことあるかしらんけど、本当、きつねに似ておるんだ。本当はね、あれが、話がそういうふうになって、それが一致しておるから、こういう話、でたかどうかしらんけど、そういうふうなね、顔も似ておるしね、また蚊の泣き声がね、王さまを憎んで泣く、ブーオー、ブーオーと泣くらしいんだよ。それが誰かが考えたのかしらんけど、私は、それを聞いたさーね、そういうもんで、泣き声がそういうふうな泣き声さーね。だからこれ中国の話だよ。
| レコード番号 | 47O372914 |
|---|---|
| CD番号 | 47O37C126 |
| 決定題名 | 蚊の始まり(共通語) |
| 話者がつけた題名 | 蚊の始まり |
| 話者名 | 金城棟進 |
| 話者名かな | きんじょうとうしん |
| 生年月日 | 19201203 |
| 性別 | 男 |
| 出身地 | 沖縄県読谷村波平 |
| 記録日 | 19880622 |
| 記録者の所属組織 | ゆうがおの会 |
| 元テープ番号 | 読谷村波平T10A01 |
| 元テープ管理者 | 読谷村立歴史民俗資料館 |
| 分類 | 本格昔話 |
| 発句(ほっく) | - |
| 伝承事情 | - |
| 文字化資料 | 読谷村民話資料集9波平の民話 P65 |
| キーワード | 中国,ブー王,本妻,子供も二人,巡視,美女,妾,本妻を追い出した,長男に弓矢で討たれた,タヌキ,蝶や鳥にも化ける,老狐,埋葬と,泥水,人間の血を吸う,遺言,ボーフヤー,中国の話 |
| 梗概(こうがい) | 聞いたのは私が今から何年前かな、六十七、六十八歳になっているから私が十四、五かな、十四、五ぐらいのさ、聞いた話だが、おやじから聞いた話だからね、だいたい、おやじだったと思うんだよ。何かこう、なにかのついでに話がでて、こういう話をきいたんだがね。昔、中国にね、ブー王という王様がいたというんだよね。その人がね本妻もいらっしゃるんだが、子供も二人はいたというんだ。ある時、その王様がね、自分の領土内だからね、あっちこっちまわって見る巡視というか、その時にね、休んでいる目の前からね、非常にきれいな人がね、非常に珍しく、ほんとの美女だなというふうな人が通ったのをね、見かけて、ね、それを、心にあれしておったんだろうね。自分のお城に帰ってからね、自分の部下に「おい、あの女の子は非常にきれいだったがね、まだ結婚してないのかな、結婚しているのかな。」やっぱりあるていど聞いたんだね。したら、王様のことだからね、部下が調べるのは訳ないさね、権利あるわけだから。調べたら、まだ未婚者であるということが分かったもんだからね、それを、じゃ、はじめは、自分のお手伝いか。そういうもののかたちをとって、連れてこんかということであるもんだから、王さまのことだからもう二言いえないさね。本人でも、連れていってね、はじめは、お手伝いであったんだが、しだいしだいに、女中さーな、女中であったんだが、日がたつにつれてしだいに、いよいよ分かるわけだろうね、あとはそのー、妾という、ま、ユーベーさーね、妾という段位までもってきたらしい本妻がいるもんだから。最初は、その、あんまり遠慮してね、本性いうかな表さないでね。いたそうだよ、しかし、後はしだいしだいに、何年かたつにしたがってね、その本妻を追い出そうというふうな野望がでたんだろう。そうして、しまいには、本妻を追い出した。で、そこには、長男、次男がいるもんだからね、本妻は出したけれども、子供までは出すことはできないさあね。そのまましておった。そういう最初は。それでね、そのやっぱり、あんまりきれいなもんだからやっぱり誰がも、疑いはしないけれどね、長男、次男がなにかのひょうしに、その二号さんのね、本性みたんじゃないかな、それは本当の人間ではないということをね。見たもんだから、それをいわば、王様に話しても、それはもうほれてしまっておるから、そこはもう問題じゃないでね、あとはもう、とうとうそれを、見ぬかれたもんだから、長男と次男をなにかこう二人をおろして、自分のかってにやろうというあれが、そういうふうなことをやったんだろう。それを反対にね、長男に弓矢で討たれておるんだよ。この人はね、そして、討とうとしたら非常に、危機一髪のところで、もうやがて討つというところで、逃げたというんだ。だから逃げたのか、むかしの、これは本当の話か、嘘か分からんがね、とにかくタヌキだから、蝶にも、鳥にも化けることができるわけさーね。で、鳥に化けて、飛ぼうとするところを討(うち)おとされて、 落ちたというんだ。見たら、その老狐 きつねであったというんだよ。だから、もうこれはもうたいへんだということでよ、なんかに埋めたらね、また出てくるからと、昔はやっぱり埋葬というのは、土で埋めているからね。土に埋めたらいかんだろう、と思ってからに、水に入れてもよくないし、泥に、泥水に入れてしまって、入れてしたら、あとは出てこないだろうというつもりで、埋めたらしいんだよ。それが、そのそういうふうにね、死ぬまぎわになってね、そのきつねは死んでも、とにかく人間の血を吸ってやる、ということを遺言かな、残してね、埋められたというんだ。 それで、もう、ドブの中だからなにもでてこないだろうというつもりで埋めたのが今の、ボーフヤーさーな、あれになってね、それが、一応、まあ、蚊になってから人間をさすというふうなね、死んでからも、こういうふうなさしたというあれだね。それで、その、よく見たらね、ボーフヤー、あの蚊の顔をよく見たらね、あんたがた、見たことあるかしらんけど、本当、きつねに似ておるんだ。本当はね、あれが、話がそういうふうになって、それが一致しておるから、こういう話、でたかどうかしらんけど、そういうふうなね、顔も似ておるしね、また蚊の泣き声がね、王さまを憎んで泣く、ブーオー、ブーオーと泣くらしいんだよ。それが誰かが考えたのかしらんけど、私は、それを聞いたさーね、そういうもんで、泣き声がそういうふうな泣き声さーね。だからこれ中国の話だよ。 |
| 全体の記録時間数 | 6:49 |
| 物語の時間数 | 6:49 |
| 言語識別 | 共通語 |
| 音源の質 | △ |
| テープ番号 | - |
| 予備項目1 | - |