組踊りにある話なんだがね。伊佐の人ですけど、その人が継子を潮汲みに行かせるわけですよ。〈今はそういうことはないけど、昔は潮を入れて、豆腐を作っていたでしょう。〉非常に寒い時に、一番寒い時に、潮汲みに行かすんです。伊佐の人だから、伊佐浜の方が近いんだけど、そこの潮はよくないから北谷浜まで行きなさいと言った。大変寒い時だから、どうにかしたらこごえ死ぬだろうという悪企みで行かすんです。わざわざあんな遠い伊佐から北谷の方に行かしたもんだから、大変寒くて帰りには倒れてしまった。潮を担いで来て、それも道端に置いたまま倒れてしまった。そこを各国を巡視して歩いている巡視の官が通りかかり、子供が倒れているんだから、自分の着ている羽織を脱いで子供に着せた。そして、「あんたはどこの子供か。」と聞いたら、「私は宜野湾市伊佐の生まれで伊佐の大主のだれそれです。」と言うんですね。もう身分のある人の子供であるんです。今度は、巡視の官が、この子供を連れてそのお家に行った。するとその継親は、「私には全然分かりません。自分は潮汲みには行かしたんだけれども分かりません。何も悪いことをした覚えはありません。ただ潮を汲んで来なさいということは言った。」と。「しかし潮を汲んで来るように言っただけだから何も悪いことではなかった。」と言うんです。「なぜ伊佐にも、あんなりっぱな浜があって潮もあるのに、必ず北谷の方まで行かしたか。」と問いただすと、「これは潮の味が違うから、ここの潮は水が混ざっているけど、むこうの潮は純粋の潮だから。」といった。女の親は、もう絶対知らないと言い通した。今度は、女の親では、だちがあかないということで、男の親を責めたそうです。男の親を責めたら、「私は全く知らなかったんだけど、こんなに子供を苦労させてあったのか。」ということだった。巡視官は、大きな位もある裁判官みたいな人であるから、問いただされると嘘をつくことはできなかった。「よし、もうあんたはこれでいいから、この子供は将来あなた以上に伸びる子供だから、私が育てるから、あなたは侍だがね、もう百姓になりなさい。」ということで、位を下げられ、百姓にした。そして、この巡視の官が、この子供を育てて、将来大きな位までもっていったという。ああいうのは、人がみては分からないわけですからね。継子の扱いというのは、殺したいという気持ちはあっても、武器や暴力で殺すと、分かるわけだから、自分で凍死させようとしたわけです。
| レコード番号 | 47O372086 |
|---|---|
| CD番号 | 47O37C090 |
| 決定題名 | 継子話 潮汲み(共通語) |
| 話者がつけた題名 | 継子話 |
| 話者名 | 山城上光 |
| 話者名かな | やましろじょうこう |
| 生年月日 | 19010902 |
| 性別 | 男 |
| 出身地 | 沖縄県読谷村渡慶次 |
| 記録日 | 19770816 |
| 記録者の所属組織 | 読谷村民話調査団第6班 |
| 元テープ番号 | 読谷村渡慶次T04B02 |
| 元テープ管理者 | 読谷村立歴史民俗資料館 |
| 分類 | 本格昔話 |
| 発句(ほっく) | - |
| 伝承事情 | 話を聞くのが好きで幼少の頃、夜寝る前などによく祖父にねだって聞いていた。 |
| 文字化資料 | 読谷村民話資料集7渡慶次の民話 P81 |
| キーワード | 伊佐の人,継子を潮汲み,一番寒い時に潮汲み,巡視の官,伊佐の大主,男の親を責めた |
| 梗概(こうがい) | 組踊りにある話なんだがね。伊佐の人ですけど、その人が継子を潮汲みに行かせるわけですよ。〈今はそういうことはないけど、昔は潮を入れて、豆腐を作っていたでしょう。〉非常に寒い時に、一番寒い時に、潮汲みに行かすんです。伊佐の人だから、伊佐浜の方が近いんだけど、そこの潮はよくないから北谷浜まで行きなさいと言った。大変寒い時だから、どうにかしたらこごえ死ぬだろうという悪企みで行かすんです。わざわざあんな遠い伊佐から北谷の方に行かしたもんだから、大変寒くて帰りには倒れてしまった。潮を担いで来て、それも道端に置いたまま倒れてしまった。そこを各国を巡視して歩いている巡視の官が通りかかり、子供が倒れているんだから、自分の着ている羽織を脱いで子供に着せた。そして、「あんたはどこの子供か。」と聞いたら、「私は宜野湾市伊佐の生まれで伊佐の大主のだれそれです。」と言うんですね。もう身分のある人の子供であるんです。今度は、巡視の官が、この子供を連れてそのお家に行った。するとその継親は、「私には全然分かりません。自分は潮汲みには行かしたんだけれども分かりません。何も悪いことをした覚えはありません。ただ潮を汲んで来なさいということは言った。」と。「しかし潮を汲んで来るように言っただけだから何も悪いことではなかった。」と言うんです。「なぜ伊佐にも、あんなりっぱな浜があって潮もあるのに、必ず北谷の方まで行かしたか。」と問いただすと、「これは潮の味が違うから、ここの潮は水が混ざっているけど、むこうの潮は純粋の潮だから。」といった。女の親は、もう絶対知らないと言い通した。今度は、女の親では、だちがあかないということで、男の親を責めたそうです。男の親を責めたら、「私は全く知らなかったんだけど、こんなに子供を苦労させてあったのか。」ということだった。巡視官は、大きな位もある裁判官みたいな人であるから、問いただされると嘘をつくことはできなかった。「よし、もうあんたはこれでいいから、この子供は将来あなた以上に伸びる子供だから、私が育てるから、あなたは侍だがね、もう百姓になりなさい。」ということで、位を下げられ、百姓にした。そして、この巡視の官が、この子供を育てて、将来大きな位までもっていったという。ああいうのは、人がみては分からないわけですからね。継子の扱いというのは、殺したいという気持ちはあっても、武器や暴力で殺すと、分かるわけだから、自分で凍死させようとしたわけです。 |
| 全体の記録時間数 | 5:53 |
| 物語の時間数 | 5:53 |
| 言語識別 | 共通語 |
| 音源の質 | △ |
| テープ番号 | - |
| 予備項目1 | - |