あのね、昔の坊主御主の時代に、黒金座主という、この忍術を使う坊主がいたようだね。この坊主というのが、術を使って美しい女は全部自分のものにしたそうだ。それで、「これは彼の勝手にさせてはいけない。」と北谷王子が言った。北谷王子というのは、坊主御主の叔父にあたる人である。そして、北谷王子は「こんな人を生かしておくと大変なことになるから、この人を殺して捨ててしまいなさい。」と言った。だけども、黒金座主は術をかけるでしょう。だから彼を殺しに行く時は、坊主御主は術にかかるので、その術にかからない北谷王子が行ったようだ。黒金座主は寺に住んでいた。その寺に坊主御主が黒金座主を殺しにくると、黒金座主は術をかけて寺の門柱になって姿をくらましたので、坊主御主には黒金座主がどこにいるのか何も分らなかった。だけども、北谷王子には術をかけることができなかったようだ。それで黒金座主は「では、君と二人で囲碁を打ってみようじゃないか。」と言った。囲碁は昔からあったようだね。「君が負けると君が殺されることになるし、または私が君に負けたら君に殺されでもいいから。」と賭けて勝負するわけさ。人は理由なくして殺すことはできない。囲碁で賭けをした。すると北谷王子が勝ったようだ。「それでは、男と男の約束、それに君は坊主で神様の存在だから、約束は破らないでしょうね。」と(北谷王子が)言った。「破りません。どうぞ殺して下さい。」と黒金座主が言った。しかし、術で逃れようと思っても、それをかけることができない。他の人には術をかけることができるがね。そういうことで北谷王子に切られてしまった。耳を切られてしまったので、その時から首里では、子守りが「ほらほら、そこに耳切れ坊主が立ってるよ。」と歌うようになった。それはどういうことかというと、「最初に負けると耳を切ることにしようね。」ということになった。また「もう一回負けると鼻を切る。」ことになっていたようだ。二回とも負けて耳を切って、鼻を切ってしまったので、「さあ、今度は最後だから命を取るしかないから殺してやろうね。」ということになってしまった。そんなことで黒金座主が術をかけようとしても、北谷王子には効めがなく、逆に自分が殺されてしまった。それで、恨みに化けて立って、男子が生まれる度に、生まれたことを知ると、彼がその子を殺してしまった。それで、「今度男の子が生まれて名前を付ける時に、男の子というとその度に殺されてしまうので、そうだ!名前を替えてしまおう。名前を付けない間は替えて呼ぼう。」と。それから、カーウリーに行く途中で、「あなた連の赤ちゃんはどっちが生まれたか。」と聞かれても、「名前は付けてない。赤ちゃんが生まれています。」と、ただ答えるだけであった。さらに、「そうか、どういう赤ちゃんだ。」と聞かれると、「大女。」と言った。男の子というと黒金座主が化けて殺してしまうので。その意味からして、大女というようになったそうだ。昔の黒金座主の話の内容はこういったものなんだ。
| レコード番号 | 47O370513 |
|---|---|
| CD番号 | 47O37C024 |
| 決定題名 | 黒金座主(方言) |
| 話者がつけた題名 | 黒金座主 |
| 話者名 | 屋良朝助 |
| 話者名かな | やらちょうすけ |
| 生年月日 | 19070608 |
| 性別 | 男 |
| 出身地 | 沖縄県読谷村瀬名波 |
| 記録日 | 19461114 |
| 記録者の所属組織 | 読谷村民話調査団第3班 |
| 元テープ番号 | 読谷村瀬名波T02A07 |
| 元テープ管理者 | 読谷村立歴史民俗資料館 |
| 分類 | 伝説 |
| 発句(ほっく) | よーんかしぬ |
| 伝承事情 | - |
| 文字化資料 | 読谷村民話資料集4瀬名波の民話 P238 |
| キーワード | 坊主御主の時代,黒金座主,忍術を使う坊主,美女は全部自分のものにした,北谷王子,坊主御主の叔父,寺の門柱になって姿をくらました,囲碁で賭け,北谷王子が勝った,北谷王子に耳を切られた,首里,耳切り坊主,カーウリー,大女 |
| 梗概(こうがい) | あのね、昔の坊主御主の時代に、黒金座主という、この忍術を使う坊主がいたようだね。この坊主というのが、術を使って美しい女は全部自分のものにしたそうだ。それで、「これは彼の勝手にさせてはいけない。」と北谷王子が言った。北谷王子というのは、坊主御主の叔父にあたる人である。そして、北谷王子は「こんな人を生かしておくと大変なことになるから、この人を殺して捨ててしまいなさい。」と言った。だけども、黒金座主は術をかけるでしょう。だから彼を殺しに行く時は、坊主御主は術にかかるので、その術にかからない北谷王子が行ったようだ。黒金座主は寺に住んでいた。その寺に坊主御主が黒金座主を殺しにくると、黒金座主は術をかけて寺の門柱になって姿をくらましたので、坊主御主には黒金座主がどこにいるのか何も分らなかった。だけども、北谷王子には術をかけることができなかったようだ。それで黒金座主は「では、君と二人で囲碁を打ってみようじゃないか。」と言った。囲碁は昔からあったようだね。「君が負けると君が殺されることになるし、または私が君に負けたら君に殺されでもいいから。」と賭けて勝負するわけさ。人は理由なくして殺すことはできない。囲碁で賭けをした。すると北谷王子が勝ったようだ。「それでは、男と男の約束、それに君は坊主で神様の存在だから、約束は破らないでしょうね。」と(北谷王子が)言った。「破りません。どうぞ殺して下さい。」と黒金座主が言った。しかし、術で逃れようと思っても、それをかけることができない。他の人には術をかけることができるがね。そういうことで北谷王子に切られてしまった。耳を切られてしまったので、その時から首里では、子守りが「ほらほら、そこに耳切れ坊主が立ってるよ。」と歌うようになった。それはどういうことかというと、「最初に負けると耳を切ることにしようね。」ということになった。また「もう一回負けると鼻を切る。」ことになっていたようだ。二回とも負けて耳を切って、鼻を切ってしまったので、「さあ、今度は最後だから命を取るしかないから殺してやろうね。」ということになってしまった。そんなことで黒金座主が術をかけようとしても、北谷王子には効めがなく、逆に自分が殺されてしまった。それで、恨みに化けて立って、男子が生まれる度に、生まれたことを知ると、彼がその子を殺してしまった。それで、「今度男の子が生まれて名前を付ける時に、男の子というとその度に殺されてしまうので、そうだ!名前を替えてしまおう。名前を付けない間は替えて呼ぼう。」と。それから、カーウリーに行く途中で、「あなた連の赤ちゃんはどっちが生まれたか。」と聞かれても、「名前は付けてない。赤ちゃんが生まれています。」と、ただ答えるだけであった。さらに、「そうか、どういう赤ちゃんだ。」と聞かれると、「大女。」と言った。男の子というと黒金座主が化けて殺してしまうので。その意味からして、大女というようになったそうだ。昔の黒金座主の話の内容はこういったものなんだ。 |
| 全体の記録時間数 | 4:07 |
| 物語の時間数 | 4:07 |
| 言語識別 | 方言 |
| 音源の質 | ◎ |
| テープ番号 | - |
| 予備項目1 | - |