金持ちとね、貧乏者(びんぼうもん)といたわけさ。あんさーいよ、あぬ金持ちの人にね、ある旅人がね、旅人があぬこんな夜おそくさ、寒い時に「この一夜ね明かさせてくれ。」と金持ちの所に行ったわけさ。金持ちの方はね、そんな身すぼらしい姿をしているね、泊(とぅ)まいが来(ちょー)して、宿(やどぅ)借(か)いが来(ちょー)して、「身すぼらしい姿しているからね、あんたに借すことはできない。」言ったわけさーね。金持ちのところは。そして隣の貧乏者(びんぼうもん)に行ったわけさ。あんさーい隣の貧乏はね、「あぬこんなところで、しむらーや、こんな汚い所でありますけど、こっちでよろしかったら、あぬ泊まって下さい。」りちょーるばーて。あんさぐとぅ、「おー。」りち、うまんかい泊(とぅ)まやーいや、翌日よあれだったって。またその次もね、また来てから、その次ももう、その金持ちはね、いつも追い返していたわけさ。あんさーい、何回もなったからよ、今度はよ、うぬ、なあ、旅人はね、普通の老人でなく神様であったわけさあや。あんさーいや、何回なたぐとぅや、うぬ、金持(えーき)ん人(ちゅ)ぬ、ありから追い返されてね、追い返されて、あんさーい、じゃあぬ、貧乏者のところへ行って泊まるからりち、泊(とぅ)まやーい帰るわけさーや。あんさーい帰ったからや、あぬ貧乏者は、今度はね、その代わりその旅人は普通の人でなくて神様でしょう。そしたら、お正月のときだったけどね。ちょうど今先の火正月(ひーしょうがつ)ということもまじとーるちむやるばーて。火正月に老人のや、貧乏者の老人さ。いろりにあたっている所だからね。夜はあの火正月している所にね。あの旅の老人が来てね。そう言ったから、あの金持ちは追い返して、その貧乏者は泊めたでしょう。あんさぐとぅよ、あんやんりるばーよ。あんさーい帰ったぐとぅや、老人は「ありがとうでした。」りち帰(けー)たぐとぅや、ありよーい、なあ、その途中でね、火(ひー)にあたっている途中、最中さ、あぬいろんな話ぐゎーしてさ、あぬ老人たちはね、貧乏な老人たちはね、食べる物がないからね、火正月しようねってね。やっていたわけさ。あんさーい「あんたもね、一緒にいろりにあたってね、一緒にやりましょうね。」っていたわけさーや、その旅の老人がね、あんたたちはね、貧乏の老人方にさ、「あんた方は何がほしいですか。何が一番いいと思いますか。」ってね聞いたわけさあや。して、「さあ何がいいかねー。さあ何がいいかねー。」って考えていたわけさあや。あんさぐとぅや、あぬありやるばー、今度は何がほしいと言いきれなかったわけさあや、その貧乏の老人たちは。あんさぐとぅ、その旅の老人がや。「あぬ、若返りもあるしや、金持ちになることもあるし、どっちがいいか。」また聞いたわけさあや。あんぐとぅや、「そうですか。」とその老人は、貧乏の老人は言ったわけさーや。あんさーいさぐとぅ、今度あぬ、考えてよー、貧乏の老人方んや、「今から、あぬお金をもらってもね、お金をもらってもそのお金を使ってね。あれすることはできないし、私たちがね、あの若返ることができたならば、その若返りをね、させてほしい。」言ったから、「そうか。」って、その願いのまま希望のままにね、あの「そうか。」って、「明日の朝ね、早く風呂に入りなさい。」って言ったわけさ。そしてね、さよならしていろいろよもやま話をして帰ったわけさーや、一晩中話して帰ったわけさーや。あんさーい帰ったぐとぅや、もうほんとにその教えたとおりによ。若水、たとえば正月、年(とぅし)ぬ夜(ゆーる)ねー、若水迎(んけー)せー、あの昔からぬ風習やや、あれしたから、あぬ、本当(ほんと)ぬなあ老人方よ、もう六十、七十、もうとてもしわよってさ。あぬいっペーぬありうるやしが、老人るやしが、もう三十か四十くらいのね、若返りのつやが出てね、つやつやしたきれいな膚に若返ってさあ、二人夫婦ともさ。あんしさーい正月迎(んけー)とーるばーて。あんしさぐとぅ、今度(くんど)ぉ隣の金持ちがよ、そのことを聞いてね、今したらね、その老人というものはどっちまで行っているかってね。あんたちがね、こんなに若返ったものを見てよ、もうやけくそなっているわけさ。その隣の金持ちたちは、やけくそなってからに、「今、その、旅の老人というものはや、どの辺行っているか。」って聞いているわけさーや。あんさぐとぅや、「なあ、うまりかーるやさに、あんまり遠(とー)くぉ行かんあっちこっちや、廻るって言いよったから、あぬうまりかーるやるはじ。」言ったわけさーや、そのおばあさんたーがて、言ちゃぐとぅ、もう追っかけて行ったわけさ。うぬ金持ちぬ、借らさんぐとぅ帰(けー)りりち追いかえした人さ。あんさーいあぬ、追っかけて行ってからもう運よくたどり着いたわけさーや。その老人に、あんさぐとぅもうこうこういう話だからね、「話を聞いてね。私はびっくりして、私がやったことはね、私たちがやったことは悪かったけどね、ごめんなさい。家(うち)にも来てね、そのことを教えて下さい。」ってね、言ったらよ、「そうか。」ってね、またもどって来てね。その金持ちの家にその話を教えたわけさ。あんさぐとぅや、あぬ、そのとおりやったらよ。もう逆にね、もう老いぼれてどうしようもない人間になっていたわけさ。あんさーいなあ、まあ腹たちゃーいて、その金持ちぬ、あぬ、老人たーや、腹たってね、またなあ、出(ん)じてぃ行(ん)ぢゃーいなあ、「くれーなあ許ちぇーならん。」りやーいて、隣(とぅない)ねーこんないいことを教えてね、いいことをやってあげてね。私(わっ)たんかいやうんぐとぅーしちや、悪いことを教えてや。やったから逆にこんななってや、これは許ちぇーならん。」りち追っかけて行ったわけさーや。あんさぐとぅ、なあ追っかけてもしようがないさ。「あんたちはね、前からね、以前からこんな悪い心がね、汚なかったから、仕方ないんだよ。」りやーいて。あんさーいなあよー、くりからね、あぬ、もうしゃくにさわってさ、あぬ、やけくそなやーい、しゃくそーてぃ、あんさーいいろんななぁ、なあ、乱暴してよー、あれしたから、その夫婦や、猿に化けるものもいるし、猫に化けるのもいるしや、あぬいろんなあぬ、夫婦(みーとぅんだ)、夫婦るやしがて。なあ、猿に化けてけだものなとーるばーて。その家(うち)はね、化けて逃(ひん)ぎたぐとぅや、うらんなたれー、うぬ金持ちぬ家(やー)や、隣のおばあさんたーが、またうぬ老人やちゃーなかい、「とーいったーやなあ、隣にや化きてぃ逃(ひん)ぎてぃうらんぐとぅや、山に行っていったーやくぬ家(やー)や、いったー物(むん)しーよー。」りち、くれたわけさーや。あんさぐとぅまた帰って来てね、犬、猿、いろんなものに化けて帰って来て、「こっちは自分の家だから。」りち、あんさーい帰って来たから、今度、この老人が来て、仕方がないからりち。うぬ猿(さーる)やよーい、あんまり猿は、こっちの主人だよ、悪いね、猿になったのはね、こっちの主(ぬーし)だから、「あんまりやうったーがすし、いゃーやあぬ、けーとぅてぃ、あぬ欲しがるのなら、あんしぇーいゃーんそんならいい方法を教えようね。」りやーい、「あぬ、庭(なー)なかいある石よ、あれを取って来なさい。」りやーいや。あれを取って来なさいりやーい、火(ひー)や燃(めー)るうまんかいかさびらさーいよ。あんさい重(かさ)びらさい焼きとーせーや、焼けているさ。焼けた石の上にね。その主(ぬーし)ぇ猿(さーる)なとーぐとぅや、その上に座ったから、猿の尻(けつ)がね、赤くなってね。もうアギジャミヨーして、これきりね、これきりね、山に逃げて行ったって。
| レコード番号 | 47O372646 |
|---|---|
| CD番号 | 47O37C115 |
| 決定題名 | 猿長者(シマグチ混) |
| 話者がつけた題名 | 猿長者 |
| 話者名 | 知花シゲ |
| 話者名かな | ちばなしげ |
| 生年月日 | 19091104 |
| 性別 | 女 |
| 出身地 | 沖縄県読谷村波平 |
| 記録日 | 19770220 |
| 記録者の所属組織 | 読谷村民話調査団第8班 |
| 元テープ番号 | 読谷村波平T03B07 |
| 元テープ管理者 | 読谷村立歴史民俗資料館 |
| 分類 | 本格昔話 |
| 発句(ほっく) | - |
| 伝承事情 | - |
| 文字化資料 | 読谷村民話資料集9波平の民話 P54 |
| キーワード | 金持ち,貧乏者,旅人,身すぼらしい姿,神様,火正月,若返り,風呂,若水,正月,年の夜,猿,猫,焼けた石,猿の赤尻 |
| 梗概(こうがい) | 金持ちとね、貧乏者(びんぼうもん)といたわけさ。あんさーいよ、あぬ金持ちの人にね、ある旅人がね、旅人があぬこんな夜おそくさ、寒い時に「この一夜ね明かさせてくれ。」と金持ちの所に行ったわけさ。金持ちの方はね、そんな身すぼらしい姿をしているね、泊(とぅ)まいが来(ちょー)して、宿(やどぅ)借(か)いが来(ちょー)して、「身すぼらしい姿しているからね、あんたに借すことはできない。」言ったわけさーね。金持ちのところは。そして隣の貧乏者(びんぼうもん)に行ったわけさ。あんさーい隣の貧乏はね、「あぬこんなところで、しむらーや、こんな汚い所でありますけど、こっちでよろしかったら、あぬ泊まって下さい。」りちょーるばーて。あんさぐとぅ、「おー。」りち、うまんかい泊(とぅ)まやーいや、翌日よあれだったって。またその次もね、また来てから、その次ももう、その金持ちはね、いつも追い返していたわけさ。あんさーい、何回もなったからよ、今度はよ、うぬ、なあ、旅人はね、普通の老人でなく神様であったわけさあや。あんさーいや、何回なたぐとぅや、うぬ、金持(えーき)ん人(ちゅ)ぬ、ありから追い返されてね、追い返されて、あんさーい、じゃあぬ、貧乏者のところへ行って泊まるからりち、泊(とぅ)まやーい帰るわけさーや。あんさーい帰ったからや、あぬ貧乏者は、今度はね、その代わりその旅人は普通の人でなくて神様でしょう。そしたら、お正月のときだったけどね。ちょうど今先の火正月(ひーしょうがつ)ということもまじとーるちむやるばーて。火正月に老人のや、貧乏者の老人さ。いろりにあたっている所だからね。夜はあの火正月している所にね。あの旅の老人が来てね。そう言ったから、あの金持ちは追い返して、その貧乏者は泊めたでしょう。あんさぐとぅよ、あんやんりるばーよ。あんさーい帰ったぐとぅや、老人は「ありがとうでした。」りち帰(けー)たぐとぅや、ありよーい、なあ、その途中でね、火(ひー)にあたっている途中、最中さ、あぬいろんな話ぐゎーしてさ、あぬ老人たちはね、貧乏な老人たちはね、食べる物がないからね、火正月しようねってね。やっていたわけさ。あんさーい「あんたもね、一緒にいろりにあたってね、一緒にやりましょうね。」っていたわけさーや、その旅の老人がね、あんたたちはね、貧乏の老人方にさ、「あんた方は何がほしいですか。何が一番いいと思いますか。」ってね聞いたわけさあや。して、「さあ何がいいかねー。さあ何がいいかねー。」って考えていたわけさあや。あんさぐとぅや、あぬありやるばー、今度は何がほしいと言いきれなかったわけさあや、その貧乏の老人たちは。あんさぐとぅ、その旅の老人がや。「あぬ、若返りもあるしや、金持ちになることもあるし、どっちがいいか。」また聞いたわけさあや。あんぐとぅや、「そうですか。」とその老人は、貧乏の老人は言ったわけさーや。あんさーいさぐとぅ、今度あぬ、考えてよー、貧乏の老人方んや、「今から、あぬお金をもらってもね、お金をもらってもそのお金を使ってね。あれすることはできないし、私たちがね、あの若返ることができたならば、その若返りをね、させてほしい。」言ったから、「そうか。」って、その願いのまま希望のままにね、あの「そうか。」って、「明日の朝ね、早く風呂に入りなさい。」って言ったわけさ。そしてね、さよならしていろいろよもやま話をして帰ったわけさーや、一晩中話して帰ったわけさーや。あんさーい帰ったぐとぅや、もうほんとにその教えたとおりによ。若水、たとえば正月、年(とぅし)ぬ夜(ゆーる)ねー、若水迎(んけー)せー、あの昔からぬ風習やや、あれしたから、あぬ、本当(ほんと)ぬなあ老人方よ、もう六十、七十、もうとてもしわよってさ。あぬいっペーぬありうるやしが、老人るやしが、もう三十か四十くらいのね、若返りのつやが出てね、つやつやしたきれいな膚に若返ってさあ、二人夫婦ともさ。あんしさーい正月迎(んけー)とーるばーて。あんしさぐとぅ、今度(くんど)ぉ隣の金持ちがよ、そのことを聞いてね、今したらね、その老人というものはどっちまで行っているかってね。あんたちがね、こんなに若返ったものを見てよ、もうやけくそなっているわけさ。その隣の金持ちたちは、やけくそなってからに、「今、その、旅の老人というものはや、どの辺行っているか。」って聞いているわけさーや。あんさぐとぅや、「なあ、うまりかーるやさに、あんまり遠(とー)くぉ行かんあっちこっちや、廻るって言いよったから、あぬうまりかーるやるはじ。」言ったわけさーや、そのおばあさんたーがて、言ちゃぐとぅ、もう追っかけて行ったわけさ。うぬ金持ちぬ、借らさんぐとぅ帰(けー)りりち追いかえした人さ。あんさーいあぬ、追っかけて行ってからもう運よくたどり着いたわけさーや。その老人に、あんさぐとぅもうこうこういう話だからね、「話を聞いてね。私はびっくりして、私がやったことはね、私たちがやったことは悪かったけどね、ごめんなさい。家(うち)にも来てね、そのことを教えて下さい。」ってね、言ったらよ、「そうか。」ってね、またもどって来てね。その金持ちの家にその話を教えたわけさ。あんさぐとぅや、あぬ、そのとおりやったらよ。もう逆にね、もう老いぼれてどうしようもない人間になっていたわけさ。あんさーいなあ、まあ腹たちゃーいて、その金持ちぬ、あぬ、老人たーや、腹たってね、またなあ、出(ん)じてぃ行(ん)ぢゃーいなあ、「くれーなあ許ちぇーならん。」りやーいて、隣(とぅない)ねーこんないいことを教えてね、いいことをやってあげてね。私(わっ)たんかいやうんぐとぅーしちや、悪いことを教えてや。やったから逆にこんななってや、これは許ちぇーならん。」りち追っかけて行ったわけさーや。あんさぐとぅ、なあ追っかけてもしようがないさ。「あんたちはね、前からね、以前からこんな悪い心がね、汚なかったから、仕方ないんだよ。」りやーいて。あんさーいなあよー、くりからね、あぬ、もうしゃくにさわってさ、あぬ、やけくそなやーい、しゃくそーてぃ、あんさーいいろんななぁ、なあ、乱暴してよー、あれしたから、その夫婦や、猿に化けるものもいるし、猫に化けるのもいるしや、あぬいろんなあぬ、夫婦(みーとぅんだ)、夫婦るやしがて。なあ、猿に化けてけだものなとーるばーて。その家(うち)はね、化けて逃(ひん)ぎたぐとぅや、うらんなたれー、うぬ金持ちぬ家(やー)や、隣のおばあさんたーが、またうぬ老人やちゃーなかい、「とーいったーやなあ、隣にや化きてぃ逃(ひん)ぎてぃうらんぐとぅや、山に行っていったーやくぬ家(やー)や、いったー物(むん)しーよー。」りち、くれたわけさーや。あんさぐとぅまた帰って来てね、犬、猿、いろんなものに化けて帰って来て、「こっちは自分の家だから。」りち、あんさーい帰って来たから、今度、この老人が来て、仕方がないからりち。うぬ猿(さーる)やよーい、あんまり猿は、こっちの主人だよ、悪いね、猿になったのはね、こっちの主(ぬーし)だから、「あんまりやうったーがすし、いゃーやあぬ、けーとぅてぃ、あぬ欲しがるのなら、あんしぇーいゃーんそんならいい方法を教えようね。」りやーい、「あぬ、庭(なー)なかいある石よ、あれを取って来なさい。」りやーいや。あれを取って来なさいりやーい、火(ひー)や燃(めー)るうまんかいかさびらさーいよ。あんさい重(かさ)びらさい焼きとーせーや、焼けているさ。焼けた石の上にね。その主(ぬーし)ぇ猿(さーる)なとーぐとぅや、その上に座ったから、猿の尻(けつ)がね、赤くなってね。もうアギジャミヨーして、これきりね、これきりね、山に逃げて行ったって。 |
| 全体の記録時間数 | 9:58 |
| 物語の時間数 | 9:58 |
| 言語識別 | 混在 |
| 音源の質 | △ |
| テープ番号 | - |
| 予備項目1 | - |