契りの話(方言)

概要

特別に親しい友達だったそうだ。二人がまだ子供を産まない前に、契をしてあったそうだ。二人に子供が出来たら夫婦にして、世を継ぎ、国を継がせて、親しく交りをさせようと約束したそうだ。まだ産まれないのに。いよいよここには女の子が生まれ、あなたには男の子が出来た。女の子の家は、とても金持ちになり、又、男の子の所はとても貧乏者だった。「お前達が生まれない前は、二人を夫婦にしようと約束していたが、貧乏ゆえにあちらの婿にはなれなかったんだね。」といつも子供に聞かすと、「ああ、そうだったのですか。私はあんな大金持ちの娘と夫婦にさせる約束だったのですか。」と言った。「はい、そうだったよ。」と答えた。それから、「運天さんと比嘉さんの家では、親同志が子供が生まれない前から契りをしてあったが、男の家は貧乏者なので似合わない。あちらの嫁になってはいけないよ。」と言われた。「ああそうだったんですか、あちらの嫁に行かすつもりだったのね。」と。そうだったよ。」と母親が言った。それから、男の方はどうにかして、妻にしてやろうと、心に決めてうんと勉強したそうだ。それから、こちらの娘は、彼は「何の灯もないのにどのようにして勉強しているかな。」と思い、親に隠れて行って見たようだね。壁のふし穴からのぞくと線香の灯で勉強していたそうだ。「あのようにして、勉強しているんだね。」と考えた。そして自分のヘソクリを家から取って来て、灯りとソメンを一緒に買ってきて、勉強しなさい。と持って行った。
 それからもう一回は、おかずを買っていき「元気に勉強しなさい。」と言って与えた。「そのようなことを親が知ってしまうと、大変なことになるよ、やめてくれ。」と男が言った。「大丈夫です。なんでもないですよ、勉強をして下さい。」と女が言った。そうして、ますます勉強家になり、秀れた人になった。それで、按司になるために試験を受けに行った。受験に行った時に、契の玉を二人に割って持たせたそうだね。彼も持っているし、彼女も持っていた。そして、契の玉を持って行ったので、彼女の親が嫉妬して、彼とは夫婦にさせてはいけないと考えた。新聞配達が新聞売りに来たので、「新聞を買いましょう。」と言うと、「買って下さい。」(と新聞売りが言った。)「実は、私は新聞を読むことは出来ないが、私の娘が比嘉という男に惚れているが、比嘉という男は、あの程度の学力で受験しに行った。しかし受験することができず、試験場で少しの事で血痰して死んだとの新聞記事は出せないか。」と尋ねた。「それは出来ます。」と言って、金持ちなので新聞社にお金を出した。そして翌日、「今日の新聞に珍しい事はないか。」と尋ねると、「ああとても残念な事が出ています。」と。「どんな事か。」と親が尋ねた。「あの比嘉という男が受験しにいらしたが、合格できず、少しの血痰で死亡したとの新聞が出ています。」「ああそうですか。」親は自分で嘘をついていながら「どうしよう。」と知らじらしく言った。それから娘もこの悪だくみを聞いて、やつれて風呂敷包みに着物を入れ、試験場に行って本当のことかと探しに行ったが探せず、後はもう橋の欄干に腰を掛け、落胆して座っていたようだ。目がくらみ川に落ちたそうだ。だが落ちると同時に綿を積んだ天馬船の上に落ちたので、命は助かったとのこと。天から落ちてきた天人の子と思われた。その船主は六十歳余りの方で、まだ子供に恵まれてなかったそうだ。それで自分の家に女を連れて行ったが、その女の子は食事もせず、水だけは飲むが、話もしないで一週間が過ぎ去った。その内に、比嘉さんは按司になった。「按司の行列が通るので、掃除しなさい。」と、巡査が廻っていいつけたようだ。その子供を育てたおじいさんも掃除をしたそうだ。そして、いよいよ按司の行列はやってきた。その女は按司が通りかかって行くのを見て、「あのう、おじいさん。」とその時言葉を出したので、おじいさんはびっくりした。「あの按司加那志を一寸こちらに休ませて下さい。」と言った。「えー!」これを聞いたおじいさんは一目散に走って行き「あのう、按司加那志、どうぞ、どうぞ一時の間こちらへお休みになって下さい。」するとお供の方々が、「按司加那志に口走を入れて何事か。」と言う。「私ではありません、あの女の子が。」と言った。それで按司は「ああそうか、女の言うことには何か理由がありそうだから、まず待ってみよう。」と。待っていると、女は出て来て袖をつかまえて、抱き寄せ泣き出したので、「お前はなんという者か。」と。「運天というものです。」「ああそうか、私が受験に行く時に、契の玉を持たされたけれどその時、二つに割ったものの一つを持っているが、お前も持っているか。と尋ねた。「私も持っていますよ、契の玉を。」と女が言った。それが歌にもあるよ。「泣かない鳥の 泣く声を聞けば 生まれない前からの 契りと思え。」それから又、「鍵をかけている その格金に その鍵の 結びが綺麗。」あのね、蝶々ですよ、契り節の。

再生時間:8:18

民話詳細DATA

レコード番号 47O370210
CD番号 47O37C009
決定題名 契りの話(方言)
話者がつけた題名 契りの話
話者名 金城太郎
話者名かな きんじょうたろう
生年月日 18860920
性別
出身地 沖縄県読谷村長浜
記録日 19750518
記録者の所属組織 読谷村民話調査団
元テープ番号 読谷村長浜T01A07
元テープ管理者 読谷村立歴史民俗資料館
分類 本格昔話
発句(ほっく)
伝承事情
文字化資料 読谷村民話資料集3長浜の民話 P56
キーワード 友達,夫婦,富豪,貧乏,運天さん,契りの玉,比嘉さん,新聞社,船主,按司,
梗概(こうがい) 特別に親しい友達だったそうだ。二人がまだ子供を産まない前に、契をしてあったそうだ。二人に子供が出来たら夫婦にして、世を継ぎ、国を継がせて、親しく交りをさせようと約束したそうだ。まだ産まれないのに。いよいよここには女の子が生まれ、あなたには男の子が出来た。女の子の家は、とても金持ちになり、又、男の子の所はとても貧乏者だった。「お前達が生まれない前は、二人を夫婦にしようと約束していたが、貧乏ゆえにあちらの婿にはなれなかったんだね。」といつも子供に聞かすと、「ああ、そうだったのですか。私はあんな大金持ちの娘と夫婦にさせる約束だったのですか。」と言った。「はい、そうだったよ。」と答えた。それから、「運天さんと比嘉さんの家では、親同志が子供が生まれない前から契りをしてあったが、男の家は貧乏者なので似合わない。あちらの嫁になってはいけないよ。」と言われた。「ああそうだったんですか、あちらの嫁に行かすつもりだったのね。」と。そうだったよ。」と母親が言った。それから、男の方はどうにかして、妻にしてやろうと、心に決めてうんと勉強したそうだ。それから、こちらの娘は、彼は「何の灯もないのにどのようにして勉強しているかな。」と思い、親に隠れて行って見たようだね。壁のふし穴からのぞくと線香の灯で勉強していたそうだ。「あのようにして、勉強しているんだね。」と考えた。そして自分のヘソクリを家から取って来て、灯りとソメンを一緒に買ってきて、勉強しなさい。と持って行った。  それからもう一回は、おかずを買っていき「元気に勉強しなさい。」と言って与えた。「そのようなことを親が知ってしまうと、大変なことになるよ、やめてくれ。」と男が言った。「大丈夫です。なんでもないですよ、勉強をして下さい。」と女が言った。そうして、ますます勉強家になり、秀れた人になった。それで、按司になるために試験を受けに行った。受験に行った時に、契の玉を二人に割って持たせたそうだね。彼も持っているし、彼女も持っていた。そして、契の玉を持って行ったので、彼女の親が嫉妬して、彼とは夫婦にさせてはいけないと考えた。新聞配達が新聞売りに来たので、「新聞を買いましょう。」と言うと、「買って下さい。」(と新聞売りが言った。)「実は、私は新聞を読むことは出来ないが、私の娘が比嘉という男に惚れているが、比嘉という男は、あの程度の学力で受験しに行った。しかし受験することができず、試験場で少しの事で血痰して死んだとの新聞記事は出せないか。」と尋ねた。「それは出来ます。」と言って、金持ちなので新聞社にお金を出した。そして翌日、「今日の新聞に珍しい事はないか。」と尋ねると、「ああとても残念な事が出ています。」と。「どんな事か。」と親が尋ねた。「あの比嘉という男が受験しにいらしたが、合格できず、少しの血痰で死亡したとの新聞が出ています。」「ああそうですか。」親は自分で嘘をついていながら「どうしよう。」と知らじらしく言った。それから娘もこの悪だくみを聞いて、やつれて風呂敷包みに着物を入れ、試験場に行って本当のことかと探しに行ったが探せず、後はもう橋の欄干に腰を掛け、落胆して座っていたようだ。目がくらみ川に落ちたそうだ。だが落ちると同時に綿を積んだ天馬船の上に落ちたので、命は助かったとのこと。天から落ちてきた天人の子と思われた。その船主は六十歳余りの方で、まだ子供に恵まれてなかったそうだ。それで自分の家に女を連れて行ったが、その女の子は食事もせず、水だけは飲むが、話もしないで一週間が過ぎ去った。その内に、比嘉さんは按司になった。「按司の行列が通るので、掃除しなさい。」と、巡査が廻っていいつけたようだ。その子供を育てたおじいさんも掃除をしたそうだ。そして、いよいよ按司の行列はやってきた。その女は按司が通りかかって行くのを見て、「あのう、おじいさん。」とその時言葉を出したので、おじいさんはびっくりした。「あの按司加那志を一寸こちらに休ませて下さい。」と言った。「えー!」これを聞いたおじいさんは一目散に走って行き「あのう、按司加那志、どうぞ、どうぞ一時の間こちらへお休みになって下さい。」するとお供の方々が、「按司加那志に口走を入れて何事か。」と言う。「私ではありません、あの女の子が。」と言った。それで按司は「ああそうか、女の言うことには何か理由がありそうだから、まず待ってみよう。」と。待っていると、女は出て来て袖をつかまえて、抱き寄せ泣き出したので、「お前はなんという者か。」と。「運天というものです。」「ああそうか、私が受験に行く時に、契の玉を持たされたけれどその時、二つに割ったものの一つを持っているが、お前も持っているか。と尋ねた。「私も持っていますよ、契の玉を。」と女が言った。それが歌にもあるよ。「泣かない鳥の 泣く声を聞けば 生まれない前からの 契りと思え。」それから又、「鍵をかけている その格金に その鍵の 結びが綺麗。」あのね、蝶々ですよ、契り節の。
全体の記録時間数 8:18
物語の時間数 8:18
言語識別 方言
音源の質
テープ番号
予備項目1

トップに戻る

TOP