昔、嘉手納の屋良漏地に、大きなウナギがいたという話です。このウナギは、まわりの農作物を食い荒らすので、農民たちは困っていたようだが、「これはどうにかしないといけない。なにがそんなことをするのかわからんが、ウナギのしわざという話もあるし。みんなで、これを退治しないといけない。」といつも相談していたが、誰もそれを捕まえて退治しようとする者もいない。ある時、タルーという人が、これは猟師だったようだが、「今日は猟銃を持っていって、退治してこよう。」と言って、暗い晩に行ってウナギが出て来るのを待っているときに、やがて川の方から、何かが出てきて、ちょうどとうもろこしを、とうもろこしではない、唐きび唐きびを喰うようだが、すぐ、それをめがけて猟銃でうつと、バタンと倒れたので、タルーは、「ああこれはウナギじゃない、人だ。」とすぐ驚いて、「もう私は人を殺してしまってどうしようかね。」と言って、友人の家に行って家族を起こして。そして、「もうどうかお前にお願いがあるから、起きてくれ。」と友人を起こすと、「おい、こんな真夜中に、どんな願いがあって来たのか。」と聞いた。するとタルーは、「私は今日、畑を食い荒らす鰻を退治しに行ったが、うったと思ったのが、実はそれは人でね。私は人を殺してしまったから、二人でそれを片づけてくれないか。」と頼んだ。それを聞いた友人は、「はあ、とんでもない。お前は人を殺しているのに、お前に片づけを手伝うと私まで罪を受けることになる。もう私にはどうしようもないよ。」と断わった。断わられたタルーは、「もうどうしよう。」と心配したが、「もうこれは兄さんに頼むしかない。」と言って兄の家に行って兄を起こして、「兄さん、私は今日、ウナギを退治しに行ったが、それはウナギじゃなくて人になってね。人を殺したようだから、ねえ、二人でその殺した人を片づけてくれないか。」と兄に言うと、兄さんは、「お前はそんなことをしたのか。」と。いつもは、二人とも大変仲の悪い兄弟だったらしいが、兄は、「そういうことだったら、もうそのままにはできない。お前は、もし殺した人を人にでも見られたら、お前は監獄に入れられてしまうからどうにかしてうまく片づけようね。」と二人行って。行って片づけようと行った。ところが人ではなくて、ウナギになって。もうそれからは、二人とも喜んで、このウナギをかついで来て、みんなでお祝いをしたという話なのだ。だから、兄弟より情が深いものはないんだ。他人というのは、こういう時は助けてはくれない。いざという時には兄弟しか助けてくれない、ということを、二人の者が感じたという話なんだよ。
| レコード番号 | 47O376347 |
|---|---|
| CD番号 | 47O37C255 |
| 決定題名 | 兄弟の仲直り(シマグチ) |
| 話者がつけた題名 | - |
| 話者名 | 川平恵治 |
| 話者名かな | かわひらけいじ |
| 生年月日 | 9080920 |
| 性別 | 男 |
| 出身地 | 沖縄県恩納村恩納 |
| 記録日 | 19760222 |
| 記録者の所属組織 | 沖縄口承文芸学術調査団 |
| 元テープ番号 | 恩納村T38A03 |
| 元テープ管理者 | 沖縄伝承話資料センター |
| 分類 | 本格昔話 |
| 発句(ほっく) | - |
| 伝承事情 | - |
| 文字化資料 | 『恩納村の民話・昔話編』P142 |
| キーワード | 嘉手納の屋良漏地,大きなウナギ,農作物を食い荒らす,タルー,猟師,人を殺してしまった,友人の家,兄,兄弟より情が深いものはない |
| 梗概(こうがい) | 昔、嘉手納の屋良漏地に、大きなウナギがいたという話です。このウナギは、まわりの農作物を食い荒らすので、農民たちは困っていたようだが、「これはどうにかしないといけない。なにがそんなことをするのかわからんが、ウナギのしわざという話もあるし。みんなで、これを退治しないといけない。」といつも相談していたが、誰もそれを捕まえて退治しようとする者もいない。ある時、タルーという人が、これは猟師だったようだが、「今日は猟銃を持っていって、退治してこよう。」と言って、暗い晩に行ってウナギが出て来るのを待っているときに、やがて川の方から、何かが出てきて、ちょうどとうもろこしを、とうもろこしではない、唐きび唐きびを喰うようだが、すぐ、それをめがけて猟銃でうつと、バタンと倒れたので、タルーは、「ああこれはウナギじゃない、人だ。」とすぐ驚いて、「もう私は人を殺してしまってどうしようかね。」と言って、友人の家に行って家族を起こして。そして、「もうどうかお前にお願いがあるから、起きてくれ。」と友人を起こすと、「おい、こんな真夜中に、どんな願いがあって来たのか。」と聞いた。するとタルーは、「私は今日、畑を食い荒らす鰻を退治しに行ったが、うったと思ったのが、実はそれは人でね。私は人を殺してしまったから、二人でそれを片づけてくれないか。」と頼んだ。それを聞いた友人は、「はあ、とんでもない。お前は人を殺しているのに、お前に片づけを手伝うと私まで罪を受けることになる。もう私にはどうしようもないよ。」と断わった。断わられたタルーは、「もうどうしよう。」と心配したが、「もうこれは兄さんに頼むしかない。」と言って兄の家に行って兄を起こして、「兄さん、私は今日、ウナギを退治しに行ったが、それはウナギじゃなくて人になってね。人を殺したようだから、ねえ、二人でその殺した人を片づけてくれないか。」と兄に言うと、兄さんは、「お前はそんなことをしたのか。」と。いつもは、二人とも大変仲の悪い兄弟だったらしいが、兄は、「そういうことだったら、もうそのままにはできない。お前は、もし殺した人を人にでも見られたら、お前は監獄に入れられてしまうからどうにかしてうまく片づけようね。」と二人行って。行って片づけようと行った。ところが人ではなくて、ウナギになって。もうそれからは、二人とも喜んで、このウナギをかついで来て、みんなでお祝いをしたという話なのだ。だから、兄弟より情が深いものはないんだ。他人というのは、こういう時は助けてはくれない。いざという時には兄弟しか助けてくれない、ということを、二人の者が感じたという話なんだよ。 |
| 全体の記録時間数 | 4:12 |
| 物語の時間数 | 4:12 |
| 言語識別 | 方言 |
| 音源の質 | △ |
| テープ番号 | - |
| 予備項目1 | - |