昔ね、摂政三司官の位につくには、唐の国へ留学しあそこで勉強してこなくてはなれなかったそうだ。それで、第一派遣者として沖縄からある青年を選んで行かすことになった。その人は、地位のある人の息子なんだが、(何か)欠点があった。最も適任だと思われ、器量があり、知恵があり、容姿端麗で(誰からも)適任だと見られていたんだが。その欠点というのは、お箸が使えず、また、風呂にも友達と一緒にはいろうとしないことであった。何か体に欠点があるからそんなことをするのだろうと、友達が分ってしまった。「この人には無理だ、器量もよく知恵があったからとて、国賓として迎えられ支那、唐の国に渡ったとしても、食べ物が出されても、箸が使えないなら、(沖縄の)恥さらしになる。」と言った。そういうことになると、沖縄の恥になるということで第一回の唐への派遣は失敗したようだね。「そんなことでは、行かすわけにはいかん。」ということになった。それからというもの、嘆き悲観して、この青年は親にすがったようだね。「私は人並みに何でもできると思っているのだが、どうして唐へ派遣されなかったのだろうか。きっと何か原因がある。」と親に必死で問いつめたわけだ。すると親は、「お前が一人前に成長してから、母親の行方を話そうと思っていたが…。」と言った。これまで、母親は亡くなったと通していたがね。青年は、「自分の親、母親を捜すために、それが欠点としてあらわれた。もし自分の母親が生きているのであれば、ちゃんと連れてきて孝行すると、こんな思いもかなうだろう。」と言った。そうして男の親に必死になって頼んだ。男の親は、話さなくてはならないせと際まできたようだね。「もう、そうなら二人で船を出して、亡くなった親を連れて来ようね。」と行ったようだ。道中で、(男の親は)「実は、お前は人間の子供ではないんだよ。動物の子供だから、今まで隠していたんだよ。」とうちあけたそうだ。青年は、「それでも母親には変わりないから、動物でも親に変わりないから、白骨化していようとも、連れて来よう。連れて来て、ちゃんと葬りりっぱに親孝行する。」と言った。そして捜しあて、別れた場所に着いた。そこには、大きな岩があり、その岩にもたれて死んでいる動物が、その青年の母親だったそうだ。また、動物の子である青年の欠点というのが、背中に巻き毛があることで、それがチジュヤーといわれている。チジュヤーといわれるのは、そんな話なんだよ。それから、青年が要求した通り、りっぱに葬ってやり孝行したそうだ。その後やはり青年はお箸も使えるようになったそうだ。その後、第二回の唐へ派遣する人を決める場合には青年の望みがかない、(唐へ旅に出た。)その後、摂政の位につき、立身したという話、これがチジュヤーの由来記だよ。
| レコード番号 | 47O371417 |
|---|---|
| CD番号 | 47O37C062 |
| 決定題名 | 熊女房(方言) |
| 話者がつけた題名 | 浜千鳥由来 |
| 話者名 | 町田宗進 |
| 話者名かな | まちだそうしん |
| 生年月日 | 19160305 |
| 性別 | 男 |
| 出身地 | 沖縄県読谷村儀間 |
| 記録日 | 19811121 |
| 記録者の所属組織 | 読谷ゆうがおの会 |
| 元テープ番号 | 読谷村儀間T09A11 |
| 元テープ管理者 | 読谷村立歴史民俗資料館 |
| 分類 | 本格昔話 |
| 発句(ほっく) | あぬんかし |
| 伝承事情 | 芝居 |
| 文字化資料 | - |
| キーワード | 摂政三司官,唐の国へ留学,第一派遣者,お箸が使えない,風呂,沖縄の恥,母親の行方,亡くなった親,動物の子供,大きな岩,背中に巻き毛,チジュヤー |
| 梗概(こうがい) | 昔ね、摂政三司官の位につくには、唐の国へ留学しあそこで勉強してこなくてはなれなかったそうだ。それで、第一派遣者として沖縄からある青年を選んで行かすことになった。その人は、地位のある人の息子なんだが、(何か)欠点があった。最も適任だと思われ、器量があり、知恵があり、容姿端麗で(誰からも)適任だと見られていたんだが。その欠点というのは、お箸が使えず、また、風呂にも友達と一緒にはいろうとしないことであった。何か体に欠点があるからそんなことをするのだろうと、友達が分ってしまった。「この人には無理だ、器量もよく知恵があったからとて、国賓として迎えられ支那、唐の国に渡ったとしても、食べ物が出されても、箸が使えないなら、(沖縄の)恥さらしになる。」と言った。そういうことになると、沖縄の恥になるということで第一回の唐への派遣は失敗したようだね。「そんなことでは、行かすわけにはいかん。」ということになった。それからというもの、嘆き悲観して、この青年は親にすがったようだね。「私は人並みに何でもできると思っているのだが、どうして唐へ派遣されなかったのだろうか。きっと何か原因がある。」と親に必死で問いつめたわけだ。すると親は、「お前が一人前に成長してから、母親の行方を話そうと思っていたが…。」と言った。これまで、母親は亡くなったと通していたがね。青年は、「自分の親、母親を捜すために、それが欠点としてあらわれた。もし自分の母親が生きているのであれば、ちゃんと連れてきて孝行すると、こんな思いもかなうだろう。」と言った。そうして男の親に必死になって頼んだ。男の親は、話さなくてはならないせと際まできたようだね。「もう、そうなら二人で船を出して、亡くなった親を連れて来ようね。」と行ったようだ。道中で、(男の親は)「実は、お前は人間の子供ではないんだよ。動物の子供だから、今まで隠していたんだよ。」とうちあけたそうだ。青年は、「それでも母親には変わりないから、動物でも親に変わりないから、白骨化していようとも、連れて来よう。連れて来て、ちゃんと葬りりっぱに親孝行する。」と言った。そして捜しあて、別れた場所に着いた。そこには、大きな岩があり、その岩にもたれて死んでいる動物が、その青年の母親だったそうだ。また、動物の子である青年の欠点というのが、背中に巻き毛があることで、それがチジュヤーといわれている。チジュヤーといわれるのは、そんな話なんだよ。それから、青年が要求した通り、りっぱに葬ってやり孝行したそうだ。その後やはり青年はお箸も使えるようになったそうだ。その後、第二回の唐へ派遣する人を決める場合には青年の望みがかない、(唐へ旅に出た。)その後、摂政の位につき、立身したという話、これがチジュヤーの由来記だよ。 |
| 全体の記録時間数 | 4:01 |
| 物語の時間数 | 4:01 |
| 言語識別 | 方言 |
| 音源の質 | 〇 |
| テープ番号 | - |
| 予備項目1 | - |