これは、大物になった剣術の話だがね。それは、誰がしたかというと、平民ではなく、士族がするものだったそうだ。この士族達は、剣術の先生を頼んで習ったが、この人達は、沖縄では何でも大変上手だという話を聞いていた。それで、試合を申し込んできた。〈試合というのは分るのでしょう。〉試合(剣術の)をある士族が、先生について武勇を習っている所の二番手が。試合を望んだので、それをどうしてするかというとこの沖縄ではその頃、闘う道具で切れる物はないし、また、槍だってなかった。専ら手だけが頼りだった。棒はあったが、そんな物では沖縄としては相手になれなかった。相手を押え込めるような人は居なかったそうだ。だから、内地の武士の二番手が試合を望んだそうだ。「沖縄は上手だというが、試合をさせてみましょう。」と言った。すると、「よろしい。」と答えた。内地で試合といえば太刀を持つ、しかし、ぺークータンメーは何も持たずに、ただ扇子だけ、これ一つを持っていた。「私は何も持たないで、ただ扇子一つだけで結構だから。あなたは太刀を持ちなさい。」と言った。太刀を持って受けきれない者は、これで(太刀)をやられるよと。太刀でやられるかも知れないが、ぺークーは理屈が強い人だったので、飛び蹴りがあり、また立ったままで蹴る術を知っていた。〈飛び蹴りというのは分っているでしょう。〉走って来てするのは飛び蹴りで、立ったままで闘うのは当然である。そうなんだが、飛び蹴りというのは、術を知らなければ応じられない。また、ぺークータンメーは、この扇子一本だけ持っていたそうだが、その場面でどんなにしてやったかというと、この筵の上で、畳の上ではなく、筵一枚を敷いて、その広さで試合を望んだそうだ。そういう条件で合点したそうだ。そして、二人が構えて立っていると、「はい、始め!」と言った時、この筵を足の指で引っぱったので、転んでしまったようだ。その時に行ってすかさずぺークーが相手の首筋を押え込んで、「どうだ君、今やるけど……。」と言うと、「もう悪かった。」と言ったそうだ。相手が詫びたのでペークーは勝ったという話。武勇の話といえば、もうこの話に限る。ペークーという人は理屈の強い人だったのでしょう。
| レコード番号 | 47O370126 |
|---|---|
| CD番号 | 47O37C005 |
| 決定題名 | 渡嘉敷ペークー(方言) |
| 話者がつけた題名 | 渡嘉敷ペークー |
| 話者名 | 渡嘉敷兼求 |
| 話者名かな | とかしきけんきゅう |
| 生年月日 | 18800619 |
| 性別 | 男 |
| 出身地 | 沖縄県読谷村喜名 |
| 記録日 | 19770619 |
| 記録者の所属組織 | 読谷村民話調査団第1班 |
| 元テープ番号 | 読谷村喜名T07A02 |
| 元テープ管理者 | 読谷村立歴史民俗資料館 |
| 分類 | 笑話 |
| 発句(ほっく) | - |
| 伝承事情 | - |
| 文字化資料 | 読谷村民話資料集2喜名の民話 P96 |
| キーワード | 渡嘉敷ペークー,試合,筵,扇子,理屈が強い |
| 梗概(こうがい) | これは、大物になった剣術の話だがね。それは、誰がしたかというと、平民ではなく、士族がするものだったそうだ。この士族達は、剣術の先生を頼んで習ったが、この人達は、沖縄では何でも大変上手だという話を聞いていた。それで、試合を申し込んできた。〈試合というのは分るのでしょう。〉試合(剣術の)をある士族が、先生について武勇を習っている所の二番手が。試合を望んだので、それをどうしてするかというとこの沖縄ではその頃、闘う道具で切れる物はないし、また、槍だってなかった。専ら手だけが頼りだった。棒はあったが、そんな物では沖縄としては相手になれなかった。相手を押え込めるような人は居なかったそうだ。だから、内地の武士の二番手が試合を望んだそうだ。「沖縄は上手だというが、試合をさせてみましょう。」と言った。すると、「よろしい。」と答えた。内地で試合といえば太刀を持つ、しかし、ぺークータンメーは何も持たずに、ただ扇子だけ、これ一つを持っていた。「私は何も持たないで、ただ扇子一つだけで結構だから。あなたは太刀を持ちなさい。」と言った。太刀を持って受けきれない者は、これで(太刀)をやられるよと。太刀でやられるかも知れないが、ぺークーは理屈が強い人だったので、飛び蹴りがあり、また立ったままで蹴る術を知っていた。〈飛び蹴りというのは分っているでしょう。〉走って来てするのは飛び蹴りで、立ったままで闘うのは当然である。そうなんだが、飛び蹴りというのは、術を知らなければ応じられない。また、ぺークータンメーは、この扇子一本だけ持っていたそうだが、その場面でどんなにしてやったかというと、この筵の上で、畳の上ではなく、筵一枚を敷いて、その広さで試合を望んだそうだ。そういう条件で合点したそうだ。そして、二人が構えて立っていると、「はい、始め!」と言った時、この筵を足の指で引っぱったので、転んでしまったようだ。その時に行ってすかさずぺークーが相手の首筋を押え込んで、「どうだ君、今やるけど……。」と言うと、「もう悪かった。」と言ったそうだ。相手が詫びたのでペークーは勝ったという話。武勇の話といえば、もうこの話に限る。ペークーという人は理屈の強い人だったのでしょう。 |
| 全体の記録時間数 | 3:47 |
| 物語の時間数 | 3:47 |
| 言語識別 | 方言 |
| 音源の質 | ◎ |
| テープ番号 | - |
| 予備項目1 | - |