昔、継子と継親がいたという。この継子は男の子だったらしいが、この継親にとっては、この子はかわいくなく、どうにかして殺してしまおうと、と思っていた。ある日、「井戸を掘ってくれ。」と言ったという。〈「カー」といったら、「井戸」のことだよ。〉そう言われたので、隣に大変物知りのおばあさんがいらしたそうだが、(そこへ行って)「あのね、私のお母さんが井戸を掘りなさいと言っているのですよ。」と言った。「そういうことならね、井戸を掘ったら、掘るんだったら初めに、『宝が出てきますよ』と言って、人の丈ほど掘ってから、次には横穴を掘りなさいよ。」と、おばあさんは言ったそうだ。このおばあさんが教えて下さったので、横穴を掘ってから、「もう宝は出ないようです。」と(継親に)伝えると、「そうか」と言った。(継子は)井戸に入って横穴に隠れると、(継親が)この子を殺すために上から、大きな石を落とした。そして、夜になり、夜を待ちかねてこの継子は井戸からはい出して、おばあさんの所へ行き、「あなたがおっしゃられたとおり、ほんとにもう少しで私は殺されるところでした。私は、私を生んだ親の所へ行きたいので、どうしたら私は生んだ親の所へ行けるでしょうか。」と聞いた。(おばあさんは)「行きたいのなら、それではお前は目を閉じて、軒下を七回歩きなさい。そうすればお前の親に会えるだろう。」と教えて下さったので、「そうですか。」と言った。〈昔は、「軒下は後生」という諺があった。〉そのとおりに目を閉じて七回歩くと、後生の親に会うことができた。後生の親は、「どうして、お前はこんなにも早く、ここへ来てはいけないよ。」と言うと「継親とつきあっていると、もう私は殺されてしまいます。」と言った。それでも生んだ親としては、たとえ後生に行ってしまった親であっても、自分の子どもにはいつも現世にいてほしいと思った。「そんなことではいけないよ。」と言って諭し、その子を現世に帰したそうだ。けれども、この親(継親)と近い所にいたら大変だからといって、遠い所へ行って暮らした。この子は成人になると、農業し、農業をして芋を作ったり、野菜を作ったりして売っていた。その頃、親たちは年寄りになって、もうこの男の親は盲人になっていたらしい。そうして、今度はこの継親が町へ芋を買いに行くと、いつもこの青年は芋はかごに入れてあげていたのだが、お金を受け取る真似をして、またザルの中に入れて持たせてやっていたらしい。それで、何回もそうやっていたので、この親が不思議がって、夫に「私が町へ芋を買いに行くと珍しい青年が居ります。いつも私が買うたびに、この芋の代金は取らない。ザルの中に戻されているのですよ。」と言うと、「そうか、それならその青年を連れて来てみてはくれないか。」と言った。「そういたしましょうか。」と言って、また町へ出かけて行った。そして、その青年に、「ねえ、私の主人がお前を連れて来いと言っているよ。ねえ、私の家へ一度は行ってみないかね。」と言うと、「はい」と言って、一緒について行った。そこで、この男の親は目は見えないけれども、この青年の手を触ってみた。(青年は)手の、その腕の付け根にほくろがあったんだって、大きなほくろが。それで、このほくろを触って、「私の子供だったんだね。」と親は泣いた。泣いた涙のために目が開き、「親だったのか。」「子供だったのか。」ということになり、この時から継親も心を改めて、それから後は親孝行をして暮らしたということである。
| レコード番号 | 47O371332 |
|---|---|
| CD番号 | 47O37C059 |
| 決定題名 | 継子話 井戸掘り(方言) |
| 話者がつけた題名 | 継子話 |
| 話者名 | 具志堅タケ |
| 話者名かな | ぐしけんたけ |
| 生年月日 | 19140710 |
| 性別 | 女 |
| 出身地 | 沖縄県読谷村儀間 |
| 記録日 | 19770814 |
| 記録者の所属組織 | 読谷村民話調査団第9班 |
| 元テープ番号 | 読谷村儀間T05B18 |
| 元テープ管理者 | 読谷村立歴史民俗資料館 |
| 分類 | 本格昔話 |
| 発句(ほっく) | んかしあるとぅくるんかい |
| 伝承事情 | - |
| 文字化資料 | - |
| キーワード | 継子,継親,男の子,井戸,隣の大変物知りのおばあさん,宝,人の丈ほど掘る,横穴,大きな石,目を閉じて軒下を七回歩きなさい,軒下は後生,農業,芋や野菜,男親は盲人,腕の付け根にほくろ,目が開いた,親孝行 |
| 梗概(こうがい) | 昔、継子と継親がいたという。この継子は男の子だったらしいが、この継親にとっては、この子はかわいくなく、どうにかして殺してしまおうと、と思っていた。ある日、「井戸を掘ってくれ。」と言ったという。〈「カー」といったら、「井戸」のことだよ。〉そう言われたので、隣に大変物知りのおばあさんがいらしたそうだが、(そこへ行って)「あのね、私のお母さんが井戸を掘りなさいと言っているのですよ。」と言った。「そういうことならね、井戸を掘ったら、掘るんだったら初めに、『宝が出てきますよ』と言って、人の丈ほど掘ってから、次には横穴を掘りなさいよ。」と、おばあさんは言ったそうだ。このおばあさんが教えて下さったので、横穴を掘ってから、「もう宝は出ないようです。」と(継親に)伝えると、「そうか」と言った。(継子は)井戸に入って横穴に隠れると、(継親が)この子を殺すために上から、大きな石を落とした。そして、夜になり、夜を待ちかねてこの継子は井戸からはい出して、おばあさんの所へ行き、「あなたがおっしゃられたとおり、ほんとにもう少しで私は殺されるところでした。私は、私を生んだ親の所へ行きたいので、どうしたら私は生んだ親の所へ行けるでしょうか。」と聞いた。(おばあさんは)「行きたいのなら、それではお前は目を閉じて、軒下を七回歩きなさい。そうすればお前の親に会えるだろう。」と教えて下さったので、「そうですか。」と言った。〈昔は、「軒下は後生」という諺があった。〉そのとおりに目を閉じて七回歩くと、後生の親に会うことができた。後生の親は、「どうして、お前はこんなにも早く、ここへ来てはいけないよ。」と言うと「継親とつきあっていると、もう私は殺されてしまいます。」と言った。それでも生んだ親としては、たとえ後生に行ってしまった親であっても、自分の子どもにはいつも現世にいてほしいと思った。「そんなことではいけないよ。」と言って諭し、その子を現世に帰したそうだ。けれども、この親(継親)と近い所にいたら大変だからといって、遠い所へ行って暮らした。この子は成人になると、農業し、農業をして芋を作ったり、野菜を作ったりして売っていた。その頃、親たちは年寄りになって、もうこの男の親は盲人になっていたらしい。そうして、今度はこの継親が町へ芋を買いに行くと、いつもこの青年は芋はかごに入れてあげていたのだが、お金を受け取る真似をして、またザルの中に入れて持たせてやっていたらしい。それで、何回もそうやっていたので、この親が不思議がって、夫に「私が町へ芋を買いに行くと珍しい青年が居ります。いつも私が買うたびに、この芋の代金は取らない。ザルの中に戻されているのですよ。」と言うと、「そうか、それならその青年を連れて来てみてはくれないか。」と言った。「そういたしましょうか。」と言って、また町へ出かけて行った。そして、その青年に、「ねえ、私の主人がお前を連れて来いと言っているよ。ねえ、私の家へ一度は行ってみないかね。」と言うと、「はい」と言って、一緒について行った。そこで、この男の親は目は見えないけれども、この青年の手を触ってみた。(青年は)手の、その腕の付け根にほくろがあったんだって、大きなほくろが。それで、このほくろを触って、「私の子供だったんだね。」と親は泣いた。泣いた涙のために目が開き、「親だったのか。」「子供だったのか。」ということになり、この時から継親も心を改めて、それから後は親孝行をして暮らしたということである。 |
| 全体の記録時間数 | 3:49 |
| 物語の時間数 | 3:49 |
| 言語識別 | 方言 |
| 音源の質 | △ |
| テープ番号 | - |
| 予備項目1 | - |