今帰仁王子は、戦いに負けられて、兄妹だけが残されてしまい、とうとう城に居られなくなってしまった、この兄妹二人はね。今帰仁の浜に、サバニがあったらしい、白浜にね。サバニは(浜へ)あげられていた。この兄妹というのは、妹の名前は、ウトゥラル、ウトゥラルと言っていた。ウトゥラルとヤチメーのふたりの兄妹であった。そして、戦いに負けてしまわれたので、(ふたりは今帰仁の)白浜におりられた。今帰仁城から、おりられてね。戦いに負けてしまったのでここにはもういられなくなってしまった。(兄が)妹へ、「ウトゥラル、舟をあそこから持ってくることができるのなら、私達は、(舟に乗り)漂流しよう、その内、どこかへ着くだろう。」と言われた。そのウトゥラルという妹は、たいそう力持ちであったそうだ。「ヤチメー、心配なさらないで下さい。私が、あそこから担(かつ)いでくるので、二人一緒に乗って(どこかへ)行きましょう。」と言った。兄のヤチメーは(心配そうに)言われたので、ウトゥラルが「心配なさらないで下さい。ヤチメー。私があの舟をここへ担いできます。それ位、私にできます。」と言った。妹のウトゥラルが言った。妹のウトゥラルが、阿旦木の茂みから舟を引きづって来て、「どうぞ、お兄さんお乗り下さい。」と言った。(二人は舟に)乗って、木の櫂で、舟を漕いで行き、着いた所が瀬名波川の西側であった。〈あそこにムンヌカーという泉があるよ。〉漂流して着いた所は、現在の瀬名波川ね、川平の瀬名波川だよ。そこの西の方へ舟がたどり着いた。舟の中で、兄のヤチメーが、「ウトゥラルよ、もう疲れ果ててしまい、水が欲しいが、ここへ水でもあれば物考えもできるのだが、ウトゥラル。」と言われたので、「ああそうですね。お兄さん。」と言った。そして、妹は、舟から降りて、五歩程行くと、水が出たらしい。五歩程歩いてね、最初に踏んだ所から水が湧き出たらしい。水が「ポッー」と湧き出たので、妹は「どうしてここからこんなものが出ているのだろう。もしかして、水ではないか。」と手にすくいとり、妹のウトゥラルが飲んでみると、なんとそれは水であった。(妹は喜んで)「お兄さん、水が湧き出ていますよ、この水を少しお飲みになって、(疲れをいやして下さい」と言うと、「ああ、そうかウトゥラル」と言った。それから兄のヤチメーも降りられて、水をすくって飲んだ。兄妹二人とも水を飲んでから「ああよかった。やっと物考えもできるようになった。そうだ、ここをムンヌカーと名づけよう。」と言った。ムンヌカーはこういう由来から、名づけられたんだよ。
| レコード番号 | 47O371272 |
|---|---|
| CD番号 | 47O37C055 |
| 決定題名 | ムイヌカー(方言) |
| 話者がつけた題名 | ムイヌカー |
| 話者名 | 山内カマ |
| 話者名かな | やまうちかま |
| 生年月日 | 18980905 |
| 性別 | 女 |
| 出身地 | 沖縄県読谷村儀間 |
| 記録日 | 19770224 |
| 記録者の所属組織 | 読谷村民話調査団第14班 |
| 元テープ番号 | 読谷村儀間T03B01 |
| 元テープ管理者 | 読谷村立歴史民俗資料館 |
| 分類 | 伝説 |
| 発句(ほっく) | - |
| 伝承事情 | - |
| 文字化資料 | 読谷村民話資料集5儀間の民話 P246 |
| キーワード | 今帰仁王子,兄妹二人,今帰仁の浜,サバニ,ウトゥラル,舟で漂流,力持ち,阿旦木,瀬名波川の西側,水が欲しい,ムンヌカー |
| 梗概(こうがい) | 今帰仁王子は、戦いに負けられて、兄妹だけが残されてしまい、とうとう城に居られなくなってしまった、この兄妹二人はね。今帰仁の浜に、サバニがあったらしい、白浜にね。サバニは(浜へ)あげられていた。この兄妹というのは、妹の名前は、ウトゥラル、ウトゥラルと言っていた。ウトゥラルとヤチメーのふたりの兄妹であった。そして、戦いに負けてしまわれたので、(ふたりは今帰仁の)白浜におりられた。今帰仁城から、おりられてね。戦いに負けてしまったのでここにはもういられなくなってしまった。(兄が)妹へ、「ウトゥラル、舟をあそこから持ってくることができるのなら、私達は、(舟に乗り)漂流しよう、その内、どこかへ着くだろう。」と言われた。そのウトゥラルという妹は、たいそう力持ちであったそうだ。「ヤチメー、心配なさらないで下さい。私が、あそこから担(かつ)いでくるので、二人一緒に乗って(どこかへ)行きましょう。」と言った。兄のヤチメーは(心配そうに)言われたので、ウトゥラルが「心配なさらないで下さい。ヤチメー。私があの舟をここへ担いできます。それ位、私にできます。」と言った。妹のウトゥラルが言った。妹のウトゥラルが、阿旦木の茂みから舟を引きづって来て、「どうぞ、お兄さんお乗り下さい。」と言った。(二人は舟に)乗って、木の櫂で、舟を漕いで行き、着いた所が瀬名波川の西側であった。〈あそこにムンヌカーという泉があるよ。〉漂流して着いた所は、現在の瀬名波川ね、川平の瀬名波川だよ。そこの西の方へ舟がたどり着いた。舟の中で、兄のヤチメーが、「ウトゥラルよ、もう疲れ果ててしまい、水が欲しいが、ここへ水でもあれば物考えもできるのだが、ウトゥラル。」と言われたので、「ああそうですね。お兄さん。」と言った。そして、妹は、舟から降りて、五歩程行くと、水が出たらしい。五歩程歩いてね、最初に踏んだ所から水が湧き出たらしい。水が「ポッー」と湧き出たので、妹は「どうしてここからこんなものが出ているのだろう。もしかして、水ではないか。」と手にすくいとり、妹のウトゥラルが飲んでみると、なんとそれは水であった。(妹は喜んで)「お兄さん、水が湧き出ていますよ、この水を少しお飲みになって、(疲れをいやして下さい」と言うと、「ああ、そうかウトゥラル」と言った。それから兄のヤチメーも降りられて、水をすくって飲んだ。兄妹二人とも水を飲んでから「ああよかった。やっと物考えもできるようになった。そうだ、ここをムンヌカーと名づけよう。」と言った。ムンヌカーはこういう由来から、名づけられたんだよ。 |
| 全体の記録時間数 | 3:49 |
| 物語の時間数 | 3:49 |
| 言語識別 | 方言 |
| 音源の質 | △ |
| テープ番号 | - |
| 予備項目1 | - |