ある人が、那覇にいらして、家にお帰りになる時に、美女が那覇から一緒になった。(その美女に)「貴女は何処へですか。」〈例えて言うと、読谷の人だから、皆にこう言うとするよ〉(と尋ねられたので)〈それなら私も読谷にです。一緒にいらして下さい。」と。〈昔は、道連れがとても楽しみなんだよ。昔の道は寂しくてね、人も通らなかった。今だから人が恐いのであって、昔は、人をとても信頼していたよ。夜など通る時は、互いに後を振り返ったものだよ。それくらいに信頼し合っていたわけ、昔の道は。〉そこで、ある人が、那覇に用事でいらして、家に帰る時に美女と途中で出会ったらしいね。二人はそれで、「貴方は何処へですか。」「私はどこそこにです。」「私はどこにです。」と、(尋ねあった。)すると、この女が安謝港に来ると〈昔の安謝港は、今だから(安謝には)橋がかかっているが、満潮になると、ひたったそうですよ。〉ひたりながら渡るので、女には渡れないでしょう。「もう、私は、そこを渡れませんもの、貴方が負ぶって渡して下さい。」と願ったのでしょうね。男の人に。それで、お願いすると、「それでは負ぶって、そこに渡して上げようね」と渡してやると、今度は、立派に歩いて道連れになり、良い場所で、例えば、ウヤウマリーとか、あの昔の、グヤウマリーという所はだいぶ、えーと、山道で坂があり、曲り道だったそうだ。そこで、「さあ、疲れているなら休みましょう。」と中休みをしたのでしょうね。中休みをしているのだが、「貴方はどちらへですか。」と女が言ったようですね。「私は、どこそこにだよ。貴女はどちらへですか。」と(男が)言うと、「私は、実は、シジャではない。〈シジャとは生きた人のこと〉ヒーダマ(火魂)なんです。」と言ったのだそうです。すると、「私は、天の使いです。どこそこの家庭の家を焼きに来たのです。」と言われたようですね。ヒーダマの美女が言うと、「それは、その家庭は私なんだがね。」と言ったようですね、その男が。「私達の家なんですよ。」と言うと、「おや、そうですか。」と言って、「あのう、ではそれなら、貴方達の家なら、貴方は一足先になって行き、先になって行って、家で、親兄弟(親族)をかき集 めて、品物(家財道具)は全部取り出しなさい。(その後で)家を焼いてやるか ら。」と言ったようですね。親兄弟、親族を全部集めて、品物は全部取り出すわけだ。(その男が品物を)出したので、(集められた人達は)「これはもう狂っているのだ。那覇に遊女を呼びに行って、狂っているのだ。ほんとにおかしい、どうしよう。」と、心配しているわけだ。ほんとにおかしい、どうしよう。」と、心配しているわけだ。ところが(その男が)「さあもう、私が言うのをきかないと、大変なことになるよ。」と言うので、「ではそれなら、それほどのことだったら。」と、品物は全部取り出すと、今度は、みんなの前で、(その男が)「どこそこに、小さい家を造って置きなさい。」と言ったそうである。火の玉が教えてくれるわけですね。そうすれば、その小さい家を焼き落し、(本物の家は)残しておけば良いから。そのままいくと申し訳ないから。それで(火魂である美女に)「その小さい家を造っておきなさいね。家の前に造っておきなさいね。」と、教えられていたのだから。(火魂が来るとその男は)「こうして家を造って、もうすべて品物は出しました。」(と言った。)「どうですか、品物は出しましたか。」と、その美女がね、現れて言うと、今度は「もう出しました。もう終わりました。」と言った。「それでは焼こうね。」と、その教えた人は、ヒーダマは、本当の家庭は焼かずに、(仮に造った)その前の小さい家に火をつけて、「ホーハイ、ホーハイ」と呼んだわけですね。それで、どうしてヒーダマが、その人の家を焼かないかと言えば、女という身分でしょう。恥でもあるし女というという立場で。それで、その、負ぶって、あの、安謝港の水の中を渡ると、火は消えるでしょう。主(火の玉)は、その渡してくれた情を知って、火の玉は「ありがとう。」(と言い、)その恩返しとして、そこの家庭は、焼かなかった。火の玉は、本当は女であるらしい。背負っていて、「貴女は、嫌だね、女のくせに。」と、けんかでもしたなら大変だったでしょうね。だけど情があるでしょう、水の中を渡してくれたり。だから少しは教えられたわけだね。こういうことで、この話は片耳たけは聞いたのだよ。
| レコード番号 | 47O370864 |
|---|---|
| CD番号 | 47O37C039 |
| 決定題名 | ヒーダマの恩返し(方言) |
| 話者がつけた題名 | 火の神を助けた話 |
| 話者名 | 照屋牛 |
| 話者名かな | てるやうし |
| 生年月日 | 19080904 |
| 性別 | 男 |
| 出身地 | 沖縄県読谷村喜名 |
| 記録日 | 19770223 |
| 記録者の所属組織 | 読谷村民話調査団第6班 |
| 元テープ番号 | 読谷村伊良皆T03A08 |
| 元テープ管理者 | 読谷村立歴史民俗資料館 |
| 分類 | 本格昔話 |
| 発句(ほっく) | - |
| 伝承事情 | - |
| 文字化資料 | 読谷村民話資料集1伊良皆の民話 P92 |
| キーワード | 那覇,美女,読谷,安謝港,満潮になると渡れない,負ぶって渡す,ウヤウマリー,グヤウマリー,山道で坂,シジャ,ヒーダマ,天の使い,家を焼きに来たのです。」と言われたようですね。ヒーダマの美女が言うと、「それは、その家庭は私なんだがね。」と言ったようですね、その男が。「私達の家なんですよ。」と言うと、「おや、そうですか。」と言って、「あのう、ではそれなら、貴方達の家なら、貴方は一足先になって行き、先になって行って、家で、親兄弟(親族)をかき集,めて、品物(家財道具)は全部取り出しなさい。(その後で)家を焼いてやるか,ら。」と言ったようですね。親兄弟、親族を全部集めて、品物は全部取り出すわけだ。(その男が品物を)出したので、(集められた人達は)「これはもう狂っているのだ。那覇に遊女を呼びに行って、狂っているのだ。ほんとにおかしい、どうしよう。」と、心配しているわけだ。ほんとにおかしい、どうしよう。」と、心配しているわけだ。ところが(その男が)「さあもう、私が言うのをきかないと、大変なことになるよ。」と言うので、「ではそれなら、それほどのことだったら。」と、品物は全部取り出すと、今度は、みんなの前で、(その男が)「どこそこに、小さい家を造って置きなさい。」と言ったそうである。火の玉が教えてくれるわけですね。そうすれば、その小さい家を焼き落し、(本物の家は)残しておけば良いから。そのままいくと申し訳ないから。それで(火魂である美女に)「その小さい家を造っておきなさいね。家の前に造っておきなさいね。」と、教えられていたのだから。(火魂が来るとその男は)「こうして家を造って、もうすべて品物は出しました。」(と言った。)「どうですか、品物は出しましたか。」と、その美女がね、現れて言うと、今度は「もう出しました。もう終わりました。」と言った。「それでは焼こうね。」と、その教えた人は、ヒーダマは、本当の家庭は焼かずに、(仮に造った)その前の小さい家に火をつけて、「ホーハイ、ホーハイ」と呼んだわけですね。それで、どうしてヒーダマが、その人の家を焼かないかと言えば、女という身分でしょう。恥でもあるし女というという立場で。それで、その、負ぶって、あの、安謝港の水の中を渡ると、火は消えるでしょう。主(火の玉)は、その渡してくれた情を知って、火の玉は「ありがとう。」(と言い、)その恩返しとして、そこの家庭は、焼かなかった。火の玉は、本当は女であるらしい。背負っていて、「貴女は、嫌だね、女のくせに。」と、けんかでもしたなら大変だったでしょうね。だけど情があるでしょう、水の中を渡してくれたり。だから少しは教えられたわけだね。こういうことで、この話は片耳たけは聞いたのだよ。 |
| 梗概(こうがい) | ある人が、那覇にいらして、家にお帰りになる時に、美女が那覇から一緒になった。(その美女に)「貴女は何処へですか。」〈例えて言うと、読谷の人だから、皆にこう言うとするよ〉(と尋ねられたので)〈それなら私も読谷にです。一緒にいらして下さい。」と。〈昔は、道連れがとても楽しみなんだよ。昔の道は寂しくてね、人も通らなかった。今だから人が恐いのであって、昔は、人をとても信頼していたよ。夜など通る時は、互いに後を振り返ったものだよ。それくらいに信頼し合っていたわけ、昔の道は。〉そこで、ある人が、那覇に用事でいらして、家に帰る時に美女と途中で出会ったらしいね。二人はそれで、「貴方は何処へですか。」「私はどこそこにです。」「私はどこにです。」と、(尋ねあった。)すると、この女が安謝港に来ると〈昔の安謝港は、今だから(安謝には)橋がかかっているが、満潮になると、ひたったそうですよ。〉ひたりながら渡るので、女には渡れないでしょう。「もう、私は、そこを渡れませんもの、貴方が負ぶって渡して下さい。」と願ったのでしょうね。男の人に。それで、お願いすると、「それでは負ぶって、そこに渡して上げようね」と渡してやると、今度は、立派に歩いて道連れになり、良い場所で、例えば、ウヤウマリーとか、あの昔の、グヤウマリーという所はだいぶ、えーと、山道で坂があり、曲り道だったそうだ。そこで、「さあ、疲れているなら休みましょう。」と中休みをしたのでしょうね。中休みをしているのだが、「貴方はどちらへですか。」と女が言ったようですね。「私は、どこそこにだよ。貴女はどちらへですか。」と(男が)言うと、「私は、実は、シジャではない。〈シジャとは生きた人のこと〉ヒーダマ(火魂)なんです。」と言ったのだそうです。すると、「私は、天の使いです。どこそこの家庭の家を焼きに来たのです。」と言われたようですね。ヒーダマの美女が言うと、「それは、その家庭は私なんだがね。」と言ったようですね、その男が。「私達の家なんですよ。」と言うと、「おや、そうですか。」と言って、「あのう、ではそれなら、貴方達の家なら、貴方は一足先になって行き、先になって行って、家で、親兄弟(親族)をかき集 めて、品物(家財道具)は全部取り出しなさい。(その後で)家を焼いてやるか ら。」と言ったようですね。親兄弟、親族を全部集めて、品物は全部取り出すわけだ。(その男が品物を)出したので、(集められた人達は)「これはもう狂っているのだ。那覇に遊女を呼びに行って、狂っているのだ。ほんとにおかしい、どうしよう。」と、心配しているわけだ。ほんとにおかしい、どうしよう。」と、心配しているわけだ。ところが(その男が)「さあもう、私が言うのをきかないと、大変なことになるよ。」と言うので、「ではそれなら、それほどのことだったら。」と、品物は全部取り出すと、今度は、みんなの前で、(その男が)「どこそこに、小さい家を造って置きなさい。」と言ったそうである。火の玉が教えてくれるわけですね。そうすれば、その小さい家を焼き落し、(本物の家は)残しておけば良いから。そのままいくと申し訳ないから。それで(火魂である美女に)「その小さい家を造っておきなさいね。家の前に造っておきなさいね。」と、教えられていたのだから。(火魂が来るとその男は)「こうして家を造って、もうすべて品物は出しました。」(と言った。)「どうですか、品物は出しましたか。」と、その美女がね、現れて言うと、今度は「もう出しました。もう終わりました。」と言った。「それでは焼こうね。」と、その教えた人は、ヒーダマは、本当の家庭は焼かずに、(仮に造った)その前の小さい家に火をつけて、「ホーハイ、ホーハイ」と呼んだわけですね。それで、どうしてヒーダマが、その人の家を焼かないかと言えば、女という身分でしょう。恥でもあるし女というという立場で。それで、その、負ぶって、あの、安謝港の水の中を渡ると、火は消えるでしょう。主(火の玉)は、その渡してくれた情を知って、火の玉は「ありがとう。」(と言い、)その恩返しとして、そこの家庭は、焼かなかった。火の玉は、本当は女であるらしい。背負っていて、「貴女は、嫌だね、女のくせに。」と、けんかでもしたなら大変だったでしょうね。だけど情があるでしょう、水の中を渡してくれたり。だから少しは教えられたわけだね。こういうことで、この話は片耳たけは聞いたのだよ。 |
| 全体の記録時間数 | 5:01 |
| 物語の時間数 | 5:01 |
| 言語識別 | 方言 |
| 音源の質 | 〇 |
| テープ番号 | - |
| 予備項目1 | - |