ある友人がいて二人は漁師だったようだが、一人の男は海わざも上手で、泳ぎも達者だった。他の一人の男は、泳ぎも出来なかった。泳げない人の妻は、とても美しい人であった。二人一緒に釣をしに行ったら、難船に出くわしたので、自分は刃物を持っていて、すぐさま舟をけずり取ると、海水が入って来たので、「大変な事になってしまったぞ。今日は舟が壊れて、潮は入って来て、ユーが溜ってしまった。私は家に帰るよ。」と泳いで去ってしまった。泳げる人が家へ帰ってしまうと、泳げない人は帰ることもできずに、舟ともろともに溺れ、そして死んでしまった。その底意地の悪い男は海から帰って来た。その男がすぐ帰って来ると、「どうしたのか、私の夫は。」と妻に聞かれたので、男は「ああ、今日は難船に出くわし帰らずじまいになってしまった。」「助けようともしないで、私の夫一人だけあのように舟と一緒に沈めるんですか。」と怒った。「もうあそこへ行くと、自分が助かる事しか考えない。」と男は冷たく言った。そしてその男は自分だけ助かった。死んだ男の妻は子どもが大きくなってから、相手の男に「さあ、夫が生きていた時のように、二人で相舟を作りましょう。」と言った。「そのように、してもいいのですか。」「いいですとも。」「それでは、大きな松の木しか使えないよ、舟を作るには。他の場所に、大きな松の木があるので、二人で舟を作って魚を取る事にしよう。」と相談した。それから、娘と母親は一緒に山へ行くと女が「この木はどれぐらいの大きさだろうか、測ってみよう。」と手を松に回してみた。「そうか。」と答え、このたちの悪い男が、こうして両手で松の木を抱きかかえようとした時、「ちょっと待っていて下さいよ。」と娘がこの男の手に釘を打ち、また妻も、もう一方に釘を打ったので動けず抜くことが出来ず、そこで木にくっつけられたまま死んでしまった。その男は、木の精になって立つようになった。女の考えは偉大なもんだ。前の舟も相舟だったので、二人の舟であり、また二人で舟を作り、漁に出ようと話しかけたので、「ああ、そのようにしよう。」と、その女は、大きな山があるのでと話をもちかけ、考え出すことがすぐにも出来るものなんだね。思いつきに関しては、女の人が良いとよく言われている。すぐ山へ連れて行き手を松に回させ、すぐにこちらから釘を打ちつけ、またそこにも打ち、一人で打つと片一方しか出来ないので、娘と自分とで合図をして、強く木に締めつけていった。そして、木の精というのは男の人だそうだ。
| レコード番号 | 47O370335 |
|---|---|
| CD番号 | 47O37C015 |
| 決定題名 | 木の精の話(方言) |
| 話者がつけた題名 | 木の精 |
| 話者名 | 金城太郎 |
| 話者名かな | きんじょうたろう |
| 生年月日 | 18860920 |
| 性別 | 男 |
| 出身地 | 沖縄県読谷村長浜 |
| 記録日 | 19761031 |
| 記録者の所属組織 | 読谷村民話調査団第5班 |
| 元テープ番号 | 読谷村長浜T06B03 |
| 元テープ管理者 | 読谷村立歴史民俗資料館 |
| 分類 | 本格昔話 |
| 発句(ほっく) | - |
| 伝承事情 | - |
| 文字化資料 | 父から24、5歳の頃聞いた |
| キーワード | 友人が二,漁師,泳ぎが上手,泳げない,二人一緒に釣,難船,舟ともろともに溺れ死んだ,二人で相舟を作り,大きな松の木,娘と女,手に釘を打ち,木の精 |
| 梗概(こうがい) | ある友人がいて二人は漁師だったようだが、一人の男は海わざも上手で、泳ぎも達者だった。他の一人の男は、泳ぎも出来なかった。泳げない人の妻は、とても美しい人であった。二人一緒に釣をしに行ったら、難船に出くわしたので、自分は刃物を持っていて、すぐさま舟をけずり取ると、海水が入って来たので、「大変な事になってしまったぞ。今日は舟が壊れて、潮は入って来て、ユーが溜ってしまった。私は家に帰るよ。」と泳いで去ってしまった。泳げる人が家へ帰ってしまうと、泳げない人は帰ることもできずに、舟ともろともに溺れ、そして死んでしまった。その底意地の悪い男は海から帰って来た。その男がすぐ帰って来ると、「どうしたのか、私の夫は。」と妻に聞かれたので、男は「ああ、今日は難船に出くわし帰らずじまいになってしまった。」「助けようともしないで、私の夫一人だけあのように舟と一緒に沈めるんですか。」と怒った。「もうあそこへ行くと、自分が助かる事しか考えない。」と男は冷たく言った。そしてその男は自分だけ助かった。死んだ男の妻は子どもが大きくなってから、相手の男に「さあ、夫が生きていた時のように、二人で相舟を作りましょう。」と言った。「そのように、してもいいのですか。」「いいですとも。」「それでは、大きな松の木しか使えないよ、舟を作るには。他の場所に、大きな松の木があるので、二人で舟を作って魚を取る事にしよう。」と相談した。それから、娘と母親は一緒に山へ行くと女が「この木はどれぐらいの大きさだろうか、測ってみよう。」と手を松に回してみた。「そうか。」と答え、このたちの悪い男が、こうして両手で松の木を抱きかかえようとした時、「ちょっと待っていて下さいよ。」と娘がこの男の手に釘を打ち、また妻も、もう一方に釘を打ったので動けず抜くことが出来ず、そこで木にくっつけられたまま死んでしまった。その男は、木の精になって立つようになった。女の考えは偉大なもんだ。前の舟も相舟だったので、二人の舟であり、また二人で舟を作り、漁に出ようと話しかけたので、「ああ、そのようにしよう。」と、その女は、大きな山があるのでと話をもちかけ、考え出すことがすぐにも出来るものなんだね。思いつきに関しては、女の人が良いとよく言われている。すぐ山へ連れて行き手を松に回させ、すぐにこちらから釘を打ちつけ、またそこにも打ち、一人で打つと片一方しか出来ないので、娘と自分とで合図をして、強く木に締めつけていった。そして、木の精というのは男の人だそうだ。 |
| 全体の記録時間数 | 3:34 |
| 物語の時間数 | 3:34 |
| 言語識別 | 方言 |
| 音源の質 | ◎ |
| テープ番号 | - |
| 予備項目1 | - |