東ぐゎーのおじいさんの話を、私の祖先から聞いたが、東ぐゎーという所は、子供が生まれてお七夜の祝いをしようと、今日は子供も生まれたし、お七夜の祝いをしなければならない。親類を呼んでお祝をしなければならないが、お祝いをしようねと、こうしておじいさんは左縄を綯っていたようだ。この左縄は初めは房をさげずに、ただ左縄だけ綯ったようだ。そこで、友人のおじいさんは、「東ぐゎーは子どもが生まれたそうだから、きょうはまず行ってみなければならない。」とそこに来たようだ。「あれ、おじいさん、どうして、あなたはきょうは縄を綯っているんですか。」と、東ぐゎーのおじいさんに聞くと「そうではないよ、子どもが生まれたので左縄を張ろうと、それを綯おうとしているんだよ、おじいさん。」「ああ、そういうことですか。それは私も来てよかったな、一緒に満産の祝いをしましょうね。」と友人が言った。「よかった、そうして下さい。」ということでお祝いをしようとした。そこへ知らない人が来て「私は遠方から用事があってやってきましたが、もう日も暮れて行けません。今日はそちらに泊めてもらいお祝いさせてくれませんか。」と言った。「それは丁度よかった。それでは此処でお祝いをして一緒に賑やかにして行きなさい。」と、おじいさんは歓迎した。「そうさせて下さい。」と、もう皆で踊りに踊っているうちに、この遠方に行くといって泊まっている人が踊ったようだ。大変踊ったようだ。それで隣りの人が「なぜそんなに踊るのか見にいこう。」と柱の節穴からこうして見たところ、もうすぐ舌をダラダラさせて見ていられなかった。遠方から来た人はここで生まれた子供の命を取りに来たようだ。そして、そこのおじいさんを呼んで、「今、貴方のところで踊っているのは、あれは人間ではない。あれは魔物だよ。」と教えると「そうなのか。」と答えて、そうだと分ればこれをそのままにしておくわけにはいかない。塩をふりかけて追い払ったようだ。追い払ってから、是非、後を追って行って、これの後を見てこなければならないと思った。ゆっくりゆっくりと魔物の後を追って行ったら、墓に入っていったんだってよ。それでおじいさんは墓の側に隠れていて魔物の話をきいていた。そこの話は意味ありげな話であったようだ。「どうだ、今日はあの子の命が取れなかったのか。」「いや、そうではありません。取ることは漸く取ることができそうだが、左縄を張っていて入りにくいのです。」と魔物が答えた。「どうして、左縄はどのように張ってあるのか。」と。もう一方の魔物がきいた。)「この左縄は庭先から張られているから恐しいのです。」「それじゃ、その左縄に房か何かがぶらさがっていたか。」「いや、房も何もさがっていません。ただ左縄だけ、縄だけが綯ってあったんです。」「ああ、そうだったのか、それでは、房がさがってなければ入れるから。また、その子供はくしゃみをしたりしなかったか。」ときいた。「いや、くしゃみはしなかった。」と答えた。「それでは、もう一回、九日出産の祝には、その子供にクシャミをさせて『クスケーヒャー、クスタックェー』と言わなければその子の命は取れるから。また、その左縄に房がなければ命は取れるから、九日出産の祝いは必ず取ってこい。」と言われた。「はい、そうします。」と魔物は答えた。魔物の話を聞いたウスメーは「さあ大変だ。これは早く家に行ってこれこれを相談して難を防がなければならない。」と、そこのおじいさんは慌てて家に帰って行った。「さあさあ、私は話を聞いてきたが、あの世の魔物の話では、子供がクシャミをすると、『クスクェー、クスヒャー』と言わなければ、その子供の命は取り易いし、また、あの左縄に房がなければ家に入り易いというから、早くそれからして、房はつるを長くつけて、生まれて三日目には、七つこうして房は初めにさげて、最後は三つさげ、それを繰り返して綯って、左縄を綯うように。そうすれば魔物は入らないから。あの者たちはそういう話をしていたから、早く房から作れ。」と指示した。みんなで、その日に備えて左縄に房をさげた。それから、子供は内に隠しておいた。思った通り九日出産祝いの日が来ると、魔物はやって来たようだ。そこに来て子供にクシャミをさせているようだ。何回もクシャミをしたから「クスクェーヒャー、クスクェー。」と家中の者が言ったところ、「もうここは仕方がない。子供の命は取れないなあ。」とあきらめて去って行ったそうだ。
| レコード番号 | 47O370598 |
|---|---|
| CD番号 | 47O37C028 |
| 決定題名 | クスケー由来(方言) |
| 話者がつけた題名 | クスケー由来 |
| 話者名 | 山内真厚 |
| 話者名かな | やまうちしんこう |
| 生年月日 | 19130515 |
| 性別 | 男 |
| 出身地 | 沖縄県読谷村瀬名波 |
| 記録日 | 19461114 |
| 記録者の所属組織 | 読谷村民話調査団第7班 |
| 元テープ番号 | 読谷村瀬名波T04B05 |
| 元テープ管理者 | 読谷村立歴史民俗資料館 |
| 分類 | 本格昔話 |
| 発句(ほっく) | - |
| 伝承事情 | - |
| 文字化資料 | 読谷村民話資料集4瀬名波の民話 P22 |
| キーワード | 東ぐゎーのおじいさん,お七夜の祝い,左縄,満産祝い,踊った,柱の節穴,舌をダラダラ,子供の命を取りに,魔物,墓,子供にクシャミ,クスケーヒャー,クスタックェー |
| 梗概(こうがい) | 東ぐゎーのおじいさんの話を、私の祖先から聞いたが、東ぐゎーという所は、子供が生まれてお七夜の祝いをしようと、今日は子供も生まれたし、お七夜の祝いをしなければならない。親類を呼んでお祝をしなければならないが、お祝いをしようねと、こうしておじいさんは左縄を綯っていたようだ。この左縄は初めは房をさげずに、ただ左縄だけ綯ったようだ。そこで、友人のおじいさんは、「東ぐゎーは子どもが生まれたそうだから、きょうはまず行ってみなければならない。」とそこに来たようだ。「あれ、おじいさん、どうして、あなたはきょうは縄を綯っているんですか。」と、東ぐゎーのおじいさんに聞くと「そうではないよ、子どもが生まれたので左縄を張ろうと、それを綯おうとしているんだよ、おじいさん。」「ああ、そういうことですか。それは私も来てよかったな、一緒に満産の祝いをしましょうね。」と友人が言った。「よかった、そうして下さい。」ということでお祝いをしようとした。そこへ知らない人が来て「私は遠方から用事があってやってきましたが、もう日も暮れて行けません。今日はそちらに泊めてもらいお祝いさせてくれませんか。」と言った。「それは丁度よかった。それでは此処でお祝いをして一緒に賑やかにして行きなさい。」と、おじいさんは歓迎した。「そうさせて下さい。」と、もう皆で踊りに踊っているうちに、この遠方に行くといって泊まっている人が踊ったようだ。大変踊ったようだ。それで隣りの人が「なぜそんなに踊るのか見にいこう。」と柱の節穴からこうして見たところ、もうすぐ舌をダラダラさせて見ていられなかった。遠方から来た人はここで生まれた子供の命を取りに来たようだ。そして、そこのおじいさんを呼んで、「今、貴方のところで踊っているのは、あれは人間ではない。あれは魔物だよ。」と教えると「そうなのか。」と答えて、そうだと分ればこれをそのままにしておくわけにはいかない。塩をふりかけて追い払ったようだ。追い払ってから、是非、後を追って行って、これの後を見てこなければならないと思った。ゆっくりゆっくりと魔物の後を追って行ったら、墓に入っていったんだってよ。それでおじいさんは墓の側に隠れていて魔物の話をきいていた。そこの話は意味ありげな話であったようだ。「どうだ、今日はあの子の命が取れなかったのか。」「いや、そうではありません。取ることは漸く取ることができそうだが、左縄を張っていて入りにくいのです。」と魔物が答えた。「どうして、左縄はどのように張ってあるのか。」と。もう一方の魔物がきいた。)「この左縄は庭先から張られているから恐しいのです。」「それじゃ、その左縄に房か何かがぶらさがっていたか。」「いや、房も何もさがっていません。ただ左縄だけ、縄だけが綯ってあったんです。」「ああ、そうだったのか、それでは、房がさがってなければ入れるから。また、その子供はくしゃみをしたりしなかったか。」ときいた。「いや、くしゃみはしなかった。」と答えた。「それでは、もう一回、九日出産の祝には、その子供にクシャミをさせて『クスケーヒャー、クスタックェー』と言わなければその子の命は取れるから。また、その左縄に房がなければ命は取れるから、九日出産の祝いは必ず取ってこい。」と言われた。「はい、そうします。」と魔物は答えた。魔物の話を聞いたウスメーは「さあ大変だ。これは早く家に行ってこれこれを相談して難を防がなければならない。」と、そこのおじいさんは慌てて家に帰って行った。「さあさあ、私は話を聞いてきたが、あの世の魔物の話では、子供がクシャミをすると、『クスクェー、クスヒャー』と言わなければ、その子供の命は取り易いし、また、あの左縄に房がなければ家に入り易いというから、早くそれからして、房はつるを長くつけて、生まれて三日目には、七つこうして房は初めにさげて、最後は三つさげ、それを繰り返して綯って、左縄を綯うように。そうすれば魔物は入らないから。あの者たちはそういう話をしていたから、早く房から作れ。」と指示した。みんなで、その日に備えて左縄に房をさげた。それから、子供は内に隠しておいた。思った通り九日出産祝いの日が来ると、魔物はやって来たようだ。そこに来て子供にクシャミをさせているようだ。何回もクシャミをしたから「クスクェーヒャー、クスクェー。」と家中の者が言ったところ、「もうここは仕方がない。子供の命は取れないなあ。」とあきらめて去って行ったそうだ。 |
| 全体の記録時間数 | 6:44 |
| 物語の時間数 | 6:44 |
| 言語識別 | 方言 |
| 音源の質 | ◎ |
| テープ番号 | - |
| 予備項目1 | - |