喜屋武ミーぐゎー(シマグチ)

概要

太平洋戦争が終わってからあの人は亡くなったんだよ、喜屋武の旦那は。石川で亡くなっているからね。あの人は六○斤ぐらいだったんだよ。だけど、それでも武士なんだよ、あのだんなは。あの人は、体は大変小さかったが、あの比謝橋の欄干ね、あの上に立っていてね、以前そこには山原船が入って来たそうだが、あの喜屋武(ちゃん)ミーグヮの足にロープを結んでね、引き落とそうとしたが、逆に船が引っぱられてしまい、あの人を落としきれなかったって。すこいね、こんなに体が小さな人でも武士というのは。また、比謝橋の上からな、下に落ちたとき、すぐさま跳び上って、海には落ちることなく三角跳びをして橋の上にお立ちになったという。水釜のな、渡久地グヮーハークーという相撲取りがいたがな、その人は喜屋武の三倍くらい、体が大きかったんだよ。それでその人は嘉手納を通って自分の家にお帰りになるでしょう。あの人も武士だから、喜屋武ミーグヮーはどれくらいの武士かなと、試すために後ろの方から近づいていって、喜屋武ミーグヮーの後頭部急所を突こうとしてこぶしを振り上げると、逆に喜屋武ミーグヮーは手でつかまえて前の方に投げとばしたそうだよ。喜屋武ミーグヮーは大変大きな クバ笠をかぶってな、荷馬車で砂糖樽を運ぶ仕事をなさっていたんだ。そこには巡査で名高い者がいたそうだ。その巡査はむやみやたらに馬車曳きたちを捕えていたので、喜屋武ミーグヮーは、このままではいけないと思っていた。以前、荷馬車は鼻綱をつかんで曳いていたんだからな、綱をつかんで、人がつかんでいたんだからな。喜屋武ミーグヮーはその巡査のいる前で、疲れたので荷馬車に乗って休んでいた。すると巡査が、「どうしたんだ、お前は何でそれに乗っているのか。」と言ったので、喜屋武ミーグヮーは、「家を出てからもう、お腹が痛くてたまりません。それでこうして、荷馬車に乗っているので、一応見逃してください。」といって言い訳したそうだ。「なんだ。それならどうしてお前は、痛いのに荷馬車を持って来たんだ。」と。「あれ、家を出てから痛くなったんですから、仕方ないじゃないですか。それにこれは、人の砂糖樽をのせてあり、ぜひとも トゥンドウまでは、持って行かなければなりません。」と二人は言い合いをしたそうだよ。そこで喜屋武ミーグヮーは、「お前は、人が頭を下げて見逃してくれと頼んでも、お前は警官だからといって、これくらいのことも見逃せないと言うのか。」と言って、自分の荷馬車の所からむこうがわまで、巡査の手を捕えて投げてな、溝の中につっこんで踏みつけにしたんだ。「お前はこれからも荷馬車曳きをいじめるか、どうか。」と言ってな、「もう、命だけは助けて下さい。」と言ってな、巡査でさえ詫びたそうだ。それから巡査は意地悪をしなくなったって。

再生時間:3:14

民話詳細DATA

レコード番号 47O375437
CD番号 47O37C219
決定題名 喜屋武ミーぐゎー(シマグチ)
話者がつけた題名 喜屋武ミーぐゎー
話者名 久田友助
話者名かな くだゆうすけ
生年月日 18980220
性別
出身地 沖縄県恩納村塩屋
記録日 19760224
記録者の所属組織 沖縄口承文芸学術調査団
元テープ番号 恩納村T14A17
元テープ管理者 沖縄伝承話資料センター
分類 伝説
発句(ほっく)
伝承事情 子供の頃、おじいさん達が集まって話をしている側で聞いた。
文字化資料 『恩納村の民話 伝説編』P217
キーワード 喜屋武の旦那,武士,比謝橋の欄干,山原船,久地グヮーハークーという相撲取り,喜屋武ミーグヮー
梗概(こうがい) 太平洋戦争が終わってからあの人は亡くなったんだよ、喜屋武の旦那は。石川で亡くなっているからね。あの人は六○斤ぐらいだったんだよ。だけど、それでも武士なんだよ、あのだんなは。あの人は、体は大変小さかったが、あの比謝橋の欄干ね、あの上に立っていてね、以前そこには山原船が入って来たそうだが、あの喜屋武(ちゃん)ミーグヮの足にロープを結んでね、引き落とそうとしたが、逆に船が引っぱられてしまい、あの人を落としきれなかったって。すこいね、こんなに体が小さな人でも武士というのは。また、比謝橋の上からな、下に落ちたとき、すぐさま跳び上って、海には落ちることなく三角跳びをして橋の上にお立ちになったという。水釜のな、渡久地グヮーハークーという相撲取りがいたがな、その人は喜屋武の三倍くらい、体が大きかったんだよ。それでその人は嘉手納を通って自分の家にお帰りになるでしょう。あの人も武士だから、喜屋武ミーグヮーはどれくらいの武士かなと、試すために後ろの方から近づいていって、喜屋武ミーグヮーの後頭部急所を突こうとしてこぶしを振り上げると、逆に喜屋武ミーグヮーは手でつかまえて前の方に投げとばしたそうだよ。喜屋武ミーグヮーは大変大きな クバ笠をかぶってな、荷馬車で砂糖樽を運ぶ仕事をなさっていたんだ。そこには巡査で名高い者がいたそうだ。その巡査はむやみやたらに馬車曳きたちを捕えていたので、喜屋武ミーグヮーは、このままではいけないと思っていた。以前、荷馬車は鼻綱をつかんで曳いていたんだからな、綱をつかんで、人がつかんでいたんだからな。喜屋武ミーグヮーはその巡査のいる前で、疲れたので荷馬車に乗って休んでいた。すると巡査が、「どうしたんだ、お前は何でそれに乗っているのか。」と言ったので、喜屋武ミーグヮーは、「家を出てからもう、お腹が痛くてたまりません。それでこうして、荷馬車に乗っているので、一応見逃してください。」といって言い訳したそうだ。「なんだ。それならどうしてお前は、痛いのに荷馬車を持って来たんだ。」と。「あれ、家を出てから痛くなったんですから、仕方ないじゃないですか。それにこれは、人の砂糖樽をのせてあり、ぜひとも トゥンドウまでは、持って行かなければなりません。」と二人は言い合いをしたそうだよ。そこで喜屋武ミーグヮーは、「お前は、人が頭を下げて見逃してくれと頼んでも、お前は警官だからといって、これくらいのことも見逃せないと言うのか。」と言って、自分の荷馬車の所からむこうがわまで、巡査の手を捕えて投げてな、溝の中につっこんで踏みつけにしたんだ。「お前はこれからも荷馬車曳きをいじめるか、どうか。」と言ってな、「もう、命だけは助けて下さい。」と言ってな、巡査でさえ詫びたそうだ。それから巡査は意地悪をしなくなったって。
全体の記録時間数 3:14
物語の時間数 3:14
言語識別 方言
音源の質
テープ番号
予備項目1

トップに戻る

TOP