大晦日の日にね、泊の人で子どもが六、七人ある人が、その人はあまりにも貧しくて、もう城間ナーカの天井裏にでも入れば米の二、三合にでもありつけて、この子らにも年越をさせてあげられるものと思い、昼の間に城間ナーカの天井裏に登って隠れていたそうだ。そうして夕飯時になって、女中が年越しの夕飯を、ここの主人のお爺さんのものを準備して持って行ったら、主人は、「もう一人の分も準備して来なさい。」と言ったそうだ。この主人には、天井裏に隠れている男のことが、わかっていたそうだ。それで、「もう一人分準備してきなさい。」と言れたから、女中は、「どうして主人は、自分一人だけなのに、二人分準備してきなさいと言うのか、不思議な事だなあ。」と思ったが、主人の言い付けなので準備してもって行ったそうだよ。持って行ったら、主人は、「さあ、今日に限って、私の家の天井裏に忍び込んでいるからには、普通の人ではないはずだから、必ずここに降りて来て、一緒に年を越せ。お前が言うのは、何でも聞いてやるから降りて来い。」と声をかけたそうだ。それでもうこの男は、仕方なく降りて来たそうだよ。主人は、「さて、お前は今日こうして、わざわざ家へ来たのは、どういうわけなんだね。」と聞いたそうだ。そしたら男は、泊の者で、子供も六、七人いますが、貧乏で、夫婦二人で、子供らを育てていますが、もう今夜、年を越す夕飯もなく、こうしてここに忍び込んできました。」と言ったんだ。「そうか、そういうわけだったのか。さあ、一緒に心ゆくまでここで年越しをしなさい。米でも肉でもお前が持てるだけは持たすから。」と言ってごちそうし、そうして米や肉をその人に持たしたそうだよ。でも、主人は、この人の言うことが本当かどうかと思って、下男たちに荷物を持たせて一緒に行かせたんだ。どんな家なのか、この人の言うとおりであるか確かめるつもりで行かせてみると、男の話よりもひどい暮しだったそうだ。それからこの泊の人は成功してね。七月や正月には、年始はまず城間ナーカから先にしたそうだよ。こんな話だったよ。
| レコード番号 | 47O375427 |
|---|---|
| CD番号 | 47O37C219 |
| 決定題名 | 城間ナーカ 大晦日の盗人(シマグチ) |
| 話者がつけた題名 | 城間ナーカの話 |
| 話者名 | 久田友助 |
| 話者名かな | くだゆうすけ |
| 生年月日 | 18980220 |
| 性別 | 男 |
| 出身地 | 沖縄県恩納村塩屋 |
| 記録日 | 19760224 |
| 記録者の所属組織 | 沖縄口承文芸学術調査団 |
| 元テープ番号 | 恩納村T14A07 |
| 元テープ管理者 | 沖縄伝承話資料センター |
| 分類 | 本格昔話 |
| 発句(ほっく) | - |
| 伝承事情 | 子供の頃、おじいさん達が集まって話をしている側で聞いた。 |
| 文字化資料 | 『恩納村の民話 伝説編』P205 |
| キーワード | 大晦日,泊の人,子どもが六、七人,貧しい,城間ナーカ,天井裏,夕飯時,年越しの夕飯 |
| 梗概(こうがい) | 大晦日の日にね、泊の人で子どもが六、七人ある人が、その人はあまりにも貧しくて、もう城間ナーカの天井裏にでも入れば米の二、三合にでもありつけて、この子らにも年越をさせてあげられるものと思い、昼の間に城間ナーカの天井裏に登って隠れていたそうだ。そうして夕飯時になって、女中が年越しの夕飯を、ここの主人のお爺さんのものを準備して持って行ったら、主人は、「もう一人の分も準備して来なさい。」と言ったそうだ。この主人には、天井裏に隠れている男のことが、わかっていたそうだ。それで、「もう一人分準備してきなさい。」と言れたから、女中は、「どうして主人は、自分一人だけなのに、二人分準備してきなさいと言うのか、不思議な事だなあ。」と思ったが、主人の言い付けなので準備してもって行ったそうだよ。持って行ったら、主人は、「さあ、今日に限って、私の家の天井裏に忍び込んでいるからには、普通の人ではないはずだから、必ずここに降りて来て、一緒に年を越せ。お前が言うのは、何でも聞いてやるから降りて来い。」と声をかけたそうだ。それでもうこの男は、仕方なく降りて来たそうだよ。主人は、「さて、お前は今日こうして、わざわざ家へ来たのは、どういうわけなんだね。」と聞いたそうだ。そしたら男は、泊の者で、子供も六、七人いますが、貧乏で、夫婦二人で、子供らを育てていますが、もう今夜、年を越す夕飯もなく、こうしてここに忍び込んできました。」と言ったんだ。「そうか、そういうわけだったのか。さあ、一緒に心ゆくまでここで年越しをしなさい。米でも肉でもお前が持てるだけは持たすから。」と言ってごちそうし、そうして米や肉をその人に持たしたそうだよ。でも、主人は、この人の言うことが本当かどうかと思って、下男たちに荷物を持たせて一緒に行かせたんだ。どんな家なのか、この人の言うとおりであるか確かめるつもりで行かせてみると、男の話よりもひどい暮しだったそうだ。それからこの泊の人は成功してね。七月や正月には、年始はまず城間ナーカから先にしたそうだよ。こんな話だったよ。 |
| 全体の記録時間数 | 2:21 |
| 物語の時間数 | 2:21 |
| 言語識別 | 方言 |
| 音源の質 | 〇 |
| テープ番号 | - |
| 予備項目1 | - |