これは、祖父母が語っていた話を聞いたんだがね。飢謹の世になって食べる物もないんで、蘇鉄を食べていたが、それでもよく餓死する者が出たそうだ。それで、北谷の桑江から、そこも飢鐘で食い物がなかったので、蘇鉄を取りにここ真栄田にやって来たんだ。この人たちは船に乗ってやって来たようだが、ここ真栄田もほら、食い物がなかった。それで字真栄田の人々が集まって相談した結果、そこには武士長浜(ぶしながはま)という首里城にお勤めになっている人がいたので、「あの人たちを治めることができるのは武士長浜しかいない。」ということになり、村が頼んで武士長浜を呼んできた。北谷の桑江から来た人たちは、真栄田に来て蘇鉄を盗んだそうだよ。それで武士長浜は、「この真栄田も食い物がなくて、村の者も蘇鉄を食べて生きているというのに、お前たちはそれを盗んではいけないじゃないか。お前たちは、そんなことをしてはいけないじゃないか。」と言って、ほら、この人たちはみんな船に乗ってやって来ていたそうなので、武士長浜は、その船を持ち上げたそうだ。この人たちは船でやって来ていたそうだから四、五人はいたんだろうな。それで、その青年たちが武士長浜に手向かってきたので、「さあ、青年たち、できるものならむかって来い。」と言ったって。昔は六尺棒というのがあったが、武士長浜が、その棒を地面に突き立てたら、青年たち二人がかりでもそれを抜くことができないんだ。青年たちは驚いて、「もう、ここにいたら大変だ。殺されてしまう。」と言ったそうだよ。あんなに大きな人がいるとは思わないでしょう。武士長浜は大変な頭文者でいらっしゃるので、「ここにいては大変だ。」と言ってね。そしたら、武士長浜は、「さあそれじゃ、取った分はよいから今後、お前たちがここに蘇鉄を取りに来たら許さないぞ。お前たちは手向かうと許さんぞ。合点しないぞ。」と言ってね、この人たちみんなを帰してやったそうだ。そうして、北谷の桑江から真栄田に蘇鉄を取りにきた人たちが帰ったら、北谷の桑江では、「はあ、武士長浜というのは大変な頑丈者、お前たちは命拾いをしたな。」と噂されたそうだ。この長浜という人は誠実な人であったんでしょうね。だから、別の村に蘇鉄を取りに行ってはいけないという話。武士長浜というのは、昔、首里城にお勤めになっていたそうだ。こんな伝えもあったんだ。
| レコード番号 | 47O376354 |
|---|---|
| CD番号 | 47O37C256 |
| 決定題名 | 武士長浜(シマグチ) |
| 話者がつけた題名 | - |
| 話者名 | 長浜長誠 |
| 話者名かな | ながはまちょうせい |
| 生年月日 | 18991019 |
| 性別 | 男 |
| 出身地 | 沖縄県恩納村真栄田 |
| 記録日 | 19760224 |
| 記録者の所属組織 | 沖縄口承文芸学術調査団 |
| 元テープ番号 | 恩納村T38B07 |
| 元テープ管理者 | 沖縄伝承話資料センター |
| 分類 | 本格昔話 |
| 発句(ほっく) | - |
| 伝承事情 | 祖父母から聞いた。 |
| 文字化資料 | 『恩納村の民話・昔話編』P218 |
| キーワード | 飢謹,蘇鉄,餓死,北谷の桑江,真栄田,船,武士長浜,首里城勤め,大変な頭文者 |
| 梗概(こうがい) | これは、祖父母が語っていた話を聞いたんだがね。飢謹の世になって食べる物もないんで、蘇鉄を食べていたが、それでもよく餓死する者が出たそうだ。それで、北谷の桑江から、そこも飢鐘で食い物がなかったので、蘇鉄を取りにここ真栄田にやって来たんだ。この人たちは船に乗ってやって来たようだが、ここ真栄田もほら、食い物がなかった。それで字真栄田の人々が集まって相談した結果、そこには武士長浜(ぶしながはま)という首里城にお勤めになっている人がいたので、「あの人たちを治めることができるのは武士長浜しかいない。」ということになり、村が頼んで武士長浜を呼んできた。北谷の桑江から来た人たちは、真栄田に来て蘇鉄を盗んだそうだよ。それで武士長浜は、「この真栄田も食い物がなくて、村の者も蘇鉄を食べて生きているというのに、お前たちはそれを盗んではいけないじゃないか。お前たちは、そんなことをしてはいけないじゃないか。」と言って、ほら、この人たちはみんな船に乗ってやって来ていたそうなので、武士長浜は、その船を持ち上げたそうだ。この人たちは船でやって来ていたそうだから四、五人はいたんだろうな。それで、その青年たちが武士長浜に手向かってきたので、「さあ、青年たち、できるものならむかって来い。」と言ったって。昔は六尺棒というのがあったが、武士長浜が、その棒を地面に突き立てたら、青年たち二人がかりでもそれを抜くことができないんだ。青年たちは驚いて、「もう、ここにいたら大変だ。殺されてしまう。」と言ったそうだよ。あんなに大きな人がいるとは思わないでしょう。武士長浜は大変な頭文者でいらっしゃるので、「ここにいては大変だ。」と言ってね。そしたら、武士長浜は、「さあそれじゃ、取った分はよいから今後、お前たちがここに蘇鉄を取りに来たら許さないぞ。お前たちは手向かうと許さんぞ。合点しないぞ。」と言ってね、この人たちみんなを帰してやったそうだ。そうして、北谷の桑江から真栄田に蘇鉄を取りにきた人たちが帰ったら、北谷の桑江では、「はあ、武士長浜というのは大変な頑丈者、お前たちは命拾いをしたな。」と噂されたそうだ。この長浜という人は誠実な人であったんでしょうね。だから、別の村に蘇鉄を取りに行ってはいけないという話。武士長浜というのは、昔、首里城にお勤めになっていたそうだ。こんな伝えもあったんだ。 |
| 全体の記録時間数 | 3:13 |
| 物語の時間数 | 3:13 |
| 言語識別 | 方言 |
| 音源の質 | ◎ |
| テープ番号 | - |
| 予備項目1 | - |