昔、玉城間切前川という村に、木田大時という占い師がいたそうだ。この木田大時は、他の村の人とは違って、たいへんすぐれていたそうだ。いい占い師であるということ、いい占いをするという事は、世間に知れわたり、のちのち首里の御城までも、話が伝わる事になった。ある時、王様のお姫様が病気になり、どんな医者に診てもらっても、このお姫様の病気は何の病気だとわかる医者はいなかった。家来達が、「木田大時をまず連れて来て、占ってもらいましょう。」という事になり、王様も、「それは名案だ。いいように考えてくれ。」という事になり木田大時を呼ぶことになった。木田大時は、こんなに大きな御城に招かれることをたいへんうれしく思って、御城に上っていった。そして、お姫様の脈を調べてみると、「世が乱れていて人民からのたたりがあります。その魔払いをしなければ、お姫様は元の身体にはなりません。」とお話し申し上げた。すぐに御願をすると二、三日後には、お姫様の身体は元にもどったそうだ。この話を聞いた他の医者達、また今まで占なっていた占い師は、大変困って、「どうにかしてこの木田を、いじめなければならない。」と媒りごとを企てた。ある日のこと、家来達が王様に、「この木田をもう一度呼んで、その人におもしろい事でも始めてみよう。」と言うと、王様も、「よかったら、気晴らしに呼びなさい。」という事になった。すぐに、木田大時を呼び、家来達の考えで、箱の中に鼠を入れて、「これをあてきれるか、さあどうだ。」と試すことになった。すぐに木田大時は、御殿にきて試された。「木田よ、この箱の中に鼠が入っているが、何匹入っているか。これがわかったら、高官にしよう。そうでなかったらまた、やっかいなことになるぞ。」と最初で約束した。木田は、「私がそれを当てることができなければ、打首の罰を受けてもかまいません。」「本当だね。」「間違いありません。」と。王様は、「お前は、木田よ、今の言葉に間違いはないか。」と念をおされた。「間違いありません。」と言った。すると、今度は、「どうだ木田、もうこれを開くが、その通りでいいか。」「確かです。」と言い箱を開いた。すると、中に入っているのは、鼠一匹。「どうだ木田、お前は、今度は当たらないが、こうしてはいけない。お前が言った通り、打首の罰にしよう。」と言い、安謝の海にある岩の上で、打首の罰を受けることになった。王様は、「あの木田は大変良い占い師だったのに、残念な事だ。」と立ち上がりながら、その箱を蹴りたおした。その前に、木田は「鼠は五匹入っている」と言った。「本当か」「間違いありません、五匹入っています。」と言っていたのに、家来達は、「一匹しか入っていない。箱から出たのは一匹だから、木田の言ってることは間違っている。」といって打首の罰になった。王様が、その箱をどうかしたはずみに、蹴りたおすと、そこから赤がかっている鼠の子が四匹出てきた。「しまった!これは早まった事をした。なるほど、これは木田大時の言ったとおり、鼠は五匹だった。よく占い出したもんだ。これは何とかできないものか。」と言って、打首の罰を止めにやらせたが、すでに時おそく、木田の首は落とされていたとの話だ。こういった木田大時の占いは昔話として、今でも伝えられています。以上。
| レコード番号 | 47O370290 |
|---|---|
| CD番号 | 47O37C013 |
| 決定題名 | 木田大時と箱の鼠(方言) |
| 話者がつけた題名 | ムクダウフトゥチ |
| 話者名 | 長浜真一 |
| 話者名かな | ながはましんいち |
| 生年月日 | 19101012 |
| 性別 | 男 |
| 出身地 | 沖縄県読谷村長浜 |
| 記録日 | 19761031 |
| 記録者の所属組織 | 読谷村民話調査団第4班 |
| 元テープ番号 | 読谷村長浜T04B03 |
| 元テープ管理者 | 読谷村立歴史民俗資料館 |
| 分類 | 笑話 |
| 発句(ほっく) | んかし |
| 伝承事情 | 父親や宮城平三さんという大変話し上手の人から聞いた |
| 文字化資料 | 読谷村民話資料集3長浜の民話 P157 |
| キーワード | 玉城間切前川,木田大時,占い師,首里の御城,お姫様が病気,脈,魔払い,御願,箱の中の鼠,打首の罰,鼠は五匹 |
| 梗概(こうがい) | 昔、玉城間切前川という村に、木田大時という占い師がいたそうだ。この木田大時は、他の村の人とは違って、たいへんすぐれていたそうだ。いい占い師であるということ、いい占いをするという事は、世間に知れわたり、のちのち首里の御城までも、話が伝わる事になった。ある時、王様のお姫様が病気になり、どんな医者に診てもらっても、このお姫様の病気は何の病気だとわかる医者はいなかった。家来達が、「木田大時をまず連れて来て、占ってもらいましょう。」という事になり、王様も、「それは名案だ。いいように考えてくれ。」という事になり木田大時を呼ぶことになった。木田大時は、こんなに大きな御城に招かれることをたいへんうれしく思って、御城に上っていった。そして、お姫様の脈を調べてみると、「世が乱れていて人民からのたたりがあります。その魔払いをしなければ、お姫様は元の身体にはなりません。」とお話し申し上げた。すぐに御願をすると二、三日後には、お姫様の身体は元にもどったそうだ。この話を聞いた他の医者達、また今まで占なっていた占い師は、大変困って、「どうにかしてこの木田を、いじめなければならない。」と媒りごとを企てた。ある日のこと、家来達が王様に、「この木田をもう一度呼んで、その人におもしろい事でも始めてみよう。」と言うと、王様も、「よかったら、気晴らしに呼びなさい。」という事になった。すぐに、木田大時を呼び、家来達の考えで、箱の中に鼠を入れて、「これをあてきれるか、さあどうだ。」と試すことになった。すぐに木田大時は、御殿にきて試された。「木田よ、この箱の中に鼠が入っているが、何匹入っているか。これがわかったら、高官にしよう。そうでなかったらまた、やっかいなことになるぞ。」と最初で約束した。木田は、「私がそれを当てることができなければ、打首の罰を受けてもかまいません。」「本当だね。」「間違いありません。」と。王様は、「お前は、木田よ、今の言葉に間違いはないか。」と念をおされた。「間違いありません。」と言った。すると、今度は、「どうだ木田、もうこれを開くが、その通りでいいか。」「確かです。」と言い箱を開いた。すると、中に入っているのは、鼠一匹。「どうだ木田、お前は、今度は当たらないが、こうしてはいけない。お前が言った通り、打首の罰にしよう。」と言い、安謝の海にある岩の上で、打首の罰を受けることになった。王様は、「あの木田は大変良い占い師だったのに、残念な事だ。」と立ち上がりながら、その箱を蹴りたおした。その前に、木田は「鼠は五匹入っている」と言った。「本当か」「間違いありません、五匹入っています。」と言っていたのに、家来達は、「一匹しか入っていない。箱から出たのは一匹だから、木田の言ってることは間違っている。」といって打首の罰になった。王様が、その箱をどうかしたはずみに、蹴りたおすと、そこから赤がかっている鼠の子が四匹出てきた。「しまった!これは早まった事をした。なるほど、これは木田大時の言ったとおり、鼠は五匹だった。よく占い出したもんだ。これは何とかできないものか。」と言って、打首の罰を止めにやらせたが、すでに時おそく、木田の首は落とされていたとの話だ。こういった木田大時の占いは昔話として、今でも伝えられています。以上。 |
| 全体の記録時間数 | 7:57 |
| 物語の時間数 | 7:57 |
| 言語識別 | 方言 |
| 音源の質 | ◎ |
| テープ番号 | - |
| 予備項目1 | - |