あれもちょうど、城間(ぐしくま)仲(なーか)と同じで、東恩納(ひがしおんな)から首里(しゅり)に出てね、酒屋の下男になっていたらしい。この男には、親が、両親がいらっしゃったが、もう食べる物もないほどだったんだ。この男は、酒を造る時の麹(こうじ)、酒は米を蒸して作るよね、その蒸した米の下のぐしゃぐしゃになった米には、麹は入れないから、その米を握り飯にして、仕事が終わると、それを持って親にあげるために、首里から家に毎日通ってね、そういう人だったらしい。ある日、白髪の、道中で白髪の年寄りがね、昔は、柳行季(やなぎごうり)というのがあったよね、柳行季を二つかついで、杖をついている年寄りと、道連れになったらしい。それで、男が、「あなたはどこに行くのですか。」と聞くと、「私は東恩納に行くんだよ。」とこの年寄りはおっしゃった。「ああそれじゃあ、私がかついであげましょう。」と言うと、「お前は急いでいるようだから、いいよ。早く行きなさい。」と言うので、「私は若いし、あなたは年寄りでいらっしゃるから。それに、若いころの苦労は買ってでもやれということがありますから、私がかついであげましょう。」とかついでやったらしい。この若者が。そうして、東恩納の家まで近づいてきたら、このおじいさんはいなくなったらしいんだ。こうだったらしい。若者が、家はどこかとたずねると、この年寄りに、「あなたはどちらにですか。」と聞くと、「東恩納当まで。」と屋号までおっしゃったらしい。若者が、かついであげて、家の近くまで来ると、この老人はいなくなったらしいんだね。ところで、家近くに来る前に、「ああ、めずらしい。かついでいるのは何ですか。」と、この青年が聞いたらね、自分の妻とかなんとかが、「島尻でなくなって、その棺箱をかついで来ているんだよ。」と教えたらしいんたよ。「ああ、そうだったんですか。」とかついであげて、家の近くまで来るといなくなったわけだ。それでも、若者は棺箱を、持ったままなので、家号も聞いているし、探して家まで行って、かついで持って行こうとしたらしいが。ところで、この若者は、家に帰る時間が、一、二時間ばかり遅れていたらしい。それで、両親は燈籠をつけて待ちかねていたんだ。「どうしてお前は今日、遅いんだ。」と聞くと、「年寄りを道づれにしたので、今日はこんなに遅くなりました。それから、これは年寄りの荷をかついで来ているんですが、この人はどこへいらっしゃったのかいないのです。」と答えたんだ。すると、両親が、「それじゃあ、何が入っているのか箱を開けてみよう。」と言ったので、開けてみるともう二つの柳行李いっぱいに黄金が入っていた。ここの家は、それから金持になったって。この家では、七月の七夕には、黄金を寝床まで広げて、風にあてるという話があるよ。だから、親孝行をして、損になるという人はいないって。誠は宝だといって、私たちの親から、こんな話を聞いているんだ。
| レコード番号 | 47O375429 |
|---|---|
| CD番号 | 47O37C219 |
| 決定題名 | 宝箱由来(シマグチ) |
| 話者がつけた題名 | 東恩納当 |
| 話者名 | 久田友助 |
| 話者名かな | くだゆうすけ |
| 生年月日 | 18980220 |
| 性別 | 男 |
| 出身地 | 沖縄県恩納村塩屋 |
| 記録日 | 19760224 |
| 記録者の所属組織 | 沖縄口承文芸学術調査団 |
| 元テープ番号 | 恩納村T14A09 |
| 元テープ管理者 | 沖縄伝承話資料センター |
| 分類 | 本格昔話 |
| 発句(ほっく) | - |
| 伝承事情 | 子供の頃、おじいさん達が集まって話をしている側で聞いた。 |
| 文字化資料 | 『恩納村の民話 昔話編』P161 |
| キーワード | 東恩納,首里,酒屋の下男,米を握り飯,白髪の年寄り,柳行季,東恩納当,棺箱,黄金,誠は宝 |
| 梗概(こうがい) | あれもちょうど、城間(ぐしくま)仲(なーか)と同じで、東恩納(ひがしおんな)から首里(しゅり)に出てね、酒屋の下男になっていたらしい。この男には、親が、両親がいらっしゃったが、もう食べる物もないほどだったんだ。この男は、酒を造る時の麹(こうじ)、酒は米を蒸して作るよね、その蒸した米の下のぐしゃぐしゃになった米には、麹は入れないから、その米を握り飯にして、仕事が終わると、それを持って親にあげるために、首里から家に毎日通ってね、そういう人だったらしい。ある日、白髪の、道中で白髪の年寄りがね、昔は、柳行季(やなぎごうり)というのがあったよね、柳行季を二つかついで、杖をついている年寄りと、道連れになったらしい。それで、男が、「あなたはどこに行くのですか。」と聞くと、「私は東恩納に行くんだよ。」とこの年寄りはおっしゃった。「ああそれじゃあ、私がかついであげましょう。」と言うと、「お前は急いでいるようだから、いいよ。早く行きなさい。」と言うので、「私は若いし、あなたは年寄りでいらっしゃるから。それに、若いころの苦労は買ってでもやれということがありますから、私がかついであげましょう。」とかついでやったらしい。この若者が。そうして、東恩納の家まで近づいてきたら、このおじいさんはいなくなったらしいんだ。こうだったらしい。若者が、家はどこかとたずねると、この年寄りに、「あなたはどちらにですか。」と聞くと、「東恩納当まで。」と屋号までおっしゃったらしい。若者が、かついであげて、家の近くまで来ると、この老人はいなくなったらしいんだね。ところで、家近くに来る前に、「ああ、めずらしい。かついでいるのは何ですか。」と、この青年が聞いたらね、自分の妻とかなんとかが、「島尻でなくなって、その棺箱をかついで来ているんだよ。」と教えたらしいんたよ。「ああ、そうだったんですか。」とかついであげて、家の近くまで来るといなくなったわけだ。それでも、若者は棺箱を、持ったままなので、家号も聞いているし、探して家まで行って、かついで持って行こうとしたらしいが。ところで、この若者は、家に帰る時間が、一、二時間ばかり遅れていたらしい。それで、両親は燈籠をつけて待ちかねていたんだ。「どうしてお前は今日、遅いんだ。」と聞くと、「年寄りを道づれにしたので、今日はこんなに遅くなりました。それから、これは年寄りの荷をかついで来ているんですが、この人はどこへいらっしゃったのかいないのです。」と答えたんだ。すると、両親が、「それじゃあ、何が入っているのか箱を開けてみよう。」と言ったので、開けてみるともう二つの柳行李いっぱいに黄金が入っていた。ここの家は、それから金持になったって。この家では、七月の七夕には、黄金を寝床まで広げて、風にあてるという話があるよ。だから、親孝行をして、損になるという人はいないって。誠は宝だといって、私たちの親から、こんな話を聞いているんだ。 |
| 全体の記録時間数 | 3:47 |
| 物語の時間数 | 3:47 |
| 言語識別 | 方言 |
| 音源の質 | 〇 |
| テープ番号 | - |
| 予備項目1 | - |