それでよ、この話は女も知らない男に妻をとらせてね。結婚させたら、その男は、妻はもらったものの、妻とね、もう夜することをわからなかったそうだ。夫がわからないので、この妻はね、「不思議だ。私の夫は私とすることもわからない。不思議なことだね。」と、夜通し考えて夫に聞いてみたが、どうにもならなかったそうだ。それでもその妻はとても知恵があったので、毎晩、眠りながら歌をよんだそうだよ。その歌はどんな歌かと言うと、「船は浮いても 乗り手はいない。」という歌だったそうだよ。女を船にたとえたんだね。それでよ、その男はよ、「不思議なことだ。どうして私の妻は、『船は浮いても乗り手はいない』とよむのだ。」と、非常に不思議に思ったそうだ。この男には、弟に次郎というのがいて、ある日、その次郎と山にまきを取りに行ったようだ。この次郎と兄さんが山にまき取りに行くとよ、兄さんが次郎に、「おい次郎よ、私の妻はね、毎晩眠りながら『船は浮いても乗り手はいない』という歌をよむが、その歌はどんな意味かなあ。」と、自分の弟に聞いたから、この弟はこう答えたそうだ。「自分の妻がそんな歌をよんだ時には『乗り手がおればこぎ手もおる』と返しなさい。」と。弟はそういうふうに教えたらしいんだ。それで次郎からそのことを習って、その晩、夫婦一緒に寝たら、妻が、「船は浮いても 乗り手がいない。」とまた歌を詠んだので、その夫は、「乗り手がおれば こぎ手もおる。」といって返したようだ。夫が歌を返すと、その女はとても知恵があるので、「誰の教えか 自分の知恵か。」と言ったようだ。そうするとこの夫はよ、「山に行って次郎が教えた。」と言ったんだってよ。そのことから、この妻は毎晩寝床で歌をよんだという話なわけ。
| レコード番号 | 47O375239 |
|---|---|
| CD番号 | 47O37C211 |
| 決定題名 | 夫婦の歌問答(シマグチ) |
| 話者がつけた題名 | 夫婦の歌関係 |
| 話者名 | 石川元助 |
| 話者名かな | いしかわげんすけ |
| 生年月日 | 19130707 |
| 性別 | 男 |
| 出身地 | 沖縄県恩納村谷茶 |
| 記録日 | 19760223 |
| 記録者の所属組織 | 沖縄口承文芸学術調査団 |
| 元テープ番号 | 恩納村T09B09 |
| 元テープ管理者 | 沖縄伝承話資料センター |
| 分類 | 笑話 |
| 発句(ほっく) | - |
| 伝承事情 | 父親が谷茶大工といわれるほどの優れた大工で、少年期から青年期にかけて父親からよく話を聞かされた。また友人間からの話も多い。 |
| 文字化資料 | 『恩納村の民話 昔話編』P270 |
| キーワード | 女を知らない男に妻,船は浮いても乗り手はいない,乗り手がおればこぎ手もおる |
| 梗概(こうがい) | それでよ、この話は女も知らない男に妻をとらせてね。結婚させたら、その男は、妻はもらったものの、妻とね、もう夜することをわからなかったそうだ。夫がわからないので、この妻はね、「不思議だ。私の夫は私とすることもわからない。不思議なことだね。」と、夜通し考えて夫に聞いてみたが、どうにもならなかったそうだ。それでもその妻はとても知恵があったので、毎晩、眠りながら歌をよんだそうだよ。その歌はどんな歌かと言うと、「船は浮いても 乗り手はいない。」という歌だったそうだよ。女を船にたとえたんだね。それでよ、その男はよ、「不思議なことだ。どうして私の妻は、『船は浮いても乗り手はいない』とよむのだ。」と、非常に不思議に思ったそうだ。この男には、弟に次郎というのがいて、ある日、その次郎と山にまきを取りに行ったようだ。この次郎と兄さんが山にまき取りに行くとよ、兄さんが次郎に、「おい次郎よ、私の妻はね、毎晩眠りながら『船は浮いても乗り手はいない』という歌をよむが、その歌はどんな意味かなあ。」と、自分の弟に聞いたから、この弟はこう答えたそうだ。「自分の妻がそんな歌をよんだ時には『乗り手がおればこぎ手もおる』と返しなさい。」と。弟はそういうふうに教えたらしいんだ。それで次郎からそのことを習って、その晩、夫婦一緒に寝たら、妻が、「船は浮いても 乗り手がいない。」とまた歌を詠んだので、その夫は、「乗り手がおれば こぎ手もおる。」といって返したようだ。夫が歌を返すと、その女はとても知恵があるので、「誰の教えか 自分の知恵か。」と言ったようだ。そうするとこの夫はよ、「山に行って次郎が教えた。」と言ったんだってよ。そのことから、この妻は毎晩寝床で歌をよんだという話なわけ。 |
| 全体の記録時間数 | 2:42 |
| 物語の時間数 | 2:42 |
| 言語識別 | 方言 |
| 音源の質 | ◎ |
| テープ番号 | - |
| 予備項目1 | - |