ある家庭にね、その家の子供が、「私は自分の親たるものを、畑のあぜ道の片側に捨てに行くことはできない。私の親は、家の中の床下に、誰がも分からないように、私の親は自分の家でちゃんと面倒は見る。」ということであった。ある若者、男の子がね、自分の床下にちゃんと親が住めるように作って、そこに親を住まわせたようだ。そうして、今度は鹿児島からね、難題がきた。鹿児島から沖縄に、何と何の品物を持って来なさいという注文がきたわけだ。そうすると、もうこの私達の琉球の王は、「どんなに考えても考えられず、どうしようか、鹿児島からの注文は、考えても考えられず、準備することができないが、どうすればいいんだろう。」と。大変心配しているところに、親を床下で養っているこの子供がね、「殿様は、どうしてそんなにしかめっ面をしていらっしゃるんですか。何事ですか。」と聞いたからね。「これは実はね、鹿児島からこうこう(難題が)きているんだよ。」と言った。「どういうことでしょうか。」と聞くと、「これは灰で縄を綯って持って来なさいということ。もう一つはね、恩納岳を壊して持って来なさい。雄鶏の卵。」と三つの難題があったそうだ。それから、「じゃ初めは灰縄だよ。」と言った。灰縄?そういうのは親を隠してある男は、考えても考えても分からなかった。「どれどれ、私の親は、私の父親は、自分の家に居るんだが、親から話を聞いてみようね。」と、その子供は、自分の親から話を聞いたわけだ。「お父さん、今鹿児島から三つの難題がきているんですけど、これは殿様も大変心配していらっしゃることですから、どうかお父さんの考えや知恵を借して下さいませんか。」と、自分の家の床下にいる親に聞いたわけだ。「三つの難題があるのか、よしよしこれはね、灰縄というのはね、やろうと思えば大変簡単にできることだよ。縄を綯ったまま焼いて、そのまま鹿児島の侍達にあげなさい。」と教えた。そして縄を綯って、藁で縄を綯って、それを焼いたままあげた。これが一つの灰縄である。また「もう一つは何でしょうか。」と言ったら、「お父さん、またもう一つありますよ。これはどうすればよろしいんでしょうか。」「よし、それも簡単なことだよ。これは鹿児島に雄鶏の卵を二つ持って来なさいということであるから。雄鶏の卵は大変簡単なことだよ。これはね、私は今妊娠しているから、この卵は、持って来ることはできないといっておきなさい。」「えっ。」と男の親は、雄鶏の卵だからとびっくりした。(鹿児島では)「男の親が妊娠するということもあるか。これは妊娠ではない。」と。「そうするのに貴方は、これが分かるのに雄鶏の卵、持って来なさいとおっしゃるんですか。えー私達男でも妊娠することができますか。」と返事をした。これはやっぱり、雄鶏の卵というのはないからね。それでこれも一問は解いた。今度は恩納岳。もう恩納岳、持って来ることになった。「恩納岳を持たしますから、あの恩納岳を、今壊して貴方の所に持たしますから、恩納岳を乗せる船を持って来てください。そうすればその船に、私が恩納岳を積んで持たしますから。」と言った。あゝなるほど、恩納岳を乗せる船はないでしょう。これで沖縄の難題事はね、勝っていた。三つの難題事はね。それから親は、生きている間は、いつでも物考えは上である。六十歳すぎようが、七十歳になろうが元気な間はいつも宝である。年寄は宝、物事でも相談することができる。生きていらっしゃる間は宝であるから、孝行するんだよ、子供達、孫達という話である。
| レコード番号 | 47O372372 |
|---|---|
| CD番号 | 47O37C103 |
| 決定題名 | 姥捨て山(シマグチ) |
| 話者がつけた題名 | 姥捨て山 |
| 話者名 | 大城利徳 |
| 話者名かな | おおしろりとく |
| 生年月日 | 19080424 |
| 性別 | 男 |
| 出身地 | 沖縄県読谷村高志保 |
| 記録日 | 19770222 |
| 記録者の所属組織 | 読谷村民話調査団第15班 |
| 元テープ番号 | 読谷村高志保T03A15 |
| 元テープ管理者 | 読谷村立歴史民俗資料館 |
| 分類 | 本格昔話 |
| 発句(ほっく) | - |
| 伝承事情 | - |
| 文字化資料 | 読谷村民話資料集8高志保の民話 P189 |
| キーワード | 親,畑のあぜ道,床下,鹿児島から難題,灰縄,恩納岳,雄鶏の卵,年寄は宝 |
| 梗概(こうがい) | ある家庭にね、その家の子供が、「私は自分の親たるものを、畑のあぜ道の片側に捨てに行くことはできない。私の親は、家の中の床下に、誰がも分からないように、私の親は自分の家でちゃんと面倒は見る。」ということであった。ある若者、男の子がね、自分の床下にちゃんと親が住めるように作って、そこに親を住まわせたようだ。そうして、今度は鹿児島からね、難題がきた。鹿児島から沖縄に、何と何の品物を持って来なさいという注文がきたわけだ。そうすると、もうこの私達の琉球の王は、「どんなに考えても考えられず、どうしようか、鹿児島からの注文は、考えても考えられず、準備することができないが、どうすればいいんだろう。」と。大変心配しているところに、親を床下で養っているこの子供がね、「殿様は、どうしてそんなにしかめっ面をしていらっしゃるんですか。何事ですか。」と聞いたからね。「これは実はね、鹿児島からこうこう(難題が)きているんだよ。」と言った。「どういうことでしょうか。」と聞くと、「これは灰で縄を綯って持って来なさいということ。もう一つはね、恩納岳を壊して持って来なさい。雄鶏の卵。」と三つの難題があったそうだ。それから、「じゃ初めは灰縄だよ。」と言った。灰縄?そういうのは親を隠してある男は、考えても考えても分からなかった。「どれどれ、私の親は、私の父親は、自分の家に居るんだが、親から話を聞いてみようね。」と、その子供は、自分の親から話を聞いたわけだ。「お父さん、今鹿児島から三つの難題がきているんですけど、これは殿様も大変心配していらっしゃることですから、どうかお父さんの考えや知恵を借して下さいませんか。」と、自分の家の床下にいる親に聞いたわけだ。「三つの難題があるのか、よしよしこれはね、灰縄というのはね、やろうと思えば大変簡単にできることだよ。縄を綯ったまま焼いて、そのまま鹿児島の侍達にあげなさい。」と教えた。そして縄を綯って、藁で縄を綯って、それを焼いたままあげた。これが一つの灰縄である。また「もう一つは何でしょうか。」と言ったら、「お父さん、またもう一つありますよ。これはどうすればよろしいんでしょうか。」「よし、それも簡単なことだよ。これは鹿児島に雄鶏の卵を二つ持って来なさいということであるから。雄鶏の卵は大変簡単なことだよ。これはね、私は今妊娠しているから、この卵は、持って来ることはできないといっておきなさい。」「えっ。」と男の親は、雄鶏の卵だからとびっくりした。(鹿児島では)「男の親が妊娠するということもあるか。これは妊娠ではない。」と。「そうするのに貴方は、これが分かるのに雄鶏の卵、持って来なさいとおっしゃるんですか。えー私達男でも妊娠することができますか。」と返事をした。これはやっぱり、雄鶏の卵というのはないからね。それでこれも一問は解いた。今度は恩納岳。もう恩納岳、持って来ることになった。「恩納岳を持たしますから、あの恩納岳を、今壊して貴方の所に持たしますから、恩納岳を乗せる船を持って来てください。そうすればその船に、私が恩納岳を積んで持たしますから。」と言った。あゝなるほど、恩納岳を乗せる船はないでしょう。これで沖縄の難題事はね、勝っていた。三つの難題事はね。それから親は、生きている間は、いつでも物考えは上である。六十歳すぎようが、七十歳になろうが元気な間はいつも宝である。年寄は宝、物事でも相談することができる。生きていらっしゃる間は宝であるから、孝行するんだよ、子供達、孫達という話である。 |
| 全体の記録時間数 | 7:01 |
| 物語の時間数 | 7:01 |
| 言語識別 | 方言 |
| 音源の質 | 〇 |
| テープ番号 | - |
| 予備項目1 | - |