吉屋ウミチルーの歌を返す人がいたら、吉屋が歌の上句を歌うわけね。「流りゆる水に桜花浮きてぃ」と言ったら、流れている水に桜の花が落ち、浮かべてみたらということでしょう。そしたら、流りゆる水に桜花浮きてぃと上句を詠んだら、下句を歌う人がいなかったって、そして、中城ウメーといって、中城のどこの按司だったかな、その若侍がね。『色(いる)美(ぢゅ)らさあてぃるすくてぃんちゃる〈あまりの美しさにすくってみたよ〉』と、歌を返した。そしたら吉屋ウミチルーは中城ウメーに呼ばれて、中城ウメーと恋仲になり、結婚するつもりでいた。昔は、たいへんみすぼらしい商売で嫌がられているある葬儀屋がいた。その葬儀屋はジュリアンマーに、「一万銭あげるから吉屋ウミチルーを、私の所に呼んでくれ。」と言った。そういうことで、お客に呼ばれたので、吉屋ウミチルーは自分の恋した中城ウメーとはもう結ばれないと悟った。そうして、自分はもう体が汚れているので、若按司とは結ばれないので、自分は死ぬよりほかはないと思った。そして、アンマーに、「一万銭のお金が欲しいばかりに、二万銭のお金も捨てて、吉屋ウミチルーの命までも捨てるよ。」と、掛け歌をした。これを聞いたアンマーは、これはしまったことをしたなあと、なだめたりすかしたりしてみたけど、明日早々には命を捨てるよと、アンマーに言い残し、(翌日は)波之上から落ちて死んでしまった。そして、その若按司が、首里に、殿内といったら侍が集まってお城のようなものをつくった。その時に、この殿内の名前を考えてくるようにと言われたのである。そしたら、この若侍は何名前を付けたらいいかなと、たいへん考えた。何御殿付けたらいいかなと、行ったり来たりして考えていたら、死んで骨になっている吉屋ウミチルーが教えたそうだ。『遊(あし)びうちゃがいる御茶屋御殿(うちゃやうどぅん)〈御茶屋御殿は遊ぶのにとってもいい所だよ〉』遊びうちゃがいる御茶屋御殿〈これの上句なんだったかな、覚えていたけど忘れている〉と(吉屋ウミチルー)が言ったら、これは確かに吉屋ウミチルーであったが、もう一回聞かしてくれと言った。そしたら、もう一回この歌を歌ったので、あっ、御茶屋御殿付けたらいいんだなということで、御茶屋御殿と付けた。吉屋ウミチルーは、死んでもウメーぐゎーを愛していたんでしょうね。そして、そのウメーぐゎーのために歌を歌ったということである。『拝(うが)り悲(なち)かさや首里(すゆい)御天(うてぃん)じゃなし〈見るたびに悲しいよ首里御天じゃなし〉遊(あし)びぬかりらん御茶屋御殿(うちゃやうどぅん)〈遊ぶのにちょうどよいよ、御茶屋御殿は〉』そういう歌を吉屋ウミチルーが二回歌ったので、御茶屋御殿と付けたそうだ。
| レコード番号 | 47O372698 |
|---|---|
| CD番号 | 47O37C117 |
| 決定題名 | 吉屋チルー(シマグチ混) |
| 話者がつけた題名 | 吉屋チルー |
| 話者名 | 与儀トシ |
| 話者名かな | よぎとし |
| 生年月日 | 19090411 |
| 性別 | 女 |
| 出身地 | 沖縄県読谷村波平 |
| 記録日 | 19851220 |
| 記録者の所属組織 | ゆうがおの会 |
| 元テープ番号 | 読谷村波平T05B06 |
| 元テープ管理者 | 読谷村立歴史民俗資料館 |
| 分類 | 伝説 |
| 発句(ほっく) | - |
| 伝承事情 | 子どもの頃、おじいさんに聞かされた。 |
| 文字化資料 | 読谷村民話資料集9波平の民話 P169 |
| キーワード | 吉屋ウミチルー,歌を返す,中城ウメー,若侍,恋仲,みすぼらしい商売,葬儀屋,ジュリアンマ,一万銭,波之上,落ちて死んだ,骨,御茶屋御殿 |
| 梗概(こうがい) | 吉屋ウミチルーの歌を返す人がいたら、吉屋が歌の上句を歌うわけね。「流りゆる水に桜花浮きてぃ」と言ったら、流れている水に桜の花が落ち、浮かべてみたらということでしょう。そしたら、流りゆる水に桜花浮きてぃと上句を詠んだら、下句を歌う人がいなかったって、そして、中城ウメーといって、中城のどこの按司だったかな、その若侍がね。『色(いる)美(ぢゅ)らさあてぃるすくてぃんちゃる〈あまりの美しさにすくってみたよ〉』と、歌を返した。そしたら吉屋ウミチルーは中城ウメーに呼ばれて、中城ウメーと恋仲になり、結婚するつもりでいた。昔は、たいへんみすぼらしい商売で嫌がられているある葬儀屋がいた。その葬儀屋はジュリアンマーに、「一万銭あげるから吉屋ウミチルーを、私の所に呼んでくれ。」と言った。そういうことで、お客に呼ばれたので、吉屋ウミチルーは自分の恋した中城ウメーとはもう結ばれないと悟った。そうして、自分はもう体が汚れているので、若按司とは結ばれないので、自分は死ぬよりほかはないと思った。そして、アンマーに、「一万銭のお金が欲しいばかりに、二万銭のお金も捨てて、吉屋ウミチルーの命までも捨てるよ。」と、掛け歌をした。これを聞いたアンマーは、これはしまったことをしたなあと、なだめたりすかしたりしてみたけど、明日早々には命を捨てるよと、アンマーに言い残し、(翌日は)波之上から落ちて死んでしまった。そして、その若按司が、首里に、殿内といったら侍が集まってお城のようなものをつくった。その時に、この殿内の名前を考えてくるようにと言われたのである。そしたら、この若侍は何名前を付けたらいいかなと、たいへん考えた。何御殿付けたらいいかなと、行ったり来たりして考えていたら、死んで骨になっている吉屋ウミチルーが教えたそうだ。『遊(あし)びうちゃがいる御茶屋御殿(うちゃやうどぅん)〈御茶屋御殿は遊ぶのにとってもいい所だよ〉』遊びうちゃがいる御茶屋御殿〈これの上句なんだったかな、覚えていたけど忘れている〉と(吉屋ウミチルー)が言ったら、これは確かに吉屋ウミチルーであったが、もう一回聞かしてくれと言った。そしたら、もう一回この歌を歌ったので、あっ、御茶屋御殿付けたらいいんだなということで、御茶屋御殿と付けた。吉屋ウミチルーは、死んでもウメーぐゎーを愛していたんでしょうね。そして、そのウメーぐゎーのために歌を歌ったということである。『拝(うが)り悲(なち)かさや首里(すゆい)御天(うてぃん)じゃなし〈見るたびに悲しいよ首里御天じゃなし〉遊(あし)びぬかりらん御茶屋御殿(うちゃやうどぅん)〈遊ぶのにちょうどよいよ、御茶屋御殿は〉』そういう歌を吉屋ウミチルーが二回歌ったので、御茶屋御殿と付けたそうだ。 |
| 全体の記録時間数 | 6:26 |
| 物語の時間数 | 6:26 |
| 言語識別 | 混在 |
| 音源の質 | 〇 |
| テープ番号 | - |
| 予備項目1 | - |