宝箱の話(共通語混)

概要

あの昔ね、首里王府に仕えた青年がいた。その青年は大変貧乏な家庭に生まれたのだが、とても誠実で親思いの子であった。その家は食事にも事欠いて、朝、食べるとお昼には何を食べようかと心配する位に大変貧しかったというが。首里に勤めに出るようになって、弁当を持って朝早く仕事に出かけても、家に帰ってくるのは夜の七時、八時頃であった。その間でも、弁当を全部たいらげてしまえば、夕飯に食べる物がないということで全部食べる事はなかった。親の事を思って、全部を食べずに残してきていつも(親と一緒に食べて)親孝行をしていたようだ。そういうような誠実な青年だが、その青年が、道中で見ず知らずの人に出会い、その人に頼み事をされた。何の仕事なのか分らないが聞いてみると、その人が言うには、「私は、大変貧乏者で、親戚もいない、助けてくれる人もない。もう自分一人で、親の死をみとったのだが、親を葬ろうと思うが手伝ってくれる者もいないので助けてくれないだろうか。」という事であった。(青年は)思いやり深くて断わることもできずに、一緒に考えてあげようということになった。歩いていくと、丁度、自分の家の前を通りかかった。そこで、(青年は)親に申し出て、「もう、この世の中には私達より、貧しい人達が居て、親戚縁者はおらず頼るべき人もいないらしくて、こうして(自分が)頼まれているのだがどうしたらよいだろうか。」と親に相談したところ、その親も大変、良い人であったから、「そういう事ならお互い手助けしてさしあげよう。」ということになった。そこで、その死人の入った棺箱を、かついできた棺箱を、そのまま道に置けないので、そのような事情のある方(死人)ならばということで自分の家に運んでおいた。そもそも、その死人を葬むる墓地もない。それで、適当な場所をさがす間、その棺箱を家に運び、(青年と依頼した人は)死人を葬むる場所を探しに出ていった。もうどこまでも歩いて探すけれども適当な場所が見あたらず、その青年は、いったん家に戻って、また出直す考えで家に帰ってきた。ところが、肝心の依頼した人は戻ってこない。いつまで経っても戻って来なかった。青年は、不審に思い、これは何か悪い事かも知れない、また、どんなにか偉い人かも知れないと思い、棺箱を開けて見たところ、死人ではなく、黄金が入っていたという話である。それから、この正直で善良な親子の貧しい生活は、その黄金が元手になって栄えたという話をきいたことがありますよ。

再生時間:3:42

民話詳細DATA

レコード番号 47O371415
CD番号 47O37C062
決定題名 宝箱の話(共通語混)
話者がつけた題名 宝箱の話
話者名 町田宗進
話者名かな まちだそうしん
生年月日 19160305
性別
出身地 沖縄県読谷村儀間
記録日 19811121
記録者の所属組織 読谷ゆうがおの会
元テープ番号 読谷村儀間T09A09
元テープ管理者 読谷村立歴史民俗資料館
分類 本格昔話
発句(ほっく) むかしは
伝承事情 年寄り 山内カマ
文字化資料 読谷村民話資料集5儀間の民話 P92
キーワード 首里王府に仕えた青年,大変貧乏な家庭,誠実で親思いの子,弁当を親に残してきた,親の死,棺箱,棺箱,黄金
梗概(こうがい) あの昔ね、首里王府に仕えた青年がいた。その青年は大変貧乏な家庭に生まれたのだが、とても誠実で親思いの子であった。その家は食事にも事欠いて、朝、食べるとお昼には何を食べようかと心配する位に大変貧しかったというが。首里に勤めに出るようになって、弁当を持って朝早く仕事に出かけても、家に帰ってくるのは夜の七時、八時頃であった。その間でも、弁当を全部たいらげてしまえば、夕飯に食べる物がないということで全部食べる事はなかった。親の事を思って、全部を食べずに残してきていつも(親と一緒に食べて)親孝行をしていたようだ。そういうような誠実な青年だが、その青年が、道中で見ず知らずの人に出会い、その人に頼み事をされた。何の仕事なのか分らないが聞いてみると、その人が言うには、「私は、大変貧乏者で、親戚もいない、助けてくれる人もない。もう自分一人で、親の死をみとったのだが、親を葬ろうと思うが手伝ってくれる者もいないので助けてくれないだろうか。」という事であった。(青年は)思いやり深くて断わることもできずに、一緒に考えてあげようということになった。歩いていくと、丁度、自分の家の前を通りかかった。そこで、(青年は)親に申し出て、「もう、この世の中には私達より、貧しい人達が居て、親戚縁者はおらず頼るべき人もいないらしくて、こうして(自分が)頼まれているのだがどうしたらよいだろうか。」と親に相談したところ、その親も大変、良い人であったから、「そういう事ならお互い手助けしてさしあげよう。」ということになった。そこで、その死人の入った棺箱を、かついできた棺箱を、そのまま道に置けないので、そのような事情のある方(死人)ならばということで自分の家に運んでおいた。そもそも、その死人を葬むる墓地もない。それで、適当な場所をさがす間、その棺箱を家に運び、(青年と依頼した人は)死人を葬むる場所を探しに出ていった。もうどこまでも歩いて探すけれども適当な場所が見あたらず、その青年は、いったん家に戻って、また出直す考えで家に帰ってきた。ところが、肝心の依頼した人は戻ってこない。いつまで経っても戻って来なかった。青年は、不審に思い、これは何か悪い事かも知れない、また、どんなにか偉い人かも知れないと思い、棺箱を開けて見たところ、死人ではなく、黄金が入っていたという話である。それから、この正直で善良な親子の貧しい生活は、その黄金が元手になって栄えたという話をきいたことがありますよ。
全体の記録時間数 3:42
物語の時間数 3:42
言語識別 混在
音源の質
テープ番号
予備項目1

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