お父さんは畑でゴボーを抜き出していたようだね。そこへ猿が来て、「何をしているか爺さん。」と言ったので、「ゴボーを抜き出しているんだよ。」と言った。猿が「ゴボーは抜いでないのに、そういうか、私が抜き出してあげようか。」と言ったので、爺さんは「そうか、では手伝ってくれ」と言った。「手伝ったら何をくれる?」「君が欲しい物をあげるさ。」。すると今度は「そうか、娘はいるか」と聞いた。「うん、娘はいるが。」と言うと、猿は「一人私に譲ってくれないか。」と。「ああそうか、一人は譲ってもよいが。」と答えた。そして後日、いよいよ約束通り、猿はやって来た。ゴボー畑では掘り出したゴボーの荷を持てるだけたくさん持っている爺さんのところヘ、猿が来て、「爺さん」と呼んだ。「はい」と答えると、「約束を破ってはいけないよ。」と言った。「娘をもらいにいつ私はくればいいのか。」と聞いた。畑で猿と別れて家へ帰る途中、爺さんは考えた。「あんなことは、冗談だと思っていたのに、猿)本気でいるし、困ったものだ。」と。家へ着くとゴボーはすぐに投げ出して、地炉で黙り込んでしまった。すると、家族が、「どうして爺さんの顔は、少し蒼ざめているの?」と聞くと、「私は、大変な約束をしてしまった。」と。「何を約束したの」「私がゴボー掘りをしている際に、猿が来て、『手伝ったら、娘一人を私にくれないか。』と言ったので、冗談だと思って『はい』と返事したのに、それが実となって、明後日は婚礼の儀式になってしまって。」「全く馬鹿なことを言ったもんだね爺さんはー。」と。それで、「女三人いるから、その中から誰か一人をあげるさ。」と言ってしまったようだ。そこで、姉妹たちに聞いてみた。長女に「あなたは、猿の嫁になれるか。」と。「いや、猿の嫁、死んだ方がましだ。」と答えた「そうか、では次女はどうだ。」「馬鹿なことを言わないで、猿の嫁になる人がいるもんか。」と。だが三女だけは、「私がなります。」と。「そうか、良い子じゃなあ。お前は親孝行な子だ。」と爺さんは言った。そこで、爺さんが「そうなら、聟入りの用意をしてくれ。」と。娘が「私は、もう何も欲しくありません。よこ下駄も、それから、鏡台も草履も、それにタンスも何も望みません。」と言った。「何が望みですか。」と聞くと、「石臼と米一袋、また杵そう杵。」「そうか、それじゃ米と石臼を用意しよう。お母さんは町へ行って米を買っておいで。私は、石臼と杵を作るから。」と爺さんが言った。準備ができて三日目になった。約束をして三日目には、「支度はできていますか。」と、猿がやって来た。「はい、すでに結婚支度はできている。」と言うと、「そうか、何々ですか。」と聞かれ、「この石臼と米一俵と杵を持って行け。」「ああ、そうか。」と猿は言った。それから、お母さんが、「なぜあなたは、その石臼と米など持って行くのか。」と聞いた。「私は餅が好きだから、山に行っても餅をついて、家族のことを忘れるようにするから。」と。いよいよ結婚の日が来た。「この嫁入り道具は、聟さんが持つものだから持ちなさい。」と言うと、「はい、私がかついで行く。」と答えた。ところが、荷物を持って行く途中に川があって、そこを渡った川岸に、桜の木があったようだけど、そこで嫁はあることを思いつき、「私は花好きだから、あのきれいな花を折ってきて欲しんだけど。」と頼んだ。「わかった。猿は木登りは上手だから、私が折って来る。」と登った。そして、半ばまで登った時、「この枝か」と言うと、「もっと上のもの」「これか」「もっと上の上」「そうか」と。猿は、女が言う通りに、枝先を折ろうとして、枝ごと川に落ちてしまい、かついでいた米や臼と共に沈んでしまった。そして、三女は家に帰った。親達は、見送りをしてくれたが、三女に再び家に戻ってほしいと願っていたが、その願いがかなって家に帰ってきた。
| レコード番号 | 47O370323 |
|---|---|
| CD番号 | 47O37C015 |
| 決定題名 | 猿婿入(共通語混) |
| 話者がつけた題名 | 猿婿入 |
| 話者名 | 金城太郎 |
| 話者名かな | きんじょうたろう |
| 生年月日 | 18860920 |
| 性別 | 男 |
| 出身地 | 沖縄県読谷村長浜 |
| 記録日 | 19761031 |
| 記録者の所属組織 | 読谷村民話調査団第5班 |
| 元テープ番号 | 読谷村長浜T06A03 |
| 元テープ管理者 | 読谷村立歴史民俗資料館 |
| 分類 | 本格昔話 |
| 発句(ほっく) | - |
| 伝承事情 | 本で読んだ |
| 文字化資料 | 読谷村民話資料集3長浜の民話 P42 |
| キーワード | お父さん,ゴボー,猿,娘,婚礼の儀式,猿の嫁,三女,聟入り,下駄,鏡台,草履,タンス,石臼と米一袋に杵,川,桜の木,枝ごと川に落ちた, |
| 梗概(こうがい) | お父さんは畑でゴボーを抜き出していたようだね。そこへ猿が来て、「何をしているか爺さん。」と言ったので、「ゴボーを抜き出しているんだよ。」と言った。猿が「ゴボーは抜いでないのに、そういうか、私が抜き出してあげようか。」と言ったので、爺さんは「そうか、では手伝ってくれ」と言った。「手伝ったら何をくれる?」「君が欲しい物をあげるさ。」。すると今度は「そうか、娘はいるか」と聞いた。「うん、娘はいるが。」と言うと、猿は「一人私に譲ってくれないか。」と。「ああそうか、一人は譲ってもよいが。」と答えた。そして後日、いよいよ約束通り、猿はやって来た。ゴボー畑では掘り出したゴボーの荷を持てるだけたくさん持っている爺さんのところヘ、猿が来て、「爺さん」と呼んだ。「はい」と答えると、「約束を破ってはいけないよ。」と言った。「娘をもらいにいつ私はくればいいのか。」と聞いた。畑で猿と別れて家へ帰る途中、爺さんは考えた。「あんなことは、冗談だと思っていたのに、猿)本気でいるし、困ったものだ。」と。家へ着くとゴボーはすぐに投げ出して、地炉で黙り込んでしまった。すると、家族が、「どうして爺さんの顔は、少し蒼ざめているの?」と聞くと、「私は、大変な約束をしてしまった。」と。「何を約束したの」「私がゴボー掘りをしている際に、猿が来て、『手伝ったら、娘一人を私にくれないか。』と言ったので、冗談だと思って『はい』と返事したのに、それが実となって、明後日は婚礼の儀式になってしまって。」「全く馬鹿なことを言ったもんだね爺さんはー。」と。それで、「女三人いるから、その中から誰か一人をあげるさ。」と言ってしまったようだ。そこで、姉妹たちに聞いてみた。長女に「あなたは、猿の嫁になれるか。」と。「いや、猿の嫁、死んだ方がましだ。」と答えた「そうか、では次女はどうだ。」「馬鹿なことを言わないで、猿の嫁になる人がいるもんか。」と。だが三女だけは、「私がなります。」と。「そうか、良い子じゃなあ。お前は親孝行な子だ。」と爺さんは言った。そこで、爺さんが「そうなら、聟入りの用意をしてくれ。」と。娘が「私は、もう何も欲しくありません。よこ下駄も、それから、鏡台も草履も、それにタンスも何も望みません。」と言った。「何が望みですか。」と聞くと、「石臼と米一袋、また杵そう杵。」「そうか、それじゃ米と石臼を用意しよう。お母さんは町へ行って米を買っておいで。私は、石臼と杵を作るから。」と爺さんが言った。準備ができて三日目になった。約束をして三日目には、「支度はできていますか。」と、猿がやって来た。「はい、すでに結婚支度はできている。」と言うと、「そうか、何々ですか。」と聞かれ、「この石臼と米一俵と杵を持って行け。」「ああ、そうか。」と猿は言った。それから、お母さんが、「なぜあなたは、その石臼と米など持って行くのか。」と聞いた。「私は餅が好きだから、山に行っても餅をついて、家族のことを忘れるようにするから。」と。いよいよ結婚の日が来た。「この嫁入り道具は、聟さんが持つものだから持ちなさい。」と言うと、「はい、私がかついで行く。」と答えた。ところが、荷物を持って行く途中に川があって、そこを渡った川岸に、桜の木があったようだけど、そこで嫁はあることを思いつき、「私は花好きだから、あのきれいな花を折ってきて欲しんだけど。」と頼んだ。「わかった。猿は木登りは上手だから、私が折って来る。」と登った。そして、半ばまで登った時、「この枝か」と言うと、「もっと上のもの」「これか」「もっと上の上」「そうか」と。猿は、女が言う通りに、枝先を折ろうとして、枝ごと川に落ちてしまい、かついでいた米や臼と共に沈んでしまった。そして、三女は家に帰った。親達は、見送りをしてくれたが、三女に再び家に戻ってほしいと願っていたが、その願いがかなって家に帰ってきた。 |
| 全体の記録時間数 | 5:50 |
| 物語の時間数 | 5:50 |
| 言語識別 | 混在 |
| 音源の質 | ◎ |
| テープ番号 | - |
| 予備項目1 | - |