運玉義留がヒゲを剃って、「私たちはどの位まで上がることができますか。」と言うと、「お前らが上がると言っても、 地頭代まで。」と答えた。百姓にとっては、地頭代が最高の位であったそうだ。それで、「これくらいの地頭代をするくらいなら、後の世には名前も残らないのだから。」といって、今度は盗っ人になったんだ、あれは。そこでこの 運玉義留の盗みは、金を盗るのが目的ではなく、あれは金持ちの物を盗んできて、貧乏を助ける者であったそうだよ。ある夜、年寄りのお婆さんたちが、冬の寒い日に、昔はもう、かぶる物もないのだから、「今夜は、ムサチヌウーをかぶって眠ろうね、婆さん。」と、夫婦が暗闇で話していた。二人が眠ってから、運玉義留がさぐってみると、藁筵をかぶっていたそうだよ。ニクブクと言うのは、藁で厚い筵を作ってですねぇ、それがニクブクと言うもの。それをかぶっておったそうだよ。そしたら、このかぶり物を見ると、藁筵をかぶっているのだからね、「ああ、ムサチヌウーというのはこれなんだな。」と。それで運玉義留は金持ちの家に行き、布団を盗んできてね、この藁筵は取り捨てて、布団をかぶせてあったそうだ。このお婆さんたちが翌日見ると、藁筵はかぶってなくて布団をかぶっていたそうだ。それから、この運玉義留は、もう後は大変暴れるようになるが、この時の盗みの話は多いはずだよ、まず。油喰坊主(あんだくぇーぼうじゃあ)が、これの家来になる時に、「ではお前は、それなら、あれ、あちらから歩いて来い。」と、木の葉をいっぱい置いた所から、歩いて来いと言う。(だけど)足の音がするわけだから、これは合格しないのさ、まず。この油喰坊主は悪知恵の働く人で、竹馬ね、わかるだろう、木でこうして歩くものよ。これを作って歩いたそうだよ。ほら、足で踏むと音がするけど、これは、たったこれっぽっちで踏むのだからこれで合格し、あの油喰坊主は弟子となったそうだよ。それで、今度は金持ちの家に盗みに行き、家の屋根をこわして入ってね、油喰坊主は下で盗んで、この上にいる運玉義留に渡して、盗んだ。それで、金持ちの家を出てきて、この盗みの品を、内わけすることになる。運玉義留は悪知恵が強くて、「これだけだった。」と、少しだけ分けた。油喰坊主が、「もっとあった。」と言っても、「これだけだ。」と言っていたが、今度は油喰坊主が合点しない。「では、それならこれを試そう。」と、盗んだ家の前でね、油甕を担いで行ってね、この盗んだ家の前で転んで割ってしまった。そこで運玉義留に、「私を殴れ、それじゃあ。」と言うので、ぱんぱんと殴って、弱く殴っても、もう思いきり騒いだわけだよ。すると、ここの家主が出て来て、「何だい、お前はこんなふうに子供を殴るのか。」と言うので、運玉義留は「余計な事をして、割ってしまったのです。こいつは許すことはできない。」と言いながら、ぱんぱんと殴っていた。すると家主は、「ああお前は、これくらいのことに、こんなに子どもを殴るのか。私たちは昨夜どんなにか多くを盗まれたことか。」と、盗まれただけを全部聞かせたので、「どうだ、兄さん。」と言った。油喰坊主は悪知恵が強かったそうだよ。その後、もう最後には、この運玉義留はね、王府からもう、「これを捕えよ。」という命令になったのでね、皆がとび出した時には、いなくてね、どこを捜してもいない。蓮池といってあるでしょう、首里は、御城のこちらに、蓮池と言ってあるだろう。今は何池と言っているのか、何池だったかなあ。ここの下のね、蓮の葉は大きいそうだよ、これの中にもたれて、これの下で、小さな管の竹を切って鼻に挿しているので、呼吸はできるわけだ。それでもう役人たちはどんなに捜してもいないので、とうとう槍を持っている人が、「こんなふうに、ここにいたら突くものを。」と、蓮の葉を突くとね、頭に当たって、血が湧き出てしまった。それで、ここでは今度は、鼻にほら呼吸は鼻の方に小さな竹筒を挿しているので、息はできるのだからね。それで、この時に運玉義留は捕まえられたという話だよ。この間には、運玉義留の話は、今日でさえも盗みの話が大変たくさんある。
| レコード番号 | 47O375327 |
|---|---|
| CD番号 | 47O37C215 |
| 決定題名 | 運玉義留(シマグチ) |
| 話者がつけた題名 | 運玉義留の話 |
| 話者名 | 宜志富紹長 |
| 話者名かな | ぎしとみしょうちょう |
| 生年月日 | 18961208 |
| 性別 | 男 |
| 出身地 | 沖縄県恩納村安富祖 |
| 記録日 | 19760225 |
| 記録者の所属組織 | 沖縄口承文芸学術調査団 |
| 元テープ番号 | 恩納村T11B11 |
| 元テープ管理者 | 沖縄伝承話資料センター |
| 分類 | 伝説 |
| 発句(ほっく) | - |
| 伝承事情 | 主にお年寄りや父から聞いた。 |
| 文字化資料 | 『恩納村の民話 伝説編』P171 |
| キーワード | 運玉義留,ヒゲ,地頭代,百姓,盗み,貧乏を助ける,油喰坊主は悪知恵の働く人,首里,蓮池 |
| 梗概(こうがい) | 運玉義留がヒゲを剃って、「私たちはどの位まで上がることができますか。」と言うと、「お前らが上がると言っても、 地頭代まで。」と答えた。百姓にとっては、地頭代が最高の位であったそうだ。それで、「これくらいの地頭代をするくらいなら、後の世には名前も残らないのだから。」といって、今度は盗っ人になったんだ、あれは。そこでこの 運玉義留の盗みは、金を盗るのが目的ではなく、あれは金持ちの物を盗んできて、貧乏を助ける者であったそうだよ。ある夜、年寄りのお婆さんたちが、冬の寒い日に、昔はもう、かぶる物もないのだから、「今夜は、ムサチヌウーをかぶって眠ろうね、婆さん。」と、夫婦が暗闇で話していた。二人が眠ってから、運玉義留がさぐってみると、藁筵をかぶっていたそうだよ。ニクブクと言うのは、藁で厚い筵を作ってですねぇ、それがニクブクと言うもの。それをかぶっておったそうだよ。そしたら、このかぶり物を見ると、藁筵をかぶっているのだからね、「ああ、ムサチヌウーというのはこれなんだな。」と。それで運玉義留は金持ちの家に行き、布団を盗んできてね、この藁筵は取り捨てて、布団をかぶせてあったそうだ。このお婆さんたちが翌日見ると、藁筵はかぶってなくて布団をかぶっていたそうだ。それから、この運玉義留は、もう後は大変暴れるようになるが、この時の盗みの話は多いはずだよ、まず。油喰坊主(あんだくぇーぼうじゃあ)が、これの家来になる時に、「ではお前は、それなら、あれ、あちらから歩いて来い。」と、木の葉をいっぱい置いた所から、歩いて来いと言う。(だけど)足の音がするわけだから、これは合格しないのさ、まず。この油喰坊主は悪知恵の働く人で、竹馬ね、わかるだろう、木でこうして歩くものよ。これを作って歩いたそうだよ。ほら、足で踏むと音がするけど、これは、たったこれっぽっちで踏むのだからこれで合格し、あの油喰坊主は弟子となったそうだよ。それで、今度は金持ちの家に盗みに行き、家の屋根をこわして入ってね、油喰坊主は下で盗んで、この上にいる運玉義留に渡して、盗んだ。それで、金持ちの家を出てきて、この盗みの品を、内わけすることになる。運玉義留は悪知恵が強くて、「これだけだった。」と、少しだけ分けた。油喰坊主が、「もっとあった。」と言っても、「これだけだ。」と言っていたが、今度は油喰坊主が合点しない。「では、それならこれを試そう。」と、盗んだ家の前でね、油甕を担いで行ってね、この盗んだ家の前で転んで割ってしまった。そこで運玉義留に、「私を殴れ、それじゃあ。」と言うので、ぱんぱんと殴って、弱く殴っても、もう思いきり騒いだわけだよ。すると、ここの家主が出て来て、「何だい、お前はこんなふうに子供を殴るのか。」と言うので、運玉義留は「余計な事をして、割ってしまったのです。こいつは許すことはできない。」と言いながら、ぱんぱんと殴っていた。すると家主は、「ああお前は、これくらいのことに、こんなに子どもを殴るのか。私たちは昨夜どんなにか多くを盗まれたことか。」と、盗まれただけを全部聞かせたので、「どうだ、兄さん。」と言った。油喰坊主は悪知恵が強かったそうだよ。その後、もう最後には、この運玉義留はね、王府からもう、「これを捕えよ。」という命令になったのでね、皆がとび出した時には、いなくてね、どこを捜してもいない。蓮池といってあるでしょう、首里は、御城のこちらに、蓮池と言ってあるだろう。今は何池と言っているのか、何池だったかなあ。ここの下のね、蓮の葉は大きいそうだよ、これの中にもたれて、これの下で、小さな管の竹を切って鼻に挿しているので、呼吸はできるわけだ。それでもう役人たちはどんなに捜してもいないので、とうとう槍を持っている人が、「こんなふうに、ここにいたら突くものを。」と、蓮の葉を突くとね、頭に当たって、血が湧き出てしまった。それで、ここでは今度は、鼻にほら呼吸は鼻の方に小さな竹筒を挿しているので、息はできるのだからね。それで、この時に運玉義留は捕まえられたという話だよ。この間には、運玉義留の話は、今日でさえも盗みの話が大変たくさんある。 |
| 全体の記録時間数 | 4:07 |
| 物語の時間数 | 4:07 |
| 言語識別 | 方言 |
| 音源の質 | ◎ |
| テープ番号 | - |
| 予備項目1 | - |