背の高い人のことを、昔の人はね、「ドンドン」と言っていたよ。「背(ふる)ドンドン」ってね。あのドンドンが出た話。「背は大きいのに何か」と年寄りは言うでしょう。そのドンドンよ。あれはね、尚王時代かな、坊主御主時代、外国の黒船が入り始めたのは、その頃だったと思うが。イギリスのロンドンからね、医学博士でもあり、宣教師でもあるペッテルハイム、現在、波の上に住んでいたらしい石碑が建っているでしょう。「波の上の眼鏡」と呼ばれていた人ね。その方が(沖縄に)いらしてね。沖縄は仏教信者が多いので、キリスト教を広めるために、国中旅をしていたらしい。医者でもあるしね。博士号を取っている人だからね。それで、(その方が)宇座の部落に来られたそうだ。感冒がはやっていたので、山羊をつぶして、それを煎じて食べさせる様にと言われた。ところが、言葉がわからないものだから、一軒一軒訪問して、「ベエーベエー」と、(山羊の鳴き真似をし)、それをつぶして食べさせる様にと、言ったそうだ。ところで、この方は、自分の信頼のおける人が欲しかったんだね。(その日は)とても暑くってね。水が欲しくなったんだね。そこで、今でいう区長、宇座ウッチという人をね。〈ウッチといって掟と書くよ、掟という字をね。ウッチといって今の区長のことだよ。〉その人をお供にして、方ぼう、出かけられたそうだ。それで、「どこかにおいしい水はないものか、水が欲しいな。」と(言った。)〈比嘉ヨシ先生宅の後の方にフランチャガーという井戸があってね。今もあるよ。その井戸はフランチャガーといってね。今もあるが、元の形ではないよ。ドラム缶を入れて周辺を土で埋めて井戸は深くなっているよ。そのフランチャガーはあるよ。〉(その井戸に)区長さんが案内して、「ここの水は、大そうおいしいですよ。」と言って、水を差し上げると、(その方は)「ワーラー・ワーラー」とおっしゃった。そして、「これは、どこから湧き出た水なのか。」と尋ねた。そうしたら、宇座掟は、言葉が解らず、「この方は、どこから来たのだろう。何から何まで、もうわしらにはさっぱり解らない言葉ばかりお話になるけど、一体、どこの国からやって来たのですか。」と聞いたら、「ロンドン。」と答えた。そうすると、宇座提は「ははん、背の高い人の事をドンドンと言うんだな。」と(感違いをして)それからドンドンという言葉が出来たらしい。「背の高い人の事を、ドンドンというのだな。」といってね。それが、「ドンドン」の始まりらしいよ。ところで、「この水は、どこから湧き出たのか」と(その方が尋ねたら、)土が化石になっているのをクチャと言ってね。それで、「クチャの中からです。」と言ったら、その方は「ンチャ」と言った。そこで通訳もいい加減なものだったんだね。「土の中から出ていると言っていますよ。」と訳した。それで、「ワーラー」と「ンチャ」をつないで、「ワーラー、ンチャ、ワーラー・ンチャ」とペッテルハイムが言ったので、その井戸のことを今でも、「ワランチャガー」と呼ばれているようだよ。ところで、その水は、絶えず流れているので、ちょうど、瀬名波川の様にね、ずっと流れているのでね。(それと同じ様な川が)スネークガマといってあるんだが、戦争中、人々が避難壕にしていた所ね。それで、(そのワランチャガーの)水は、どこに流れていくのかと尋ねたら、「洞窟の中に流れていきますよ。」と言った。そしたら、「(その洞窟を)見たいな。」という事になり、またそこは近いので(洞窟まで)案内したらしい。それで、「中に入ったらとても涼しいですよ。冷たい風が吹いて、最高にいいですよ。中に入ってみますか。」と言うと、ペッテルハイムは、ハブが出て来るかも知れない。ハブに噛まれたらいけないと思って、「スネーク・カマレル。」と言ったそうだ。ハブに噛まれたらどうする「スネークカマレル。」と言った。すると、「このドンドンは、今何と言っているんだい?」と通訳に尋ねると、「スネークガマと言っていますよ。」と言った。「スネークカマレル」へビに噛まれると言っているのに通訳は「スネークガマと言っています。」と言った。それで、(その洞窟のことを)今なお「スネークガマ」と呼ばれる様になった訳だ。だから話は言われどおりに聞くと何か意味があるんだよ。今もあるよ。その洞窟は。
| レコード番号 | 47O371750 |
|---|---|
| CD番号 | 47O37C075 |
| 決定題名 | ぺッテルハイム(共通語混) |
| 話者がつけた題名 | ぺッテルハイム |
| 話者名 | 新城平永 |
| 話者名かな | あらしろへいえい |
| 生年月日 | 19210305 |
| 性別 | 男 |
| 出身地 | 沖縄県読谷村宇座 |
| 記録日 | 19830215 |
| 記録者の所属組織 | 読谷ゆうがおの会 |
| 元テープ番号 | 読谷村宇座T07A08 |
| 元テープ管理者 | 読谷村立歴史民俗資料館 |
| 分類 | 伝説 |
| 発句(ほっく) | - |
| 伝承事情 | - |
| 文字化資料 | 読谷村民話資料集6宇座の民話 P204 |
| キーワード | 背の高い人,ドンドン,背ドンドン,尚?,坊主主時代,外国の黒船,イギリスのロンドン,医学博士,宣教師,ペッテルハイ,波の上に碑,波の上の眼鏡,沖縄は仏教信者が多い,キリスト教,宇座の部,感,山羊,宇座ウッチ,フランチャガー,瀬名波川,スネークガマ |
| 梗概(こうがい) | 背の高い人のことを、昔の人はね、「ドンドン」と言っていたよ。「背(ふる)ドンドン」ってね。あのドンドンが出た話。「背は大きいのに何か」と年寄りは言うでしょう。そのドンドンよ。あれはね、尚王時代かな、坊主御主時代、外国の黒船が入り始めたのは、その頃だったと思うが。イギリスのロンドンからね、医学博士でもあり、宣教師でもあるペッテルハイム、現在、波の上に住んでいたらしい石碑が建っているでしょう。「波の上の眼鏡」と呼ばれていた人ね。その方が(沖縄に)いらしてね。沖縄は仏教信者が多いので、キリスト教を広めるために、国中旅をしていたらしい。医者でもあるしね。博士号を取っている人だからね。それで、(その方が)宇座の部落に来られたそうだ。感冒がはやっていたので、山羊をつぶして、それを煎じて食べさせる様にと言われた。ところが、言葉がわからないものだから、一軒一軒訪問して、「ベエーベエー」と、(山羊の鳴き真似をし)、それをつぶして食べさせる様にと、言ったそうだ。ところで、この方は、自分の信頼のおける人が欲しかったんだね。(その日は)とても暑くってね。水が欲しくなったんだね。そこで、今でいう区長、宇座ウッチという人をね。〈ウッチといって掟と書くよ、掟という字をね。ウッチといって今の区長のことだよ。〉その人をお供にして、方ぼう、出かけられたそうだ。それで、「どこかにおいしい水はないものか、水が欲しいな。」と(言った。)〈比嘉ヨシ先生宅の後の方にフランチャガーという井戸があってね。今もあるよ。その井戸はフランチャガーといってね。今もあるが、元の形ではないよ。ドラム缶を入れて周辺を土で埋めて井戸は深くなっているよ。そのフランチャガーはあるよ。〉(その井戸に)区長さんが案内して、「ここの水は、大そうおいしいですよ。」と言って、水を差し上げると、(その方は)「ワーラー・ワーラー」とおっしゃった。そして、「これは、どこから湧き出た水なのか。」と尋ねた。そうしたら、宇座掟は、言葉が解らず、「この方は、どこから来たのだろう。何から何まで、もうわしらにはさっぱり解らない言葉ばかりお話になるけど、一体、どこの国からやって来たのですか。」と聞いたら、「ロンドン。」と答えた。そうすると、宇座提は「ははん、背の高い人の事をドンドンと言うんだな。」と(感違いをして)それからドンドンという言葉が出来たらしい。「背の高い人の事を、ドンドンというのだな。」といってね。それが、「ドンドン」の始まりらしいよ。ところで、「この水は、どこから湧き出たのか」と(その方が尋ねたら、)土が化石になっているのをクチャと言ってね。それで、「クチャの中からです。」と言ったら、その方は「ンチャ」と言った。そこで通訳もいい加減なものだったんだね。「土の中から出ていると言っていますよ。」と訳した。それで、「ワーラー」と「ンチャ」をつないで、「ワーラー、ンチャ、ワーラー・ンチャ」とペッテルハイムが言ったので、その井戸のことを今でも、「ワランチャガー」と呼ばれているようだよ。ところで、その水は、絶えず流れているので、ちょうど、瀬名波川の様にね、ずっと流れているのでね。(それと同じ様な川が)スネークガマといってあるんだが、戦争中、人々が避難壕にしていた所ね。それで、(そのワランチャガーの)水は、どこに流れていくのかと尋ねたら、「洞窟の中に流れていきますよ。」と言った。そしたら、「(その洞窟を)見たいな。」という事になり、またそこは近いので(洞窟まで)案内したらしい。それで、「中に入ったらとても涼しいですよ。冷たい風が吹いて、最高にいいですよ。中に入ってみますか。」と言うと、ペッテルハイムは、ハブが出て来るかも知れない。ハブに噛まれたらいけないと思って、「スネーク・カマレル。」と言ったそうだ。ハブに噛まれたらどうする「スネークカマレル。」と言った。すると、「このドンドンは、今何と言っているんだい?」と通訳に尋ねると、「スネークガマと言っていますよ。」と言った。「スネークカマレル」へビに噛まれると言っているのに通訳は「スネークガマと言っています。」と言った。それで、(その洞窟のことを)今なお「スネークガマ」と呼ばれる様になった訳だ。だから話は言われどおりに聞くと何か意味があるんだよ。今もあるよ。その洞窟は。 |
| 全体の記録時間数 | 6:07 |
| 物語の時間数 | 6:07 |
| 言語識別 | 混在 |
| 音源の質 | ◎ |
| テープ番号 | - |
| 予備項目1 | - |