漏るのがこわい(シマグチ)

概要

これはよ、漏るのがこわいという話。この漏るのがこわいという話は、屋根にね、穴があいて、雨が降ったら漏るさあね、それを漏るのがこわいと言っているわけよ。それで、どうしてそういうかというと、ある部落にね、とても仲の良い友だちが二人いたがね、一人の友だちはよ、「俺はもうここで暮すより、一人で山奥に行って、山奥で暮したほうがいい。」と、山に行ったようだ。また、一人の友だちは、「いや、俺は山では暮せない、部落での暮しがいい。」と言って、部落で暮したようだ。そして、一年ほどたってから、部落にいる友だちが、「俺の友だちはもう今から一年ほど前に、山に行って一人で暮しているが、こわくはないかね、さびしくはないかね。」と言って、みまいに行ったようだ。それでみまいに行ったら、二人でもう山の中で話をしているわけよ、「おい、お前はよ、山の中で一人で暮しているが、山の中で一番こわいのはなにか。」と、たずねると、「おれが一番ここでこわいものは虎。」と言ったそうだ。また、山の中で暮している友だちが、「それなら、お前は部落で一番何がこわいか。」と言うと、「私は、一番漏るのがこわい。」と言ったそうだ。漏るのがこわいというのは、雨が家の中に漏ることさあ。それがこわいのだそうだ。それでもう二人で話をして、「それでは、この次に会おう。」と言って、その部落で暮している友だちはね、家に帰ろうとすると、その山の中で暮している友だちの家の門に虎が座っていたようだね、虎が。そして、その部落で暮している友だちはよ、その虎の上に乗ってね、乗ったから、その虎はおどろいて、もう人を乗せたままものすごいいきおいで駆けだした。そして、途中の田んぼの中で、疲れて倒れてしまい。倒れていたって。そこに猿がやってきて、「どうした虎。お前は、どうしてそこに倒れているのだ。」と言うたら、「俺は、今日は漏るのがこわいという人に乗りつぶされて。」その虎が聞いているのは、漏るのがこわいというのは、人の名前だと思ったわけよ。漏るのこわいというのは、人の名前だと思ったので、「俺は、今日は漏るのがこわいという人に乗りつぶされて、疲れてここに倒れているんだよ。」と言ったようだ。「それで、その人はどこに行ったのだ。」と言うと、「あそこの穴の中に入っていった。」と、虎が言った。「どのようにして入っていったか。」と言うと、「尻から先に穴の中に入って行った。」と言った。そうすると、その猿はね、それを聞いて、「俺もそれなら、あの穴の中に入ってみよう。」と言って、尻から先に、その穴の中に入って行ったわけよ。穴の中には人が入っているさあね。それで、その猿が入ってきたから、おもいきり猿の尻を蹴ってよ。すると、その猿はおどろいて逃げて行ってよ。その虎は、もう疲れてしまって、そこで死んでいたそうだ。そんな話なわけよ。漏るのがこわいというのはね。雨漏りがこわいという意味。天井からね、そういう意味で。この話は、私の家内の親父から聞いたがね。もうこれだけ。

再生時間:4:56

民話詳細DATA

レコード番号 47O376479
CD番号 47O37C261
決定題名 漏るのがこわい(シマグチ)
話者がつけた題名 漏いし恐るしむん
話者名 石川元助
話者名かな いしかわげんすけ
生年月日 19130707
性別
出身地 沖縄県恩納村谷茶
記録日 19760223
記録者の所属組織 沖縄口承文芸学術調査団
元テープ番号 恩納村T45A07
元テープ管理者 沖縄伝承話資料センター
分類 本格昔話
発句(ほっく)
伝承事情 父親が谷茶大工といわれるほどの優れた大工で、少年期から青年期にかけて父親からよく話を聞かされた。また友人間からの話も多い。
文字化資料 『恩納村の民話・昔話編』P199
キーワード 漏るのがこわい,屋根に穴,雨,漏る,仲の良い友だち,山奥,虎,田んぼの中,猿
梗概(こうがい) これはよ、漏るのがこわいという話。この漏るのがこわいという話は、屋根にね、穴があいて、雨が降ったら漏るさあね、それを漏るのがこわいと言っているわけよ。それで、どうしてそういうかというと、ある部落にね、とても仲の良い友だちが二人いたがね、一人の友だちはよ、「俺はもうここで暮すより、一人で山奥に行って、山奥で暮したほうがいい。」と、山に行ったようだ。また、一人の友だちは、「いや、俺は山では暮せない、部落での暮しがいい。」と言って、部落で暮したようだ。そして、一年ほどたってから、部落にいる友だちが、「俺の友だちはもう今から一年ほど前に、山に行って一人で暮しているが、こわくはないかね、さびしくはないかね。」と言って、みまいに行ったようだ。それでみまいに行ったら、二人でもう山の中で話をしているわけよ、「おい、お前はよ、山の中で一人で暮しているが、山の中で一番こわいのはなにか。」と、たずねると、「おれが一番ここでこわいものは虎。」と言ったそうだ。また、山の中で暮している友だちが、「それなら、お前は部落で一番何がこわいか。」と言うと、「私は、一番漏るのがこわい。」と言ったそうだ。漏るのがこわいというのは、雨が家の中に漏ることさあ。それがこわいのだそうだ。それでもう二人で話をして、「それでは、この次に会おう。」と言って、その部落で暮している友だちはね、家に帰ろうとすると、その山の中で暮している友だちの家の門に虎が座っていたようだね、虎が。そして、その部落で暮している友だちはよ、その虎の上に乗ってね、乗ったから、その虎はおどろいて、もう人を乗せたままものすごいいきおいで駆けだした。そして、途中の田んぼの中で、疲れて倒れてしまい。倒れていたって。そこに猿がやってきて、「どうした虎。お前は、どうしてそこに倒れているのだ。」と言うたら、「俺は、今日は漏るのがこわいという人に乗りつぶされて。」その虎が聞いているのは、漏るのがこわいというのは、人の名前だと思ったわけよ。漏るのこわいというのは、人の名前だと思ったので、「俺は、今日は漏るのがこわいという人に乗りつぶされて、疲れてここに倒れているんだよ。」と言ったようだ。「それで、その人はどこに行ったのだ。」と言うと、「あそこの穴の中に入っていった。」と、虎が言った。「どのようにして入っていったか。」と言うと、「尻から先に穴の中に入って行った。」と言った。そうすると、その猿はね、それを聞いて、「俺もそれなら、あの穴の中に入ってみよう。」と言って、尻から先に、その穴の中に入って行ったわけよ。穴の中には人が入っているさあね。それで、その猿が入ってきたから、おもいきり猿の尻を蹴ってよ。すると、その猿はおどろいて逃げて行ってよ。その虎は、もう疲れてしまって、そこで死んでいたそうだ。そんな話なわけよ。漏るのがこわいというのはね。雨漏りがこわいという意味。天井からね、そういう意味で。この話は、私の家内の親父から聞いたがね。もうこれだけ。
全体の記録時間数 4:56
物語の時間数 4:56
言語識別 方言
音源の質
テープ番号
予備項目1

トップに戻る

TOP