お金持ちと貧乏人がいた。ある年の夜にお金持ちの家に乞食の姿で、「宿を貸してくれ。」と行くと、それが、金持ちの家は欲張りなので旅人が来ると食物が減るといって、「泊めることは出来ないから前の方の家に行け。」といって泊めなかった。それで、その乞食は別の家に行った。そして、そこで、「夜になっても行く所がないので治めてくれ。」と言った。すると、「私達は貧乏者で何もなくて火だけを燃やして火正月しかしません。火だけ燃やして温まるので、何もありませんが、それにそこの片隅でもよろしかったらどうぞそこに泊って下さい。」と言って泊めてあげた。すると皆が寝た後にそこに泊った乞食はこっそり食物を置いて去る。そこのおじいさんとおばあさんが朝起きて見ると、そこには餅も沢山あり、お米も肉も何もかもあって御馳走が沢山あった。しかし、その旅人の姿はもうなかった。そしてその夜、旅人はいなくなっていたが、不思議にも今度はこのお金持ちの家は、ある神様がいうには、翌日起きて見ると家族みんなが動物になっていたが、男主だけが猿にされ、猿になって出て来るが、これがもう執念深くて、それにいつも、「私の家をよこせ私の家をよこせ。」と言って貧乏者の門に来て叫んだ。それでこの貧乏者のおじいさんとおばあさんが神様にこのことを言った。すると、「あなた達はこんなボロ家だから向うに金持ちの家に住むとよい。向うは誰もいないから向うはあなた達の家にしてあげるから。」と言うと、「はい」と答えてその家に入ったのだが、猿が毎日来て、「私の家返せ、私の家返せ。」と繰り返し言って来るので、「もうこれはどうすればいいのだろう。」と老夫婦が心配している所へ神様が現われたので相談すると、「あのとっても大きな黒石があるから、その黒石を焼いてその猿が毎日来て座る場所に置いていてね。」と言ったので、「はい、じゃあそうします。」ということになって、その貧乏者が黒石を焼いて座る場所に置くと、思った通り猿はやって来て、慌てて焼いた石の上に座った。するととたんに、「アッチッチー」と逃げて行ってしまった。それから猿の尻は真っ赤になったといい伝えられている。もうその後は貧乏者の家に、猿は来なくなって、このおじいさんとおばあさんは大変幸福に暮したという話。
| レコード番号 | 47O370054 |
|---|---|
| CD番号 | 47O37C003 |
| 決定題名 | 猿長者(方言) |
| 話者がつけた題名 | 猿長者 |
| 話者名 | 金子マツ |
| 話者名かな | かねこまつ |
| 生年月日 | 19120624 |
| 性別 | 女 |
| 出身地 | 沖縄県読谷村楚辺 |
| 記録日 | 19761017 |
| 記録者の所属組織 | 読谷村民話調査団第四班 |
| 元テープ番号 | 読谷村喜名T04A08 |
| 元テープ管理者 | 読谷村立歴史民俗資料館 |
| 分類 | 本格昔話 |
| 発句(ほっく) | - |
| 伝承事情 | 父親 |
| 文字化資料 | 読谷村民話資料集2喜名の民話 P89 |
| キーワード | 金持人,貧乏者,年の夜,乞食,猿,黒石 |
| 梗概(こうがい) | お金持ちと貧乏人がいた。ある年の夜にお金持ちの家に乞食の姿で、「宿を貸してくれ。」と行くと、それが、金持ちの家は欲張りなので旅人が来ると食物が減るといって、「泊めることは出来ないから前の方の家に行け。」といって泊めなかった。それで、その乞食は別の家に行った。そして、そこで、「夜になっても行く所がないので治めてくれ。」と言った。すると、「私達は貧乏者で何もなくて火だけを燃やして火正月しかしません。火だけ燃やして温まるので、何もありませんが、それにそこの片隅でもよろしかったらどうぞそこに泊って下さい。」と言って泊めてあげた。すると皆が寝た後にそこに泊った乞食はこっそり食物を置いて去る。そこのおじいさんとおばあさんが朝起きて見ると、そこには餅も沢山あり、お米も肉も何もかもあって御馳走が沢山あった。しかし、その旅人の姿はもうなかった。そしてその夜、旅人はいなくなっていたが、不思議にも今度はこのお金持ちの家は、ある神様がいうには、翌日起きて見ると家族みんなが動物になっていたが、男主だけが猿にされ、猿になって出て来るが、これがもう執念深くて、それにいつも、「私の家をよこせ私の家をよこせ。」と言って貧乏者の門に来て叫んだ。それでこの貧乏者のおじいさんとおばあさんが神様にこのことを言った。すると、「あなた達はこんなボロ家だから向うに金持ちの家に住むとよい。向うは誰もいないから向うはあなた達の家にしてあげるから。」と言うと、「はい」と答えてその家に入ったのだが、猿が毎日来て、「私の家返せ、私の家返せ。」と繰り返し言って来るので、「もうこれはどうすればいいのだろう。」と老夫婦が心配している所へ神様が現われたので相談すると、「あのとっても大きな黒石があるから、その黒石を焼いてその猿が毎日来て座る場所に置いていてね。」と言ったので、「はい、じゃあそうします。」ということになって、その貧乏者が黒石を焼いて座る場所に置くと、思った通り猿はやって来て、慌てて焼いた石の上に座った。するととたんに、「アッチッチー」と逃げて行ってしまった。それから猿の尻は真っ赤になったといい伝えられている。もうその後は貧乏者の家に、猿は来なくなって、このおじいさんとおばあさんは大変幸福に暮したという話。 |
| 全体の記録時間数 | 3:17 |
| 物語の時間数 | 3:17 |
| 言語識別 | 方言 |
| 音源の質 | △ |
| テープ番号 | - |
| 予備項目1 | - |