首里の七宮の坊主のお話をするがね。七宮の坊主たちが、奥武山の寺に勤めに行くが、皆命を奪われたりした。そこに勤めに行くが、すぐ行った夜に魂を奪われて、翌日は葬式となった。そこで、坊主たちが、七宮の坊主たちが崇元寺(注1)の寺に揃って、いろいろ吟味している中途に〈崇元寺の寺であるよ。〉そこの寺に揃って坊主たち、住職たちが話をしているのを小坊主が聞いた。小坊主は話を聞いて、「私が請求する分、お願いするだけ何もかも準備して下さるものなら、私が勤めに行きましょう。」と言って、崇元寺の小坊主は願い出たので、「それなら、あなたの願いとはどういうことなのか。」そうしたら小坊主は、「あのハガマ一個〈昔のハガマとは御飯炊き用ですね〉に、玄翁(げんのう)〈金鎚〉一本黒縄〈へゴの繊維で綯った黒縄があったわけですね〉十束。それから薪千束。また、それから煮た肉十斤。それだけ準備して下さるのなら私があそこへ行って勤めます」と言った。そういうことで、やはりその小坊主は準備して行かせたようです。住職の坊主たちは、「今日までの命だな。もう保証はできない。ただ簡単に考えて行くけど助かる見込みはないよ。」とお互い話をしていたようだが。その小坊主は、やはり初めに持って行くものは、ハガマ一個、金鎚一本、黒縄十束、それから煮た肉十斤。「薪は後でよろしいから。」と言って。そして、奥武山に行って見た。すると、夕方になってきたら、あそこからも、こちらからも化物たちが出て来て、チューチクテンといえば、ハイチクテン。ハイチクテンといえば、チューチクテンと言って、もう化物たちが踊りをやったようだ。それは、やっぱり命を奪う者がいると考えて、本人は準備はして来ているので、黒縄で体中を巻きつけ、頭にはハガマを被り、金鎚は腰に差した。それから、自分は初めてであるから、「お箸殿です。お箸殿です。」と言った。「自分はお箸ですよ。」と言って、出て踊った。もう、そこに化物たちが集まって踊っている所に出て行ったようですよ。そして、もう夜が明けようとする頃、「もう、こんなに面白いから、明日も集まって踊りをしましょうね。」と言ったら、「そうしましょう。」とそんな話が出た。そうしたら、自己紹介になった。「あなたは何処に住んでいる者ですか。」と聞いたら、「私はどこそこの蓋の開いた古甕の中にいます。」「私はどこそこの方に放置されている杓子であります。」と言った。そういうふうに全員に居所を訪ねた。「そうしたらお前は。」と言われたので、「私はどこそこに捨てられている古お箸ですよ。」と言った。お箸から化けた者ですと自己紹介した。それでは、こんなに面白いので、ゲンコツ別れと称するもの、ゲンコツ別れをしましょうと言った。もうそれで良いという皆の相談がなった。ゲンコツ別れと称して、一人一人拳でゲンコツをした。そうしたら、残りの方々も合点した。それで小坊主は準備をして行ったでしょう。自分の体を奪われないように、黒縄で〈黒縄は嘉例と称して巻きつけて、頭にはハガマを被っているので、拳でぶたれても痛くはないでしょうし、割れもしないことだろうし。そうしたら、一番最後はその後から行ったお箸、小坊主の番になったので、「どこそこに私はいます。」と言った。最初で紹介して聞いているので、今度は大丈夫だと考え、ゲンコツ別れだと言ってカンカンたたいた。自分は腰から金鎚を抜いて、それでカンカンたたいたので、化物は皆「助けてくれー。」と叫んで逃げて行った。そして、夜明け前帰って行くと崇元寺の坊主たちが集まって、法文を読んでいた。もう、やられて化けてですね。やられて来たんだと思って法文を読もうとして準備していると、「私は小坊主ですよ。どうもありませんよ。体は黒縄で巻いて、頭はハガマを被り、腰には金鎚をさして変装している小坊主ですよ。それで、私が注文しておいた薪千束は今日すぐむこうに運んで下さい。」と言った。奥武山に薪千束を集めさせた。それで、それらの化物たちは(古道具から化けるので)、古い甕は蓋を開けておくものではない。古道具は化け易いので。その古道具が化けて、悪魔になって坊主などは初めのうちは命を奪われていたようだが。その小坊主が化物を退治してから、それから奥武山の寺は小坊主が取り仕切り立派に崇め奉られたというお話です。その話は「三国志」について話をよく知っている渡具知という方がいらっしゃる、そのおじいさんから話を聞いたよ。昔は出産の夜伽ぎの時、そんな話、「三国志」等、いろいろあったわけだが、その人の話したことだよ。だから、それも本当にあったことなんだろうね。それだから、現在でも古道具は化けるので、やたらにどこそこに捨ててはいけない。鍋蓋でも木に下げるのは、鍋蓋の下には化物たちが潜んだり、悪魔が化けやすいと言われている。そうであったという話を聞いているわけですよ。昔のおじいさん方から話を聞いているわけだから、本当にあったことであるか分からないが、恐らくあったわけでしょう。 小坊主が立派に勤めたので、奥武山の寺は立派に崇められている。そうだから住職たちが、小坊主は大変智恵があり偉いと賞賛していたそうだ。
| レコード番号 | 47O372204 |
|---|---|
| CD番号 | 47O37C096 |
| 決定題名 | 化物寺(シマグチ) |
| 話者がつけた題名 | 首里の七宮の坊主 |
| 話者名 | 福地祭良 |
| 話者名かな | ふくじさいりょう |
| 生年月日 | 18941206 |
| 性別 | 男 |
| 出身地 | 沖縄県読谷村渡慶次 |
| 記録日 | 19840327 |
| 記録者の所属組織 | 読谷ゆうがおの会 |
| 元テープ番号 | 読谷村渡慶次T08B09 |
| 元テープ管理者 | 読谷村立歴史民俗資料館 |
| 分類 | 動物昔話 |
| 発句(ほっく) | - |
| 伝承事情 | - |
| 文字化資料 | 読谷村民話資料集7渡慶次の民話 P29 |
| キーワード | 首里の七宮の坊主,奥武山の寺,崇元寺,ハガマ一個,玄翁一本,黒縄十束,薪千束,煮た肉十斤,化物が踊り,古道具が化けて悪魔になった, |
| 梗概(こうがい) | 首里の七宮の坊主のお話をするがね。七宮の坊主たちが、奥武山の寺に勤めに行くが、皆命を奪われたりした。そこに勤めに行くが、すぐ行った夜に魂を奪われて、翌日は葬式となった。そこで、坊主たちが、七宮の坊主たちが崇元寺(注1)の寺に揃って、いろいろ吟味している中途に〈崇元寺の寺であるよ。〉そこの寺に揃って坊主たち、住職たちが話をしているのを小坊主が聞いた。小坊主は話を聞いて、「私が請求する分、お願いするだけ何もかも準備して下さるものなら、私が勤めに行きましょう。」と言って、崇元寺の小坊主は願い出たので、「それなら、あなたの願いとはどういうことなのか。」そうしたら小坊主は、「あのハガマ一個〈昔のハガマとは御飯炊き用ですね〉に、玄翁(げんのう)〈金鎚〉一本黒縄〈へゴの繊維で綯った黒縄があったわけですね〉十束。それから薪千束。また、それから煮た肉十斤。それだけ準備して下さるのなら私があそこへ行って勤めます」と言った。そういうことで、やはりその小坊主は準備して行かせたようです。住職の坊主たちは、「今日までの命だな。もう保証はできない。ただ簡単に考えて行くけど助かる見込みはないよ。」とお互い話をしていたようだが。その小坊主は、やはり初めに持って行くものは、ハガマ一個、金鎚一本、黒縄十束、それから煮た肉十斤。「薪は後でよろしいから。」と言って。そして、奥武山に行って見た。すると、夕方になってきたら、あそこからも、こちらからも化物たちが出て来て、チューチクテンといえば、ハイチクテン。ハイチクテンといえば、チューチクテンと言って、もう化物たちが踊りをやったようだ。それは、やっぱり命を奪う者がいると考えて、本人は準備はして来ているので、黒縄で体中を巻きつけ、頭にはハガマを被り、金鎚は腰に差した。それから、自分は初めてであるから、「お箸殿です。お箸殿です。」と言った。「自分はお箸ですよ。」と言って、出て踊った。もう、そこに化物たちが集まって踊っている所に出て行ったようですよ。そして、もう夜が明けようとする頃、「もう、こんなに面白いから、明日も集まって踊りをしましょうね。」と言ったら、「そうしましょう。」とそんな話が出た。そうしたら、自己紹介になった。「あなたは何処に住んでいる者ですか。」と聞いたら、「私はどこそこの蓋の開いた古甕の中にいます。」「私はどこそこの方に放置されている杓子であります。」と言った。そういうふうに全員に居所を訪ねた。「そうしたらお前は。」と言われたので、「私はどこそこに捨てられている古お箸ですよ。」と言った。お箸から化けた者ですと自己紹介した。それでは、こんなに面白いので、ゲンコツ別れと称するもの、ゲンコツ別れをしましょうと言った。もうそれで良いという皆の相談がなった。ゲンコツ別れと称して、一人一人拳でゲンコツをした。そうしたら、残りの方々も合点した。それで小坊主は準備をして行ったでしょう。自分の体を奪われないように、黒縄で〈黒縄は嘉例と称して巻きつけて、頭にはハガマを被っているので、拳でぶたれても痛くはないでしょうし、割れもしないことだろうし。そうしたら、一番最後はその後から行ったお箸、小坊主の番になったので、「どこそこに私はいます。」と言った。最初で紹介して聞いているので、今度は大丈夫だと考え、ゲンコツ別れだと言ってカンカンたたいた。自分は腰から金鎚を抜いて、それでカンカンたたいたので、化物は皆「助けてくれー。」と叫んで逃げて行った。そして、夜明け前帰って行くと崇元寺の坊主たちが集まって、法文を読んでいた。もう、やられて化けてですね。やられて来たんだと思って法文を読もうとして準備していると、「私は小坊主ですよ。どうもありませんよ。体は黒縄で巻いて、頭はハガマを被り、腰には金鎚をさして変装している小坊主ですよ。それで、私が注文しておいた薪千束は今日すぐむこうに運んで下さい。」と言った。奥武山に薪千束を集めさせた。それで、それらの化物たちは(古道具から化けるので)、古い甕は蓋を開けておくものではない。古道具は化け易いので。その古道具が化けて、悪魔になって坊主などは初めのうちは命を奪われていたようだが。その小坊主が化物を退治してから、それから奥武山の寺は小坊主が取り仕切り立派に崇め奉られたというお話です。その話は「三国志」について話をよく知っている渡具知という方がいらっしゃる、そのおじいさんから話を聞いたよ。昔は出産の夜伽ぎの時、そんな話、「三国志」等、いろいろあったわけだが、その人の話したことだよ。だから、それも本当にあったことなんだろうね。それだから、現在でも古道具は化けるので、やたらにどこそこに捨ててはいけない。鍋蓋でも木に下げるのは、鍋蓋の下には化物たちが潜んだり、悪魔が化けやすいと言われている。そうであったという話を聞いているわけですよ。昔のおじいさん方から話を聞いているわけだから、本当にあったことであるか分からないが、恐らくあったわけでしょう。 小坊主が立派に勤めたので、奥武山の寺は立派に崇められている。そうだから住職たちが、小坊主は大変智恵があり偉いと賞賛していたそうだ。 |
| 全体の記録時間数 | 8:46 |
| 物語の時間数 | 8:46 |
| 言語識別 | 方言 |
| 音源の質 | ◎ |
| テープ番号 | - |
| 予備項目1 | - |