兄妹ふたりいたらしいね、離れ家に。年下が妹で、上の方が兄だった。兄が何かに化けて、ある山に逃げて行ったらしいね。それから食べ物がなくなり人間をつかまえて食べるようになり、その味が忘れられずいつも人ばかりを食べていたようだ。 そこで、政府の役人は、「本当に鬼になっているのだろうか。」と、それを退治しに行った。人形を作って投げたらね、人形を取って食おうとした。「本当だ、それは確かにもう人食うのにまちがいない。」と(分った。)たくさんの人がそれを退治しに行ったのだが、腕力が強く、昔は退治する道具もなくて、手でからめるしかないので、腕力が強すぎてからめることはできなかった。けれども、この妹だけは食う物とは分らなかった。親子、兄妹であることは分るので、その外の人々を食ったようだ。それで、妹は「確かに鬼になっているのだろうか。」と、(兄のいる)山を探して行った。妹にはまた、子どもがひとりいた。そして、兄さんに会ったとたん、「その子を私によこせ、よこせ。」と言ったようだ。自分の妹は分るが、(妹の)になるでしょう。「それをれ、くれ。」と言ったようだ。それで、(妹は)「私は、この子は朝から小便させてないので、小便をさせてこようね。」と言い、兄さんは妹が逃げるかも知れないのでと、手首を縄で縛った。手首を縄で結んであったが、縄を切って(妹は)逃げたようだね。それで、ある日、公儀から(妹に)「では、あなたひとりは食うものではないと思っているので、もうあなたにしか退治できない。人民の為と思ってそれを退治してくれ。殺してきなさい。」と、公儀の、〈現在の警察本部だね〉そこから行かされたようだね。それを退治しに。そして、それはちょうど師走の八日だった。ホーハイムーチーといって、ムーチー作って行かせた。妹はムーチーを作って持って急いで行き、たらふく食べさせた。それから、女の下の方を開けて見せたので、その鬼である兄さんはびっくりした。ムーチーはたらふく食べたあとだった。(兄さんが)「どうして、お前の下、そこは何か。」と言うと、「兄さんの口はひとつ、私の口はふたつあるよ。上はムーチーを食べる口でね下は鬼を食べる口だよ。」と言ったので、「さあ、大変!」と驚いた。(妹は兄を)すぐ崖の側にわざと連れて行った。崖の側だったそうだ。「さあ、大変!」という(兄さんを)妹が、(崖の下の)川につき落として、「世間、人民とは替えることができなくてこうするのだから、後生極楽しなさいね、兄さん。」と言って手を合わせた。これでおしまい。
| レコード番号 | 47O371256 |
|---|---|
| CD番号 | 47O37C054 |
| 決定題名 | 鬼餅由来(共通語混) |
| 話者がつけた題名 | 鬼餅由来 |
| 話者名 | 宮城正栄 |
| 話者名かな | みやぎしょうえい |
| 生年月日 | 19001025 |
| 性別 | 男 |
| 出身地 | 沖縄県読谷村儀間 |
| 記録日 | 19770224 |
| 記録者の所属組織 | 読谷村民話調査団第13班 |
| 元テープ番号 | 読谷村儀間T03A03 |
| 元テープ管理者 | 読谷村立歴史民俗資料館 |
| 分類 | 本格昔話 |
| 発句(ほっく) | - |
| 伝承事情 | - |
| 文字化資料 | 読谷村民話資料集5儀間の民話 P20 |
| キーワード | 兄妹,兄が化けて山に逃げた,人間を食べる,人形,退治,妹に子供,小便,師走の八日,ホーハイムーチー,上はムーチーを食べる口,下は鬼を食べる口,崖 |
| 梗概(こうがい) | 兄妹ふたりいたらしいね、離れ家に。年下が妹で、上の方が兄だった。兄が何かに化けて、ある山に逃げて行ったらしいね。それから食べ物がなくなり人間をつかまえて食べるようになり、その味が忘れられずいつも人ばかりを食べていたようだ。 そこで、政府の役人は、「本当に鬼になっているのだろうか。」と、それを退治しに行った。人形を作って投げたらね、人形を取って食おうとした。「本当だ、それは確かにもう人食うのにまちがいない。」と(分った。)たくさんの人がそれを退治しに行ったのだが、腕力が強く、昔は退治する道具もなくて、手でからめるしかないので、腕力が強すぎてからめることはできなかった。けれども、この妹だけは食う物とは分らなかった。親子、兄妹であることは分るので、その外の人々を食ったようだ。それで、妹は「確かに鬼になっているのだろうか。」と、(兄のいる)山を探して行った。妹にはまた、子どもがひとりいた。そして、兄さんに会ったとたん、「その子を私によこせ、よこせ。」と言ったようだ。自分の妹は分るが、(妹の)になるでしょう。「それをれ、くれ。」と言ったようだ。それで、(妹は)「私は、この子は朝から小便させてないので、小便をさせてこようね。」と言い、兄さんは妹が逃げるかも知れないのでと、手首を縄で縛った。手首を縄で結んであったが、縄を切って(妹は)逃げたようだね。それで、ある日、公儀から(妹に)「では、あなたひとりは食うものではないと思っているので、もうあなたにしか退治できない。人民の為と思ってそれを退治してくれ。殺してきなさい。」と、公儀の、〈現在の警察本部だね〉そこから行かされたようだね。それを退治しに。そして、それはちょうど師走の八日だった。ホーハイムーチーといって、ムーチー作って行かせた。妹はムーチーを作って持って急いで行き、たらふく食べさせた。それから、女の下の方を開けて見せたので、その鬼である兄さんはびっくりした。ムーチーはたらふく食べたあとだった。(兄さんが)「どうして、お前の下、そこは何か。」と言うと、「兄さんの口はひとつ、私の口はふたつあるよ。上はムーチーを食べる口でね下は鬼を食べる口だよ。」と言ったので、「さあ、大変!」と驚いた。(妹は兄を)すぐ崖の側にわざと連れて行った。崖の側だったそうだ。「さあ、大変!」という(兄さんを)妹が、(崖の下の)川につき落として、「世間、人民とは替えることができなくてこうするのだから、後生極楽しなさいね、兄さん。」と言って手を合わせた。これでおしまい。 |
| 全体の記録時間数 | 3:33 |
| 物語の時間数 | 3:33 |
| 言語識別 | 混在 |
| 音源の質 | △ |
| テープ番号 | - |
| 予備項目1 | - |