黄金の子犬(方言)

概要

あるところに、男の兄弟がいたそうだ。その兄弟の兄はとても横着者で、また次男はとても親孝行者であったようだね。兄の名はマチュー、弟はカミーと言っていた。このカミーは貧乏はしているけど、とても親孝行な者、またマチューはとても金持ちだけど、親不孝者で、二人はいつも心が合わずにけんかばかりやっていたらしい。しばらくして、おじいさん(親)は病気で疲れ切ってはいるが、カミーを枕元に呼んで、「お前は平素から孝行してお金もないけど、こんなに親孝行者だから、私が死んだら葬式に余分なお金は使わないでお祭とか葬式の場合はただ来て、線香の一本、お酒の一合でよいからそれを持って来なさいね。」と、遺言なさったそうだ。そして、親は死んだのでそのカミーは、親の遺言だからと、それを守ったわけだ。昔は七日ごとの法事に行ったので、親の遺言どうり線香一本と酒一合持って行った。すると、その兄さんはたいそう怒って、持ってきた物が少ないとふたり言い合いした。弟は、「兄はもう、私の持ち物が少ないと怒っているので、私はもう考えなおしてお盆の前には行かずにお墓に行ってお供えしよう。」と決心したそうだ。このカミーはね。そうして、墓に行ってお供えして帰ろうとするとき墓の袖口からね、大きな犬が出て来たので、とても驚いてブルブルふるえたそうだ。落ちついて、よくよく考えると、「これは他所の墓ではない、お父さんのお墓だ、これはどうしても自分のお父さんにちがいない。」という気持ちになった。こんなに大きな犬が来ても驚くこともなく、この犬を可愛がって、自分の家に連れて行った。この犬はもう、どんなに追い払おうとしても逃げずについて来たので、「これ程までに、これは親の霊が宿っているにちがいない。」と、悪いようには考えなかった。家に連れて行き、飼うことにした。そうしたら、その食べ物、昔は食べ物も少なくて、お米一合炊いて、自分はひもじいおもいをしていても、その犬に食べさせたそうだ。それは神様からだったのか、その犬に食べさせた分は、いつも黄金を落としてくれたそうだ。そうしたら、貧乏者だったのだが、大金持ち、金満家になってねえ、そのカミーは。そうしたらまた、この事を聞いて兄の欲張り者は、「これは、こんな貧乏者が大金持ちになったのは珍しい。」と、聞きに行った。もうそのカミーという人は、正直者であるから、ありのままの通りに、「こうこうして行くと、この犬が来た。この犬には、一日に一合の御飯しかあげてないが、黄金をここにおいてくれるんだよ。それで私は金持ちになったんだよ。」と、兄弟話をやった。もうその欲の深い兄という者は、その犬をむりやりに自分の家に引っ張って行った。そうして飼ってしまって、「これは一合碗喰わしては、その一合の分しか返ってこない、二合でもなく、どうしても一升喰わしてやろう。」と決心した。金持ちで、悪い精神を持っているのでね、その兄は。そうしてしまいには、一合喰わせば一合の分、二合やればまたそれだけの宝が返ってくると考えた。一升喰わしたら、たくさんの黄金をそこに置くと思っていたのだろう。悪い精神だったわけねえ、兄さんは。その犬はもう、それだけ食べさせられて死んでしまったそうだ。すると、ただ畑にほったらかしてね、そこに捨てられてしまった。この事をカミーが聞いて、「これはこんなにしてはいけない。」と、その犬をかわいそうに思って自分の家に連れて来た。庭の角に穴を掘って、丁度墓に葬むるように埋めて拝んでいた。そこに木を植えたらみかんが実った。そのみかんが実る木に、クガニと言っているようだ。その木は大変繁って、枝もきれいに白い花が咲いて実がなり、みかんは小さいけれど、これをクガニと言っている。その木を植えて実をつけた後、その家はますます金持ちになり、金満家と言われたそうだ。その家庭はこの木のために金持ちになった。そのクガニというのは宝木になって、どこの子孫でもどこの家庭でも七月のお盆とか、お正月になるとそのみかんを仏壇にお供えする。その習慣は、この話からきたというのを私は聞いて覚えています。

再生時間:5:58

民話詳細DATA

レコード番号 47O371298
CD番号 47O37C057
決定題名 黄金の子犬(方言)
話者がつけた題名 黄金の花
話者名 山城ウシ
話者名かな やましろうし
生年月日 19020202
性別
出身地 沖縄県読谷村儀間
記録日 19770224
記録者の所属組織 読谷村民話調査団第2班
元テープ番号 読谷村儀間T05A02
元テープ管理者 読谷村立歴史民俗資料館
分類 本格昔話
発句(ほっく)
伝承事情 話は主に小さい頃、子守りをしながら年寄りから聞いた。
文字化資料
キーワード 兄弟,兄は横着者,次男は親孝行,兄はマチュー,弟はカミー,カミーは貧乏,マチューは金持ち,親は病気,葬式,線香の一本,酒の一合,遺言,七日ごとの法事,お盆の,墓の袖口,大きな犬,親の霊,米一合,神様,黄金,大金持ち,金満家,兄の欲張り,二合,一升,犬は死んだ,庭に葬むる,みかん,クガニ
梗概(こうがい) あるところに、男の兄弟がいたそうだ。その兄弟の兄はとても横着者で、また次男はとても親孝行者であったようだね。兄の名はマチュー、弟はカミーと言っていた。このカミーは貧乏はしているけど、とても親孝行な者、またマチューはとても金持ちだけど、親不孝者で、二人はいつも心が合わずにけんかばかりやっていたらしい。しばらくして、おじいさん(親)は病気で疲れ切ってはいるが、カミーを枕元に呼んで、「お前は平素から孝行してお金もないけど、こんなに親孝行者だから、私が死んだら葬式に余分なお金は使わないでお祭とか葬式の場合はただ来て、線香の一本、お酒の一合でよいからそれを持って来なさいね。」と、遺言なさったそうだ。そして、親は死んだのでそのカミーは、親の遺言だからと、それを守ったわけだ。昔は七日ごとの法事に行ったので、親の遺言どうり線香一本と酒一合持って行った。すると、その兄さんはたいそう怒って、持ってきた物が少ないとふたり言い合いした。弟は、「兄はもう、私の持ち物が少ないと怒っているので、私はもう考えなおしてお盆の前には行かずにお墓に行ってお供えしよう。」と決心したそうだ。このカミーはね。そうして、墓に行ってお供えして帰ろうとするとき墓の袖口からね、大きな犬が出て来たので、とても驚いてブルブルふるえたそうだ。落ちついて、よくよく考えると、「これは他所の墓ではない、お父さんのお墓だ、これはどうしても自分のお父さんにちがいない。」という気持ちになった。こんなに大きな犬が来ても驚くこともなく、この犬を可愛がって、自分の家に連れて行った。この犬はもう、どんなに追い払おうとしても逃げずについて来たので、「これ程までに、これは親の霊が宿っているにちがいない。」と、悪いようには考えなかった。家に連れて行き、飼うことにした。そうしたら、その食べ物、昔は食べ物も少なくて、お米一合炊いて、自分はひもじいおもいをしていても、その犬に食べさせたそうだ。それは神様からだったのか、その犬に食べさせた分は、いつも黄金を落としてくれたそうだ。そうしたら、貧乏者だったのだが、大金持ち、金満家になってねえ、そのカミーは。そうしたらまた、この事を聞いて兄の欲張り者は、「これは、こんな貧乏者が大金持ちになったのは珍しい。」と、聞きに行った。もうそのカミーという人は、正直者であるから、ありのままの通りに、「こうこうして行くと、この犬が来た。この犬には、一日に一合の御飯しかあげてないが、黄金をここにおいてくれるんだよ。それで私は金持ちになったんだよ。」と、兄弟話をやった。もうその欲の深い兄という者は、その犬をむりやりに自分の家に引っ張って行った。そうして飼ってしまって、「これは一合碗喰わしては、その一合の分しか返ってこない、二合でもなく、どうしても一升喰わしてやろう。」と決心した。金持ちで、悪い精神を持っているのでね、その兄は。そうしてしまいには、一合喰わせば一合の分、二合やればまたそれだけの宝が返ってくると考えた。一升喰わしたら、たくさんの黄金をそこに置くと思っていたのだろう。悪い精神だったわけねえ、兄さんは。その犬はもう、それだけ食べさせられて死んでしまったそうだ。すると、ただ畑にほったらかしてね、そこに捨てられてしまった。この事をカミーが聞いて、「これはこんなにしてはいけない。」と、その犬をかわいそうに思って自分の家に連れて来た。庭の角に穴を掘って、丁度墓に葬むるように埋めて拝んでいた。そこに木を植えたらみかんが実った。そのみかんが実る木に、クガニと言っているようだ。その木は大変繁って、枝もきれいに白い花が咲いて実がなり、みかんは小さいけれど、これをクガニと言っている。その木を植えて実をつけた後、その家はますます金持ちになり、金満家と言われたそうだ。その家庭はこの木のために金持ちになった。そのクガニというのは宝木になって、どこの子孫でもどこの家庭でも七月のお盆とか、お正月になるとそのみかんを仏壇にお供えする。その習慣は、この話からきたというのを私は聞いて覚えています。
全体の記録時間数 5:58
物語の時間数 5:58
言語識別 方言
音源の質
テープ番号
予備項目1

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