爺さん、婆さん夫婦は貧乏な暮らしをしており、なにも食べるものもなく、「今日は大晦日だが、我々はどういう生まれをしているのか、正月もできないなあ。」と残念がっていると、ある人が〈この人は神様だったのかなんだったのか分らないが〉御馳走など持ってきて「あなたたち、なにも食べるのがなく貧しい正月するくらいなら、これを召し上がって下さい。」と言い、食べなさいとあげたので、「珍しいことだなあ。」と御馳走だから大晦日も過ごし、翌日正月もやった。ところが、正月の翌日、二日のこと、近所に大変な金持ちの、財産家がいたんだってよ、悪人が。「お前たち、ある老人が御馳走やら何やら持ってきて、火正月じゃなく、たいそう大きな正月を迎えたそうだな。」と言ったので「そうですよ。」と答えると、「それでその人は、何処へ行ったんだ。」と聞かれ、「そこらへんを歩いていらっしゃるでしょう。」答えた。とうとうその人(老人)は、呼び返された。金持ちに。(金持ちは老人に)「わしらはもっと大きな正月をしたいと思っていますので、御馳走やらなにやらいっぱいもらえないでしょうか。」と聞いたので「お前たちは何もかもたくさんあるのに、もっとほしいのか。」「ほしいです。」「そうか、よしそれなら、お前たちにわしがもっと御馳走が欲しいならやるから、わしも恨むなよ。また隣のウスメー、ハーメーも恨むな。」と言った。そのうちに、浴(あ)みちゅうじ、〈若水というものさ〉それで湯を沸かして浴びなさい。」と言うので、その金持ち一家が、湯を沸かして浴びたら、皆、動物になったんだって。猿やら何やらね。その前までは、どうもないのに浴びたとたん動物になったんだよ。そして「今、私の家を返せ、今すぐ私の家を返せ。」と金持ち一家がやって来た。その門の前に黒石があり、その上にすわっていたんだよ。「こうこうで、もうあいつらが、動物に化けて、いやがらせしますよ。」と言うと、「そうか、それなら、その黒石を火で燃やして、すごく焼いておきなさい。」と(老人は)その爺さん、婆さんに教えた。爺さん、婆さんは焼いておいてあったんだってよ。(動物が)その石の上に座るごとに、尻や体をくっつけると焼けてしまって、そのうちに、いなくなっていたんだってよ。
| レコード番号 | 47O371736 |
|---|---|
| CD番号 | 47O37C075 |
| 決定題名 | 猿長者(方言) |
| 話者がつけた題名 | 火正月 |
| 話者名 | 山内実 |
| 話者名かな | やまうちみのる |
| 生年月日 | 19010606 |
| 性別 | 男 |
| 出身地 | 沖縄県読谷村宇座 |
| 記録日 | 19770813 |
| 記録者の所属組織 | 読谷村民話調査団第16班 |
| 元テープ番号 | 読谷村宇座T05B13 |
| 元テープ管理者 | 読谷村立歴史民俗資料館 |
| 分類 | 本格昔話 |
| 発句(ほっく) | - |
| 伝承事情 | - |
| 文字化資料 | 読谷村民話資料集6宇座の民話 P57 |
| キーワード | 爺さん婆さん夫婦,貧乏な,大晦日,正月もできない,神様,御馳走,正月の翌日,近所に大変な金持ちの財産家が,悪人,火正月,若水,動物,猿,門の前に黒石を火で焼いた,石の上に座った |
| 梗概(こうがい) | 爺さん、婆さん夫婦は貧乏な暮らしをしており、なにも食べるものもなく、「今日は大晦日だが、我々はどういう生まれをしているのか、正月もできないなあ。」と残念がっていると、ある人が〈この人は神様だったのかなんだったのか分らないが〉御馳走など持ってきて「あなたたち、なにも食べるのがなく貧しい正月するくらいなら、これを召し上がって下さい。」と言い、食べなさいとあげたので、「珍しいことだなあ。」と御馳走だから大晦日も過ごし、翌日正月もやった。ところが、正月の翌日、二日のこと、近所に大変な金持ちの、財産家がいたんだってよ、悪人が。「お前たち、ある老人が御馳走やら何やら持ってきて、火正月じゃなく、たいそう大きな正月を迎えたそうだな。」と言ったので「そうですよ。」と答えると、「それでその人は、何処へ行ったんだ。」と聞かれ、「そこらへんを歩いていらっしゃるでしょう。」答えた。とうとうその人(老人)は、呼び返された。金持ちに。(金持ちは老人に)「わしらはもっと大きな正月をしたいと思っていますので、御馳走やらなにやらいっぱいもらえないでしょうか。」と聞いたので「お前たちは何もかもたくさんあるのに、もっとほしいのか。」「ほしいです。」「そうか、よしそれなら、お前たちにわしがもっと御馳走が欲しいならやるから、わしも恨むなよ。また隣のウスメー、ハーメーも恨むな。」と言った。そのうちに、浴(あ)みちゅうじ、〈若水というものさ〉それで湯を沸かして浴びなさい。」と言うので、その金持ち一家が、湯を沸かして浴びたら、皆、動物になったんだって。猿やら何やらね。その前までは、どうもないのに浴びたとたん動物になったんだよ。そして「今、私の家を返せ、今すぐ私の家を返せ。」と金持ち一家がやって来た。その門の前に黒石があり、その上にすわっていたんだよ。「こうこうで、もうあいつらが、動物に化けて、いやがらせしますよ。」と言うと、「そうか、それなら、その黒石を火で燃やして、すごく焼いておきなさい。」と(老人は)その爺さん、婆さんに教えた。爺さん、婆さんは焼いておいてあったんだってよ。(動物が)その石の上に座るごとに、尻や体をくっつけると焼けてしまって、そのうちに、いなくなっていたんだってよ。 |
| 全体の記録時間数 | 3:25 |
| 物語の時間数 | 3:25 |
| 言語識別 | 方言 |
| 音源の質 | ◎ |
| テープ番号 | - |
| 予備項目1 | - |