パーパーフージョーというのはね、これもちょうど、尚巴志王の譲りと同じで、母親育ちであり、父親ぬきである。ある子が、「私は、親の財産を譲り受けたいがね、お母さん。」と言った。すると、「親の譲れる財産なんてないのにどうしよう。」と親が言った。「必ず下さい。」と子が言った。それで母親は、「それでは、いついつにお前は包丁を鋭く研いておくように。」と頼んだ。子供は包丁を研といで、「これでいいですか。」と聞くと、「まだまだだ。もっと研いでこい。」と戻された。二度目も「まだまだだ。」と言われ、このように毛が剃れるぐらいに研いだので、「よろしい、今のようにだ。」と言って、母親は、「私の譲り分はここ(局部)だよ。」と示した。これは、可笑しい話ですよ。こんなになったのも、自分から譲り分を欲しいと言い出したのだから仕方がない。「だけど、お母さんは局部を決り取ってしまっては大変なことになるが。」と言った。しかし、私が欲しがったんだからと、子どもが抉ってしまうと、とうとう母親は死んでしまったそうだ。これは、親の譲りだから大切にしなければと、元祖の前に飾って置いたらパーパーフージョーはよじれてしまった。それで「これは良い煙草入れになる。」と思った。間もなく、フージョーを作って懐に入れて持ち歩いたようだ。そうこうしている間に、泊高橋というところに、芋商人がいたようだね。そこには雌馬と雄馬がつないであったようだが、その持ち主だちは、芋を売って町中を歩き回ったようだ。それで馬だけになると、この雄の馬が雌馬に乗っかり交尾したようだが、それがなかなか離れなかった。その人が持っている、パーパーフージョーは、緒、口の方は閉めてあったので、「こんな状態になるのは、私の持っているパーパーフージョーのせいだ。」と、こうして煙草入れの口を開いて、「エイッ。」と言って打ってみると、交尾が離れたそうだ。(次の話は前後していると思われる。パーパーフージョーを持っている人が、「これを離す方法がある。」と言った。「もし、君は方法がなかったらどうするか。」と。「それがあったとすればどうするのか。」と言うと、「もし、あるなら、馬は君にあげてもよい。」とまた言った。「ああ、そうですか。」と言った。それから、自分が持っているフージョーを開いて馬の尻をぱんっと打つと、すぐに離れてしまった。「だけど、ごれっぽっちでは財産は培われないし、もっと他の場所へ歩き回ってみよう。」と考えたようだね。そして、泊前原に行ってみると、御殿殿内では、アットメーとヤチメーの結婚式が行われていた。そこでは、結婚式の後すぐに初夜は裏座で過ごしたそうだ。そういうことのようだが、夫婦はお互いに興奮しすぎて離れなかったそうだ。それで、パーパーフージョーを持ち歩いている人が、「どういうことですか、ここは?」と聞いた。「ここは御祝のようだがどんなものですか。」とまた聞いたようだ。「いや、君に聞かせてはいけない、何でもないさ。」といわれた。「そういわずに聞かせて下さい。」と追った。「御祝だというのにどうしてそんなに黙っていらっしゃるのか。」と問うた。台所の女中が「ここのヤチメーとアヤメーが裏座で寝ているが、男の方がなかなか離れないようで心配しているんだ。」と教えてくれた。(「いや、君に聞かせると新聞で報告するだろうし、困るんだが。」と言った。「私ならすぐに別々にしてあげるさ。」と言うと、「えっ!これはちょっと迷うけど、もし君が出来なければ殺されるかも知れないよ。」とも言った。「それでは出来たらどうなさいますか。」「ここには娘がひとりいることだし、それに財産も家も君たちに与え、私達は他所へ去ってもよいから。」と。「ああそうですか、それではどうも有難うございます。」と礼を言った。そして、自分のパーパーフージョーの緒を開けて、「はいヤッチーメー殿。」と声をかけると、「えっ!」と離れた。莫大な財産ももらったし、このパーパーフージョーは、もう仏壇に飾らなくてもよいと、うっかり縁側に置いてあったようだが、形見のパーパーフージョーはね。それを犬が喰わえて逃げてしまったので、「こいつ!私の財産のパーパーフージョーを喰わえて行ったなあ。君が夫婦の営みをする時は、必ず辛い思いをする筈だから覚えておけ。」と言ったので、犬の交尾はなかなか離れなくなったという話。
| レコード番号 | 47O370408 |
|---|---|
| CD番号 | 47O37C019 |
| 決定題名 | 形見の煙草入れ パーパーフージョー(方言) |
| 話者がつけた題名 | パーパーフージョー |
| 話者名 | 金城太郎 |
| 話者名かな | きんじょうたろう |
| 生年月日 | 18860920 |
| 性別 | 男 |
| 出身地 | 沖縄県読谷村長浜 |
| 記録日 | 19770815 |
| 記録者の所属組織 | 読谷村民話調査団第15班 |
| 元テープ番号 | 読谷村長浜T09B05 |
| 元テープ管理者 | 読谷村立歴史民俗資料館 |
| 分類 | 本格昔話 |
| 発句(ほっく) | - |
| 伝承事情 | - |
| 文字化資料 | - |
| キーワード | パーパーフージョー,尚巴志王の譲りと同じ,包丁を鋭く研ぐ,親の譲り,泊高橋,芋商人,馬の尻,泊前原,御殿殿内,アットメーとヤチメーの結婚式,初夜,莫大な財産,犬の交尾 |
| 梗概(こうがい) | パーパーフージョーというのはね、これもちょうど、尚巴志王の譲りと同じで、母親育ちであり、父親ぬきである。ある子が、「私は、親の財産を譲り受けたいがね、お母さん。」と言った。すると、「親の譲れる財産なんてないのにどうしよう。」と親が言った。「必ず下さい。」と子が言った。それで母親は、「それでは、いついつにお前は包丁を鋭く研いておくように。」と頼んだ。子供は包丁を研といで、「これでいいですか。」と聞くと、「まだまだだ。もっと研いでこい。」と戻された。二度目も「まだまだだ。」と言われ、このように毛が剃れるぐらいに研いだので、「よろしい、今のようにだ。」と言って、母親は、「私の譲り分はここ(局部)だよ。」と示した。これは、可笑しい話ですよ。こんなになったのも、自分から譲り分を欲しいと言い出したのだから仕方がない。「だけど、お母さんは局部を決り取ってしまっては大変なことになるが。」と言った。しかし、私が欲しがったんだからと、子どもが抉ってしまうと、とうとう母親は死んでしまったそうだ。これは、親の譲りだから大切にしなければと、元祖の前に飾って置いたらパーパーフージョーはよじれてしまった。それで「これは良い煙草入れになる。」と思った。間もなく、フージョーを作って懐に入れて持ち歩いたようだ。そうこうしている間に、泊高橋というところに、芋商人がいたようだね。そこには雌馬と雄馬がつないであったようだが、その持ち主だちは、芋を売って町中を歩き回ったようだ。それで馬だけになると、この雄の馬が雌馬に乗っかり交尾したようだが、それがなかなか離れなかった。その人が持っている、パーパーフージョーは、緒、口の方は閉めてあったので、「こんな状態になるのは、私の持っているパーパーフージョーのせいだ。」と、こうして煙草入れの口を開いて、「エイッ。」と言って打ってみると、交尾が離れたそうだ。(次の話は前後していると思われる。パーパーフージョーを持っている人が、「これを離す方法がある。」と言った。「もし、君は方法がなかったらどうするか。」と。「それがあったとすればどうするのか。」と言うと、「もし、あるなら、馬は君にあげてもよい。」とまた言った。「ああ、そうですか。」と言った。それから、自分が持っているフージョーを開いて馬の尻をぱんっと打つと、すぐに離れてしまった。「だけど、ごれっぽっちでは財産は培われないし、もっと他の場所へ歩き回ってみよう。」と考えたようだね。そして、泊前原に行ってみると、御殿殿内では、アットメーとヤチメーの結婚式が行われていた。そこでは、結婚式の後すぐに初夜は裏座で過ごしたそうだ。そういうことのようだが、夫婦はお互いに興奮しすぎて離れなかったそうだ。それで、パーパーフージョーを持ち歩いている人が、「どういうことですか、ここは?」と聞いた。「ここは御祝のようだがどんなものですか。」とまた聞いたようだ。「いや、君に聞かせてはいけない、何でもないさ。」といわれた。「そういわずに聞かせて下さい。」と追った。「御祝だというのにどうしてそんなに黙っていらっしゃるのか。」と問うた。台所の女中が「ここのヤチメーとアヤメーが裏座で寝ているが、男の方がなかなか離れないようで心配しているんだ。」と教えてくれた。(「いや、君に聞かせると新聞で報告するだろうし、困るんだが。」と言った。「私ならすぐに別々にしてあげるさ。」と言うと、「えっ!これはちょっと迷うけど、もし君が出来なければ殺されるかも知れないよ。」とも言った。「それでは出来たらどうなさいますか。」「ここには娘がひとりいることだし、それに財産も家も君たちに与え、私達は他所へ去ってもよいから。」と。「ああそうですか、それではどうも有難うございます。」と礼を言った。そして、自分のパーパーフージョーの緒を開けて、「はいヤッチーメー殿。」と声をかけると、「えっ!」と離れた。莫大な財産ももらったし、このパーパーフージョーは、もう仏壇に飾らなくてもよいと、うっかり縁側に置いてあったようだが、形見のパーパーフージョーはね。それを犬が喰わえて逃げてしまったので、「こいつ!私の財産のパーパーフージョーを喰わえて行ったなあ。君が夫婦の営みをする時は、必ず辛い思いをする筈だから覚えておけ。」と言ったので、犬の交尾はなかなか離れなくなったという話。 |
| 全体の記録時間数 | 8:28 |
| 物語の時間数 | 8:28 |
| 言語識別 | 方言 |
| 音源の質 | ◎ |
| テープ番号 | - |
| 予備項目1 | - |