若い男と女が、夜いっしょにモーアシビをしてたいそう仲がよかった。女は「私はやがてあなたの嫁になろうね。」と、また男は「私はおまえを必ず妻にするよ。」と言い合うほどの仲だった。しかし、ある金持ちの男の人が、その美しい女を見て「あんな貧乏者の妻にさせてはいけない。私の妻にする。」と言った。そして金持ちの男がその女をむりやりに連れて行ってしまった。それからというもの、その女は以前の恋人のことがかたときも忘れられず、精神的な病を患いそこで死んでしまった。そして墓に埋葬された。以前にその女を思い若いときの恋仲にあった男は、女が埋葬されていた墓に一週間も通って墓参りをしていた。すると、墓の内からうめき声が聞こえたので、「はあ、これはまだ生きているかもしれない、墓を開けてみてみよう。」と、墓を開けてみた。やはりその女は生きていた。「まだまだ息をしているぞ。」と墓の庭に連れ出していろいろ看病した。その女が「水を飲まして下さい。」と言った。「水はどこを探してもないけどどうしようか。」と思いながら墓の周辺をよくよく探してみると、やっと墓の石のくぼみに溜っている水を見つけた。それを口にふくんで、石のくぼみにある水をふくんで行って、その女に飲ますと息を吹き返した。命も助かり男の家に連れていったんだがね。それからひと月経ち、ふた月経ったその女は元気になった。また以前のごとく、金持ちの男が、「これは私の妻だから私に返してくれ。」と言ったが、「できない。その女は私が命をかけて助けてあげた人なので私に渡して下さい。」と答えた。相手の男は財産家だし、こちらは貧乏者なので、勢力に負けてもとどうり金持ちの男にとられてしまった。 貧乏者の男は、女を助けてあげた男は心残りで毎夜、金持ちの家の門まで行って、「むかしは忘れていた石くぶの水だけど 今になっては忘れることのできない命の恩人。」石くぶの水こそが命の恩人と歌を詠んだ。しまいには、金持ちの男は、「そんなにまで思いこがれて、死んでいた女も助けてあげて、いまだに思ってここに通ってくる。私はこの女とは別れてその男に譲ってもいい。」ということになったそうだ。
| レコード番号 | 47O370585 |
|---|---|
| CD番号 | 47O37C026 |
| 決定題名 | 死んだ娘(方言) |
| 話者がつけた題名 | 夫婦話 |
| 話者名 | 新垣亀次郎 |
| 話者名かな | あらかきかめじろう |
| 生年月日 | 19131122 |
| 性別 | 男 |
| 出身地 | 沖縄県読谷村瀬名波 |
| 記録日 | 19461114 |
| 記録者の所属組織 | 読谷村民話調査団第12班 |
| 元テープ番号 | 読谷村瀬名波T03B17 |
| 元テープ管理者 | 読谷村立歴史民俗資料館 |
| 分類 | 本格昔話 |
| 発句(ほっく) | - |
| 伝承事情 | 祖父 |
| 文字化資料 | 読谷村民話資料集4瀬名波の民話 P68 |
| キーワード | 若い男女,モーアシビ,金持ちの男,美しい女,貧乏者の妻にさせない,死んで墓に埋葬,墓参り,墓の内からうめき声,水 |
| 梗概(こうがい) | 若い男と女が、夜いっしょにモーアシビをしてたいそう仲がよかった。女は「私はやがてあなたの嫁になろうね。」と、また男は「私はおまえを必ず妻にするよ。」と言い合うほどの仲だった。しかし、ある金持ちの男の人が、その美しい女を見て「あんな貧乏者の妻にさせてはいけない。私の妻にする。」と言った。そして金持ちの男がその女をむりやりに連れて行ってしまった。それからというもの、その女は以前の恋人のことがかたときも忘れられず、精神的な病を患いそこで死んでしまった。そして墓に埋葬された。以前にその女を思い若いときの恋仲にあった男は、女が埋葬されていた墓に一週間も通って墓参りをしていた。すると、墓の内からうめき声が聞こえたので、「はあ、これはまだ生きているかもしれない、墓を開けてみてみよう。」と、墓を開けてみた。やはりその女は生きていた。「まだまだ息をしているぞ。」と墓の庭に連れ出していろいろ看病した。その女が「水を飲まして下さい。」と言った。「水はどこを探してもないけどどうしようか。」と思いながら墓の周辺をよくよく探してみると、やっと墓の石のくぼみに溜っている水を見つけた。それを口にふくんで、石のくぼみにある水をふくんで行って、その女に飲ますと息を吹き返した。命も助かり男の家に連れていったんだがね。それからひと月経ち、ふた月経ったその女は元気になった。また以前のごとく、金持ちの男が、「これは私の妻だから私に返してくれ。」と言ったが、「できない。その女は私が命をかけて助けてあげた人なので私に渡して下さい。」と答えた。相手の男は財産家だし、こちらは貧乏者なので、勢力に負けてもとどうり金持ちの男にとられてしまった。 貧乏者の男は、女を助けてあげた男は心残りで毎夜、金持ちの家の門まで行って、「むかしは忘れていた石くぶの水だけど 今になっては忘れることのできない命の恩人。」石くぶの水こそが命の恩人と歌を詠んだ。しまいには、金持ちの男は、「そんなにまで思いこがれて、死んでいた女も助けてあげて、いまだに思ってここに通ってくる。私はこの女とは別れてその男に譲ってもいい。」ということになったそうだ。 |
| 全体の記録時間数 | 3:17 |
| 物語の時間数 | 3:17 |
| 言語識別 | 方言 |
| 音源の質 | 〇 |
| テープ番号 | - |
| 予備項目1 | - |