「(私は)知念山口の盛小屋の 玉津である 今日は波立つ 三月の三日 玉川に降りて 髪を洗いに行こう。」髪を洗いに行くのである。そういうことであることは分かっているが。玉川に降りて、髪を洗いに行くということであるよ。波平大主というのは、子供の頃は波平真山戸という名であった。波平真山戸が、そこから散歩をしていた。「余りの水欲しさにがまんができないのだよ 貴女の御情で 呑まして下さい。」と、波平真山戸が、玉津の前に行くわけです。(すると)「さあどうぞ」と、(水を)あげるんですよ。「柄杓から汲んであげる 情であるならば 貴女の手水が とても呑みたいのです。」そうすると、玉津は「水が欲しいというのは口実でたわむれである ここにいてはいけない 急いで島に戻ろう。」急いで戻ろうということである。その時に縁は結んであったということです。そうすると、父親は(玉津が)男遊びをしたということで、生かしておくわけにはいかない。志喜屋の大屋子と、山口の西掟に、知念バーマで殺させようということである。盛小屋の親が「(玉津は)男遊びをしたということで生かしておくわけにはいかない。知念バーマで殺せ。」と言った。志喜屋の大屋子と、山口の西掟というのは、この玉津の守り役であった。それで二人は、「男遊びをしたので殺してこい。」と、行かされたのである。志喜屋の大屋子の言い分は次のとおりである。「余りにも盛小屋は 義理固くて 咲いている花も 紅葉にして落としてしまう苦しさよ。」と、もう仕方なく連れて行くのである。だから知念バーマでは、次のようなことである。「殺せ。」と、志喜屋の大屋子が、山口の西掟に願うのである。「山口の西掟よ(私の)願いはいつ果たすのか
急いで殺してしまえ。」急いで殺せということである。また志喜屋の大屋子が、「朝夕子守して育てた かわいい子よ 義理とはいえ どうして落とすことができようか。」と、「志喜屋の大屋子が 殺して下さい。」と、そして玉津は、「志喜屋の大屋子と 山口の西掟よ 生きておれば哀れで 死ねば忘れられる 少しでもあの世へ 急ぎたいのであるが いとしい里は 人よりまさっているよ やがて御主加那志の願いを 果たすであろう 願い事を果たして あの世へ行く時は 死への山道が 待っているので この手紙をあの人に 渡して下さい。」と言った。知念玉津が、志喜屋の大屋子と山口の西掟に(頼んだ。)山口の西掟は、「志喜屋の大屋子が 殺して下さい。」殺して下さいと、言ったわけだ。その時にはまたこの波平真山戸は、「ちょっと待って下さい 志喜屋の大屋子 山口の西掟 玉津の命を私に下さい。」と言うと、志喜屋の大屋子は、「山口の西掟よ 情をかけようと 私は思っているんだが 余りにも盛小屋は 義理固いのだよ 咲いている花も 紅葉にしてしまう苦しさよ 玉津の命を 真山戸にあずけて 殺してきましたと報告していて 後々になれば 心も変わるはずだから。」その時玉津は、「ああ 天の御助けか神の引き合わせか あなたと一緒に なれる嬉しさよ。」ということである。その時で終りである。
| レコード番号 | 47O372342 |
|---|---|
| CD番号 | 47O37C102 |
| 決定題名 | 手水の縁(シマグチ) |
| 話者がつけた題名 | 手水の縁 |
| 話者名 | 比嘉徳太郎 |
| 話者名かな | ひがとくたろう |
| 生年月日 | 18920102 |
| 性別 | 男 |
| 出身地 | 沖縄県読谷村高志保 |
| 記録日 | 19770222 |
| 記録者の所属組織 | 読谷村民話調査団第14班 |
| 元テープ番号 | 読谷村高志保T02B15 |
| 元テープ管理者 | 読谷村立歴史民俗資料館 |
| 分類 | 伝説 |
| 発句(ほっく) | - |
| 伝承事情 | - |
| 文字化資料 | 読谷村民話資料集8高志保の民話 P161 |
| キーワード | 知念山口,盛小屋,玉津,髪を洗いに,玉川,波平大主,波平真山戸,志喜屋の大屋子,山口の西掟,知念バーマ |
| 梗概(こうがい) | 「(私は)知念山口の盛小屋の 玉津である 今日は波立つ 三月の三日 玉川に降りて 髪を洗いに行こう。」髪を洗いに行くのである。そういうことであることは分かっているが。玉川に降りて、髪を洗いに行くということであるよ。波平大主というのは、子供の頃は波平真山戸という名であった。波平真山戸が、そこから散歩をしていた。「余りの水欲しさにがまんができないのだよ 貴女の御情で 呑まして下さい。」と、波平真山戸が、玉津の前に行くわけです。(すると)「さあどうぞ」と、(水を)あげるんですよ。「柄杓から汲んであげる 情であるならば 貴女の手水が とても呑みたいのです。」そうすると、玉津は「水が欲しいというのは口実でたわむれである ここにいてはいけない 急いで島に戻ろう。」急いで戻ろうということである。その時に縁は結んであったということです。そうすると、父親は(玉津が)男遊びをしたということで、生かしておくわけにはいかない。志喜屋の大屋子と、山口の西掟に、知念バーマで殺させようということである。盛小屋の親が「(玉津は)男遊びをしたということで生かしておくわけにはいかない。知念バーマで殺せ。」と言った。志喜屋の大屋子と、山口の西掟というのは、この玉津の守り役であった。それで二人は、「男遊びをしたので殺してこい。」と、行かされたのである。志喜屋の大屋子の言い分は次のとおりである。「余りにも盛小屋は 義理固くて 咲いている花も 紅葉にして落としてしまう苦しさよ。」と、もう仕方なく連れて行くのである。だから知念バーマでは、次のようなことである。「殺せ。」と、志喜屋の大屋子が、山口の西掟に願うのである。「山口の西掟よ(私の)願いはいつ果たすのか 急いで殺してしまえ。」急いで殺せということである。また志喜屋の大屋子が、「朝夕子守して育てた かわいい子よ 義理とはいえ どうして落とすことができようか。」と、「志喜屋の大屋子が 殺して下さい。」と、そして玉津は、「志喜屋の大屋子と 山口の西掟よ 生きておれば哀れで 死ねば忘れられる 少しでもあの世へ 急ぎたいのであるが いとしい里は 人よりまさっているよ やがて御主加那志の願いを 果たすであろう 願い事を果たして あの世へ行く時は 死への山道が 待っているので この手紙をあの人に 渡して下さい。」と言った。知念玉津が、志喜屋の大屋子と山口の西掟に(頼んだ。)山口の西掟は、「志喜屋の大屋子が 殺して下さい。」殺して下さいと、言ったわけだ。その時にはまたこの波平真山戸は、「ちょっと待って下さい 志喜屋の大屋子 山口の西掟 玉津の命を私に下さい。」と言うと、志喜屋の大屋子は、「山口の西掟よ 情をかけようと 私は思っているんだが 余りにも盛小屋は 義理固いのだよ 咲いている花も 紅葉にしてしまう苦しさよ 玉津の命を 真山戸にあずけて 殺してきましたと報告していて 後々になれば 心も変わるはずだから。」その時玉津は、「ああ 天の御助けか神の引き合わせか あなたと一緒に なれる嬉しさよ。」ということである。その時で終りである。 |
| 全体の記録時間数 | 4:42 |
| 物語の時間数 | 4:42 |
| 言語識別 | 方言 |
| 音源の質 | 〇 |
| テープ番号 | - |
| 予備項目1 | - |