嫁の輿に牛(方言)

概要

首里金城に一人娘が居たそうだ。そのお母さんは、一人娘でもあるしとても素晴しい夫を見つけてあげようと、いつも観音堂へ拝みに行った。毎日毎日拝みに行っていた。三良がその話を聞きつけ、「そうなら、嫁にしてもいいし、私がいたずらしてやろう。」と思い先まわりして行った。そして、その人達が拝みに来るのを、その拝みをする所の後に隠れて待っていた。そしてその人達は観音堂へやって来て、「いい婿をさずけて下さいませ。」と拝んだ。拝みを済ませ立ち去ろうとした時に、三良は隠れたままで「おまえ達はいつもこのように拝みに来るが、今日おまえ達が家へ帰る時に、一番最初に出会う人が婿になる人だ。もしその一番最初に出会う人を婿にしなければ天罰を受けるぞ。」と、まるで神からのお告げのように話した。それで、親子は「ウートートゥ。」と言って、「今日はいい人に会えるといいね。」と言いながら家へ帰ろうとした。家へ帰る途中、三良が一番最初にやって来た。これは三良が企んだことなので、一番最初に出会ったわけだ。それから親子は「どうしようか。」と嘆き迷った。そうこうしているうちに「仕方がない、もし嫁にさせなければ天罰を受けることになる。」ということで、仕方なく嫁にだすことにした。こういう理由で、自分の方から言い出して三良と結婚させることになった。そうして、とうとう結婚式の日になった。結婚式の当日は、婿方から嫁をもらいにくる人々がたくさん来た。昔、花嫁は籠にかつがれて婿方に行くわけなんだが、娘と親はまだまだどうしようかと嘆き、決心もつかずにいたが結婚しないわけにいかなかった。ついに一行は出発した。迎えが来て婿方に行く途中、籠をかついでいた者が酒を飲んでいたので道中で寝こんでしまった。花嫁を乗せた籠を降ろし寝てしまったようだ。籠をかつぐ者が寝てしまい、その側から殿様、王様が供をひきつれて通りかかった。「なんだ、これは誰だ。」と籠の中を見ると花嫁が入っていた。女が入っていた。「私はこういうことで嫁に行きます。」と言うと、「そうか、それならば籠から出なさい。」と言い王様の供達が連れ出した。女を籠から連れ出して行こうとすると、そこから牛が歩いていたので、「そうだ、この子牛を入れておけ。」と言って、籠の中へ押し込んだ。その嫁を連れていく酔いつぶれていた人達は、目を覚まして籠をかついで婚家先へ行った。籠をかついで婿方に近づくと、そこの家では「新妻が来るよう、来るよう。」と待っていた。そして籠を開けてみると、なんと子牛が入っていた。子牛はパーラー、パーラーとそこらを駆けまわった。そして、そこの家の人達が、「どういうことだ。私達は娘を下さいと言ったのに、牛をくれと言ったか。」と怒った。娘の母親はそこに来ていたので、「いくら苦労であっても、どんなに哀れなことでも、牛になり変わるといってもあろうか。」と、悲しんだ。それから、その子牛は母親が引き取り、朝から夜まで寝るのも一緒で、自分の娘だと信じて育てていた。そうして育てていたが。ある日、首里城にて踊りの催し物が開かれたそうだ。それで、人々は皆催し物があるといってそろって出かけた。そして、娘の母親は子牛を連れて行って見せれば、もしかして元の姿に戻るかも知れないと思った。そして、子牛を連れて、見物人の中にまじって歩いていたようだね。又この子牛は、あっちに行ったり、こっちに行ったりして駆けずりまわった。すると、皆が「ここには牛を連れて来るな。」と言っても、「いや、この牛は私の娘なんだ。」と、放さずに見せ物の場へ一緒に連れて行った。そこには、王様と一緒に娘も来ていた。すると、遠くを見て、「あそこで子牛を引き連れているのは、私の母親です。」と言った。それで、家来達が「おばあさん。」と連れに行った。「その子牛を置いておきなさい。」と、家来が言うと「いや、この牛は私の娘だから一緒に連れて行く。」と言ってきかなかった。そこで家来が「貴方の娘はあちらにいらっしゃるから、この牛を放して下さい。」と言ったら、「私の娘があそこにいる!。」と、子牛を放すと、一目散に走って行った。そして娘と抱き合って喜んだ。又、その娘は王様の妻になったという話だ。これでおしまい。

再生時間:5:50

民話詳細DATA

レコード番号 47O370610
CD番号 47O37C029
決定題名 嫁の輿に牛(方言)
話者がつけた題名 首里金城の娘
話者名 神谷カマド
話者名かな かみやかまど
生年月日 19020608
性別
出身地 沖縄県読谷村瀬名波
記録日 19761114
記録者の所属組織 読谷村民話調査団第13班
元テープ番号 読谷村瀬名波T05A06
元テープ管理者 読谷村立歴史民俗資料館
分類 本格昔話
発句(ほっく)
伝承事情
文字化資料 読谷村民話資料集4瀬名波の民話 P79
キーワード 首里金城に一人娘,素晴しい夫,観音堂拝み,三良が話を聞きつけ,いい婿をさずけて下さい,一番最初に出会う人が婿,天罰を受ける,神からのお告げ,三良が一番最初に出会った,親子は嘆き迷った,三良と結婚,結婚式の日,花嫁は籠で婿方に行く,籠担ぎが酒に酔い寝た,殿様,王様,子牛を籠の中へ押し込んだ,自分の娘だと信じて育てた,首里城で踊りの催し物,娘の母親は子牛を連れて行って見せた,家来,娘は王様の妻
梗概(こうがい) 首里金城に一人娘が居たそうだ。そのお母さんは、一人娘でもあるしとても素晴しい夫を見つけてあげようと、いつも観音堂へ拝みに行った。毎日毎日拝みに行っていた。三良がその話を聞きつけ、「そうなら、嫁にしてもいいし、私がいたずらしてやろう。」と思い先まわりして行った。そして、その人達が拝みに来るのを、その拝みをする所の後に隠れて待っていた。そしてその人達は観音堂へやって来て、「いい婿をさずけて下さいませ。」と拝んだ。拝みを済ませ立ち去ろうとした時に、三良は隠れたままで「おまえ達はいつもこのように拝みに来るが、今日おまえ達が家へ帰る時に、一番最初に出会う人が婿になる人だ。もしその一番最初に出会う人を婿にしなければ天罰を受けるぞ。」と、まるで神からのお告げのように話した。それで、親子は「ウートートゥ。」と言って、「今日はいい人に会えるといいね。」と言いながら家へ帰ろうとした。家へ帰る途中、三良が一番最初にやって来た。これは三良が企んだことなので、一番最初に出会ったわけだ。それから親子は「どうしようか。」と嘆き迷った。そうこうしているうちに「仕方がない、もし嫁にさせなければ天罰を受けることになる。」ということで、仕方なく嫁にだすことにした。こういう理由で、自分の方から言い出して三良と結婚させることになった。そうして、とうとう結婚式の日になった。結婚式の当日は、婿方から嫁をもらいにくる人々がたくさん来た。昔、花嫁は籠にかつがれて婿方に行くわけなんだが、娘と親はまだまだどうしようかと嘆き、決心もつかずにいたが結婚しないわけにいかなかった。ついに一行は出発した。迎えが来て婿方に行く途中、籠をかついでいた者が酒を飲んでいたので道中で寝こんでしまった。花嫁を乗せた籠を降ろし寝てしまったようだ。籠をかつぐ者が寝てしまい、その側から殿様、王様が供をひきつれて通りかかった。「なんだ、これは誰だ。」と籠の中を見ると花嫁が入っていた。女が入っていた。「私はこういうことで嫁に行きます。」と言うと、「そうか、それならば籠から出なさい。」と言い王様の供達が連れ出した。女を籠から連れ出して行こうとすると、そこから牛が歩いていたので、「そうだ、この子牛を入れておけ。」と言って、籠の中へ押し込んだ。その嫁を連れていく酔いつぶれていた人達は、目を覚まして籠をかついで婚家先へ行った。籠をかついで婿方に近づくと、そこの家では「新妻が来るよう、来るよう。」と待っていた。そして籠を開けてみると、なんと子牛が入っていた。子牛はパーラー、パーラーとそこらを駆けまわった。そして、そこの家の人達が、「どういうことだ。私達は娘を下さいと言ったのに、牛をくれと言ったか。」と怒った。娘の母親はそこに来ていたので、「いくら苦労であっても、どんなに哀れなことでも、牛になり変わるといってもあろうか。」と、悲しんだ。それから、その子牛は母親が引き取り、朝から夜まで寝るのも一緒で、自分の娘だと信じて育てていた。そうして育てていたが。ある日、首里城にて踊りの催し物が開かれたそうだ。それで、人々は皆催し物があるといってそろって出かけた。そして、娘の母親は子牛を連れて行って見せれば、もしかして元の姿に戻るかも知れないと思った。そして、子牛を連れて、見物人の中にまじって歩いていたようだね。又この子牛は、あっちに行ったり、こっちに行ったりして駆けずりまわった。すると、皆が「ここには牛を連れて来るな。」と言っても、「いや、この牛は私の娘なんだ。」と、放さずに見せ物の場へ一緒に連れて行った。そこには、王様と一緒に娘も来ていた。すると、遠くを見て、「あそこで子牛を引き連れているのは、私の母親です。」と言った。それで、家来達が「おばあさん。」と連れに行った。「その子牛を置いておきなさい。」と、家来が言うと「いや、この牛は私の娘だから一緒に連れて行く。」と言ってきかなかった。そこで家来が「貴方の娘はあちらにいらっしゃるから、この牛を放して下さい。」と言ったら、「私の娘があそこにいる!。」と、子牛を放すと、一目散に走って行った。そして娘と抱き合って喜んだ。又、その娘は王様の妻になったという話だ。これでおしまい。
全体の記録時間数 5:50
物語の時間数 5:50
言語識別 方言
音源の質
テープ番号
予備項目1

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