私が何年生の時かね。五年生の、五年生のときに聞いたんだがね。これの始まりは、普天間権現の始まりは、先生がもう、楽しませようとして、話してくださったのかもしれないよ。普天間権現の話は。普天間権現の話は、首里にね、首里に娘が二人、二人いたそうだ。そして、その姉さんは、他人には全然(顔を)見せなかった。家の人が、他人に見せなかった。また、妹は、もう、年頃になって結婚して、夫を持って出て行ったが、姉は、そうして家にいて全然他人に見せなかった。誰にも、全然言ってもない。姉さんがいるんだよとも言ってないし、娘がいるんだよとも言ってなかった。そうしているうちに、妹夫婦がね、「さあ、今日の月夜はあんなに美しいから、きれいだから、二人で遊びに行こう。」と言って月夜に遊びに行こうと、夫が誘って、その妹を連れて行ったわけさ、妻を。連れて行って、その夫が、「今日の月夜はすごく美しい。」と言うと、妻は、「この、この月よりも私の姉さんは美しいよ、もっと美しいんだよ。」と言ったんだ。夫が、「あれ、お前は、ほかに姉妹がいるのか。」と言うと、妻は、「いるよ。」と言い、そして、「誰も知らないが、私たち家族だけが知っているんだ。」と言う。そして、「姉さんは他人に見られたことはないよ。」と言ったので、「何をしているのか。」と聞くと、「編み物をしてみたり、家で、糸をつむいでみたりして、いつもその仕事をしている。」と答えた。夫が、「それじゃ、一目見せてはくれないか、しかし、どうすれば見ることができるか。」と言うと、妹は、「私に考えがある。」と言って家に連れて行き、「庭に池があるからね、私の家の庭に池があるから、私がそこからぼんと、跳んで入ったら、姉さんはすぐ、何事かと言って、高窓を開けて、こうして見るはずだから、そのときに見なさいね。」と言った。そのようにして、男が上に立っていて、妹が、そこにぼんと落ちたので、姉さんはまた、家からこうして見ていた。それで男が、「なんとまあ、こんなにも美しい。世の中にこんなにも美しい人がいるかね。」と言ったので、もう、そのときに姉は声を聞いて気がつき、男を見て、「人に見られた。」と言って、それからこの姉さんはすぐに、この糸を手に持ったまま、首里からずっと逃げっぱなしさ。ずっと逃げ続けているので、もう、どこに行ったやらわからなくなってしまった。そしてお父さんは、もう、「これの行く方を追わなければならない。」と言い、姉がその、糸を引いていっているのは、それをたどって行けば、どこへ行っているという証拠だから、たどっていくと、もう、その普天間の洞窟へ、その糸は入って行き、そこからわからなくなっていた。そして、もうそれからその糸は、その、洞窟の中へ入って行ってどこへ行ったのか、わからない。もうそのときに、お父さんががっかりして、そこに、うつむいてぼんやりして座っていると、「お父さん、私はあなたの子ではありません。神の子ですから、お帰りください。」という声がした。それで、お父さんは、がっかりして、もう仕方がないので、そこから戻って行ってね、「そうだったのだろうか。」と。そして思い出しては、また、そこを拝みに来たりしたよ、お父さんは。そのようにしているうちに、このお父さんは、旅をしなければならない命令を下されてね。そのお父さんは、きっと偉い人だったのでしょう、刀もさしていらっしゃったというから。もう、旅に出なければならないことになって、「私を守ってください。」と拝んだ。また、「ここで私は神になっているのであなたの子ではなかったと思って、あきらめて下さい。」と、娘に言われていたからね、もう、いつも、このお父さんは、忍びで、ここに拝みに来たりしていた。そして、旅に出るときになって、「もう、私は旅に出て行くので、三年間は勤めに行くので、守ってくれ。」と言ってそのお父さんは、そこでお祈りなされて出て行ったが、船に乗ってからね、船に乗ってから、思い出した。その刀を普天間の洞窟に置いたまま、お祈りをして、すぐ、出かけられたので、もう、その刀の事をまったく忘れてしまったんだ。そして船に乗ってから、思い出してね、「もう、私は確かにあちらに忘れて来たが。」と思いながら、そして、三年間のその勤めを終えて帰って来ると、その刀はそのまま置かれていてね。そこにあったが、もう、さびもくってなかった。そして、人が見つけて、人が見つけて、その人が、「こんなところに刀がある。」と、取ろうとするとね、ハブになって、人にはつかむことができないそうだ。そのようにして、そのときから、あちらの普天間の洞窟は、旅人が拝む所であるんだよと、先生が話をなさったんだが、これは、由来話であるのかねえ。楽しませるために話してくれた大変上等な話だよ。
| レコード番号 | 47O376092 |
|---|---|
| CD番号 | 47O37C245 |
| 決定題名 | 普天満権現由来(シマグチ) |
| 話者がつけた題名 | 普天満権現由来 |
| 話者名 | 山内マカテ |
| 話者名かな | やまうちまかて |
| 生年月日 | 18960705 |
| 性別 | 女 |
| 出身地 | 沖縄県恩納村南恩納 |
| 記録日 | 197602225 |
| 記録者の所属組織 | 沖縄口承文芸学術調査団 |
| 元テープ番号 | 恩納村T31A10 |
| 元テープ管理者 | 沖縄伝承話資料センター |
| 分類 | 伝説 |
| 発句(ほっく) | - |
| 伝承事情 | 小学校4年に名護の外間先生から聞いた。 |
| 文字化資料 | 『恩納村の民話・伝説編』P40 |
| キーワード | 普天間権現,首里に娘が二人,編み物,普天間の洞窟,刀 |
| 梗概(こうがい) | 私が何年生の時かね。五年生の、五年生のときに聞いたんだがね。これの始まりは、普天間権現の始まりは、先生がもう、楽しませようとして、話してくださったのかもしれないよ。普天間権現の話は。普天間権現の話は、首里にね、首里に娘が二人、二人いたそうだ。そして、その姉さんは、他人には全然(顔を)見せなかった。家の人が、他人に見せなかった。また、妹は、もう、年頃になって結婚して、夫を持って出て行ったが、姉は、そうして家にいて全然他人に見せなかった。誰にも、全然言ってもない。姉さんがいるんだよとも言ってないし、娘がいるんだよとも言ってなかった。そうしているうちに、妹夫婦がね、「さあ、今日の月夜はあんなに美しいから、きれいだから、二人で遊びに行こう。」と言って月夜に遊びに行こうと、夫が誘って、その妹を連れて行ったわけさ、妻を。連れて行って、その夫が、「今日の月夜はすごく美しい。」と言うと、妻は、「この、この月よりも私の姉さんは美しいよ、もっと美しいんだよ。」と言ったんだ。夫が、「あれ、お前は、ほかに姉妹がいるのか。」と言うと、妻は、「いるよ。」と言い、そして、「誰も知らないが、私たち家族だけが知っているんだ。」と言う。そして、「姉さんは他人に見られたことはないよ。」と言ったので、「何をしているのか。」と聞くと、「編み物をしてみたり、家で、糸をつむいでみたりして、いつもその仕事をしている。」と答えた。夫が、「それじゃ、一目見せてはくれないか、しかし、どうすれば見ることができるか。」と言うと、妹は、「私に考えがある。」と言って家に連れて行き、「庭に池があるからね、私の家の庭に池があるから、私がそこからぼんと、跳んで入ったら、姉さんはすぐ、何事かと言って、高窓を開けて、こうして見るはずだから、そのときに見なさいね。」と言った。そのようにして、男が上に立っていて、妹が、そこにぼんと落ちたので、姉さんはまた、家からこうして見ていた。それで男が、「なんとまあ、こんなにも美しい。世の中にこんなにも美しい人がいるかね。」と言ったので、もう、そのときに姉は声を聞いて気がつき、男を見て、「人に見られた。」と言って、それからこの姉さんはすぐに、この糸を手に持ったまま、首里からずっと逃げっぱなしさ。ずっと逃げ続けているので、もう、どこに行ったやらわからなくなってしまった。そしてお父さんは、もう、「これの行く方を追わなければならない。」と言い、姉がその、糸を引いていっているのは、それをたどって行けば、どこへ行っているという証拠だから、たどっていくと、もう、その普天間の洞窟へ、その糸は入って行き、そこからわからなくなっていた。そして、もうそれからその糸は、その、洞窟の中へ入って行ってどこへ行ったのか、わからない。もうそのときに、お父さんががっかりして、そこに、うつむいてぼんやりして座っていると、「お父さん、私はあなたの子ではありません。神の子ですから、お帰りください。」という声がした。それで、お父さんは、がっかりして、もう仕方がないので、そこから戻って行ってね、「そうだったのだろうか。」と。そして思い出しては、また、そこを拝みに来たりしたよ、お父さんは。そのようにしているうちに、このお父さんは、旅をしなければならない命令を下されてね。そのお父さんは、きっと偉い人だったのでしょう、刀もさしていらっしゃったというから。もう、旅に出なければならないことになって、「私を守ってください。」と拝んだ。また、「ここで私は神になっているのであなたの子ではなかったと思って、あきらめて下さい。」と、娘に言われていたからね、もう、いつも、このお父さんは、忍びで、ここに拝みに来たりしていた。そして、旅に出るときになって、「もう、私は旅に出て行くので、三年間は勤めに行くので、守ってくれ。」と言ってそのお父さんは、そこでお祈りなされて出て行ったが、船に乗ってからね、船に乗ってから、思い出した。その刀を普天間の洞窟に置いたまま、お祈りをして、すぐ、出かけられたので、もう、その刀の事をまったく忘れてしまったんだ。そして船に乗ってから、思い出してね、「もう、私は確かにあちらに忘れて来たが。」と思いながら、そして、三年間のその勤めを終えて帰って来ると、その刀はそのまま置かれていてね。そこにあったが、もう、さびもくってなかった。そして、人が見つけて、人が見つけて、その人が、「こんなところに刀がある。」と、取ろうとするとね、ハブになって、人にはつかむことができないそうだ。そのようにして、そのときから、あちらの普天間の洞窟は、旅人が拝む所であるんだよと、先生が話をなさったんだが、これは、由来話であるのかねえ。楽しませるために話してくれた大変上等な話だよ。 |
| 全体の記録時間数 | 6:17 |
| 物語の時間数 | 6:17 |
| 言語識別 | 方言 |
| 音源の質 | 〇 |
| テープ番号 | - |
| 予備項目1 | - |