あのさ、昔ね、首里城に勤めていらっしゃる王様がね、妻をもらって、その子を身ごもりなさったのでね、そうして、もう首里城に勤めていらっしゃったそうだが、妻もいっしょにね、そうしたら、この母親は身ごもっている時に屁をしたらしいね。それで、「お前は屁をしたのでね、王さまのお側にはおいておけないから出て行け。」と言われて出されてしまったからね、この母親は身ごもったまま 斉場御嶽(せふゎうたき)に行き、そこで、その子を生み、住みついた。そこはチーグヮームイといって、戦前まであったが今はないよ。そこに住みつかれたのでね。この子が成長し、そして、母親も布織りが上手でいらっしゃったそうだ。「どうしてお母さん、ほかの人には父親がいらっしゃるのに。私は誰との子どもですか、父親がいらっしゃったから子は作れたんでしょ。誰なんですか、私を作ったのは。」と、子どもに問いつめられて、この母親はとうとう隠せなくなって、「お前の親はね、本当は首里城の王様なんだよ。だけど、お前を身ごもっている時に、私が屁をしたので、お前はもう妻にできないから出て行けと言われて、お前をみごもったまま、私は出されて、それで、親子ここで暮らしてきたんだよ。」と言ったので、この子は、「ああそうか、そういうことなら、私が行ってくる。」と言って、首里の王様の所に行った。そしてこの子はね、首里のお城の門番にね、「私をぜひ、お城の中に入れて下さい。」と言ったらね、「お前は、どうして子どものくせに、このようなお城の中に入れてくれというのは、なにごとだ。」と言ったので、「どうしてもぜひ入れてください。」「いやだめだ。」と言ったので、すぐにお城の前に行ってね、「買って下さい。屁をしない薬を買って下さい。」と大声を出したので、父親である王さまは、門番に、「おい、あの子どもをここへ連れてこい。なんと言っているのだ。今すぐに連れてこい。」と言ったので、連れて来た。王様が、「お前は、まだ小さな子のくせに。屁をしない薬というものがあるか。」と言ったら、この子は、「屁をしない薬がないのなら、どうして、私の母は屁をしたからといって、城を追い出したのか。」と言った。そうして、この男の子に問いつめられたらもう男の子が、自分の子になっているでしょう。王様が、それから、「どこに住んでいるのか。」と聞くと、子どもは、「どこどこに、母親と二人で暮らしています。」と答え、それでこの子はお城で立派にしたくをさせ、また、母親の着物も全部準備して、お供の人たちと一緒に母親を連れに行かせたらね、母親はちょうど死装束を織っていたそうだ。そしてお城から迎えが来たころ、死装束に着替えて、その布のまま、布を着たまま、布を持ったまま死に、その死体は久高島に流れついたそうだ。その時から久高島は神々しいと言われるようになったんだ。神々しい所なので、久高島では、クシャミもできないって。今でもクシャミをしたらクスクェー(糞くらえ)と言ってはいけないそうだ。神々しい所なので。それで、その子はね、残念がって、またお供の人たちと首里城にもどったそうだ。
| レコード番号 | 47O375119 |
|---|---|
| CD番号 | 47O37C205 |
| 決定題名 | 屁をしない薬(シマグチ) |
| 話者がつけた題名 | 屁をしない薬 |
| 話者名 | 山城カメ |
| 話者名かな | やましろかめ |
| 生年月日 | 18980205 |
| 性別 | 女 |
| 出身地 | 沖縄県恩納村前兼久 |
| 記録日 | 19760227 |
| 記録者の所属組織 | 沖縄口承文芸学術調査団 |
| 元テープ番号 | 恩納村T04B02 |
| 元テープ管理者 | 沖縄伝承話資料センター |
| 分類 | 本格昔話 |
| 発句(ほっく) | - |
| 伝承事情 | 母方のお婆さんが話し上手で、9歳の頃まで一緒に寝起きしていたので、その頃多く聞いた。 |
| 文字化資料 | 『恩納村の民話 昔話編』P208 |
| キーワード | 首里城勤め,王様,妻,子を身ごもった,屁,斉場御嶽,子ども,屁をしない薬,久高島,クスクェー |
| 梗概(こうがい) | あのさ、昔ね、首里城に勤めていらっしゃる王様がね、妻をもらって、その子を身ごもりなさったのでね、そうして、もう首里城に勤めていらっしゃったそうだが、妻もいっしょにね、そうしたら、この母親は身ごもっている時に屁をしたらしいね。それで、「お前は屁をしたのでね、王さまのお側にはおいておけないから出て行け。」と言われて出されてしまったからね、この母親は身ごもったまま 斉場御嶽(せふゎうたき)に行き、そこで、その子を生み、住みついた。そこはチーグヮームイといって、戦前まであったが今はないよ。そこに住みつかれたのでね。この子が成長し、そして、母親も布織りが上手でいらっしゃったそうだ。「どうしてお母さん、ほかの人には父親がいらっしゃるのに。私は誰との子どもですか、父親がいらっしゃったから子は作れたんでしょ。誰なんですか、私を作ったのは。」と、子どもに問いつめられて、この母親はとうとう隠せなくなって、「お前の親はね、本当は首里城の王様なんだよ。だけど、お前を身ごもっている時に、私が屁をしたので、お前はもう妻にできないから出て行けと言われて、お前をみごもったまま、私は出されて、それで、親子ここで暮らしてきたんだよ。」と言ったので、この子は、「ああそうか、そういうことなら、私が行ってくる。」と言って、首里の王様の所に行った。そしてこの子はね、首里のお城の門番にね、「私をぜひ、お城の中に入れて下さい。」と言ったらね、「お前は、どうして子どものくせに、このようなお城の中に入れてくれというのは、なにごとだ。」と言ったので、「どうしてもぜひ入れてください。」「いやだめだ。」と言ったので、すぐにお城の前に行ってね、「買って下さい。屁をしない薬を買って下さい。」と大声を出したので、父親である王さまは、門番に、「おい、あの子どもをここへ連れてこい。なんと言っているのだ。今すぐに連れてこい。」と言ったので、連れて来た。王様が、「お前は、まだ小さな子のくせに。屁をしない薬というものがあるか。」と言ったら、この子は、「屁をしない薬がないのなら、どうして、私の母は屁をしたからといって、城を追い出したのか。」と言った。そうして、この男の子に問いつめられたらもう男の子が、自分の子になっているでしょう。王様が、それから、「どこに住んでいるのか。」と聞くと、子どもは、「どこどこに、母親と二人で暮らしています。」と答え、それでこの子はお城で立派にしたくをさせ、また、母親の着物も全部準備して、お供の人たちと一緒に母親を連れに行かせたらね、母親はちょうど死装束を織っていたそうだ。そしてお城から迎えが来たころ、死装束に着替えて、その布のまま、布を着たまま、布を持ったまま死に、その死体は久高島に流れついたそうだ。その時から久高島は神々しいと言われるようになったんだ。神々しい所なので、久高島では、クシャミもできないって。今でもクシャミをしたらクスクェー(糞くらえ)と言ってはいけないそうだ。神々しい所なので。それで、その子はね、残念がって、またお供の人たちと首里城にもどったそうだ。 |
| 全体の記録時間数 | 4:15 |
| 物語の時間数 | 4:15 |
| 言語識別 | 方言 |
| 音源の質 | △ |
| テープ番号 | - |
| 予備項目1 | - |