宮古にね、沖縄では底なし池というのだが、深さが限りのないと言われている池がある。〈私は宮古に視察に行って、その池を見て来たが〉上と下に二つあって、下の池はワジガーと向こうの人は言っている。そこで昔のこと、宮古のある継子と実の子がいて、「さあ、この池のほとりで夕涼みをしようね。」と母親が連れて行った。そこで母親は、継子をその池に落とし自分の子は助ける考えで行ったようだね。また、その母親が、自分の子供と継子の二人を連れて行き、寝かした所は畳一畳か一畳半位の立派な石があった。そこへ拝みに来る人は、この石に線香を立てて拝む。またその側にお宮ではなく標的なような物が立っている。それには「海の神。」と文字が書かれている。そこで、継子と実の子がどうなったかというと、それは、母親は二人の子供の間に寝て、「ここはとても涼しいから、ここに寝ようね。」と言った。母親はその継子を池の近くに、落としやすい所に寝かせた。また実の子は自分の上の安全な場所に寝かせたが、そこで深い眠りに落ちてしまった。どのようにして子供達が寝替わりをしたのか、実の子は継子が寝ていた所に寝て、また継子は自分の実の子が寝ていた所に寝ていた。母親は、自分が寝かせた場所を覚えていて、もう夜中も過ぎやがて夜も明けるだろうと思って「今だ!。」と、継子を蹴り落としたそうだ。しかし、継子だと思って蹴り落とした子供が、夜が明けてみると、自分の子だと知った。この子供達が寝替わりしたのに気づかなかったのだ。それから、「私は、継子をこの池に落とすつもりでここに来たが、自分の子を落としてしまった。もう私にはこの世で生きる望みはない。」と言い、この母親も底なし池に身を投じて死んでしまったそうだ。それはそうと、私は今年の正月に向こうに視察に行ったが、「どうだ底なし池という、継子を落とすつもりで実の子を落としたという池を見に行こう。」と、地元の人と一緒に行った。現地では底なし池とは言わず、ワジ池というそうだ。本島では底なし池と呼んでいるが。それから、現地の人にその話をすると、「そういう話もある。」と。「でもどうして、この宮古での昔の話が本島にあるのか、あなたはどこで聞いたのですか。」と質問された。「こんな昔話があることを聞き、池を見たくて、私は来た。」とこんなふうに願って見学して来たよ。
| レコード番号 | 47O370667 |
|---|---|
| CD番号 | 47O37C031 |
| 決定題名 | 継子と通り池(方言) |
| 話者がつけた題名 | 底なし池 |
| 話者名 | 屋良朝助 |
| 話者名かな | やらちょうすけ |
| 生年月日 | 19070608 |
| 性別 | 男 |
| 出身地 | 沖縄県読谷村瀬名波 |
| 記録日 | 19770815 |
| 記録者の所属組織 | 読谷村民話調査団第7班 |
| 元テープ番号 | 読谷村瀬名波T07A08 |
| 元テープ管理者 | 読谷村立歴史民俗資料館 |
| 分類 | 本格昔話 |
| 発句(ほっく) | - |
| 伝承事情 | - |
| 文字化資料 | 読谷村民話資料集4瀬名波の民話 P108 |
| キーワード | 宮古,底なし池,ワジガー,継子,実子,母親,継子を池に落としたい,石,線香,子供達が寝替わり,継子を蹴り落とす, |
| 梗概(こうがい) | 宮古にね、沖縄では底なし池というのだが、深さが限りのないと言われている池がある。〈私は宮古に視察に行って、その池を見て来たが〉上と下に二つあって、下の池はワジガーと向こうの人は言っている。そこで昔のこと、宮古のある継子と実の子がいて、「さあ、この池のほとりで夕涼みをしようね。」と母親が連れて行った。そこで母親は、継子をその池に落とし自分の子は助ける考えで行ったようだね。また、その母親が、自分の子供と継子の二人を連れて行き、寝かした所は畳一畳か一畳半位の立派な石があった。そこへ拝みに来る人は、この石に線香を立てて拝む。またその側にお宮ではなく標的なような物が立っている。それには「海の神。」と文字が書かれている。そこで、継子と実の子がどうなったかというと、それは、母親は二人の子供の間に寝て、「ここはとても涼しいから、ここに寝ようね。」と言った。母親はその継子を池の近くに、落としやすい所に寝かせた。また実の子は自分の上の安全な場所に寝かせたが、そこで深い眠りに落ちてしまった。どのようにして子供達が寝替わりをしたのか、実の子は継子が寝ていた所に寝て、また継子は自分の実の子が寝ていた所に寝ていた。母親は、自分が寝かせた場所を覚えていて、もう夜中も過ぎやがて夜も明けるだろうと思って「今だ!。」と、継子を蹴り落としたそうだ。しかし、継子だと思って蹴り落とした子供が、夜が明けてみると、自分の子だと知った。この子供達が寝替わりしたのに気づかなかったのだ。それから、「私は、継子をこの池に落とすつもりでここに来たが、自分の子を落としてしまった。もう私にはこの世で生きる望みはない。」と言い、この母親も底なし池に身を投じて死んでしまったそうだ。それはそうと、私は今年の正月に向こうに視察に行ったが、「どうだ底なし池という、継子を落とすつもりで実の子を落としたという池を見に行こう。」と、地元の人と一緒に行った。現地では底なし池とは言わず、ワジ池というそうだ。本島では底なし池と呼んでいるが。それから、現地の人にその話をすると、「そういう話もある。」と。「でもどうして、この宮古での昔の話が本島にあるのか、あなたはどこで聞いたのですか。」と質問された。「こんな昔話があることを聞き、池を見たくて、私は来た。」とこんなふうに願って見学して来たよ。 |
| 全体の記録時間数 | 4:30 |
| 物語の時間数 | 4:30 |
| 言語識別 | 方言 |
| 音源の質 | ◎ |
| テープ番号 | - |
| 予備項目1 | - |