イナタラは平良の金持ちでオファーギマスという人の家に使われていた。小さい頃に母親に死別し一人ぽっちだった。オファーギマスは、ある日、大きな盥に水をいっぱい入れて、自分の息子と二人、水鏡をのぞかせる。するとイナタラの姿は、誰かが傘を差し掛けているのが映っていた。これは自分を滅ぼす男になると思ったオファーギマスは、イナタラを八重山へ島流しにする。イナタラは八重山の山野を開墾して、自分の土地を耕し、たくさんの粟を作り、大変な実りになった。イナタラは一人で山の中で小屋を建てて住んでいた。ある日、二人の美しい姉妹が、水を汲んでの帰り畑の側を通っていて、見事に実った粟を見て、姉の方が「このような畑を作れる人と結婚して、この粟を食べてみたいものだ」と言う。そのことを聞いて妹が父親に話す。すると父親は怒って娘を家から追い出し、イナタラを呼んで、この女はお前の妻か、と聞く。イナタラは「いや違う」と答える。イナタラと結婚すると言い張る娘には、イナタラの頭が金色に輝いて見えた。畑も全部黄金だった。娘がどうしてもイナタラと結婚すると言うので、その父親はイナタラを殺そうと思い、バラの花のハチマキとバラの縄で帯をさせ、沖縄の御主の所へ連れて行って、「夜も昼も田を耕させ、また薪割などをさせて、一生こき使ってくれ」とあずける。。イナタラの妻は黄金をクバの葉に包んでそれを夫の首に掛け、「これは誰にも見せてはいけない。昼夜ずっと首に掛けて田を耕しなさい」と教える。御主は、イナタラが休みもせず、死に物狂いで働いているのを見て、これは普通の人間ではない。神様かも、と思う。ある日、たくさんの薪を割るように言い付けると、イナタラは一日中休まずに薪を割り続ける。ますます不思議に思った御主は、イナタラを呼んで「あんたは何者だ」と聞く。イナタラは「ここに連れてきた人の婿です」と答える。また御主は、「その首に掛けているもの何か」と聞くと、「妻が出掛ける時に糊を包んで掛けてくれた」と話す。御主は、この男はただ者ではないと思い、「あんたは八重山の御主になりなさい」と言う。ところがイナタラはそれを断わって、父親である八重山の御主のプヤク(助役)になると言う。御主はイナタラにきれいな着物やハチマキなどを与えて、これを着て国に帰りなさい」と言う。父親を先に帰し、イナタラは立派に着飾って、船も飾り立て八重山へ帰っていった。島ではムティアガラと褒められ、盛大に迎えられた、その後、イナタラは子供の頃世話になった平良の家々を訪ね、みんなに黄金を分けて与えた。そして八重山でも貧しい人々に温かい手を差しのべた。それで、この人は神様だとみんなから尊敬され、崇められたという。
| レコード番号 | 47O235370 |
|---|---|
| CD番号 | 47O23C284 |
| 決定題名 | イナタラの話(方言) |
| 話者がつけた題名 | - |
| 話者名 | 西原マツ |
| 話者名かな | にしはらまつ |
| 生年月日 | 19010413 |
| 性別 | 女 |
| 出身地 | 伊良部村仲地 |
| 記録日 | 19760725 |
| 記録者の所属組織 | 沖縄国際大学口承研 |
| 元テープ番号 | 伊良部T38A03 |
| 元テープ管理者 | 沖縄伝承話資料センター |
| 分類 | 伝説 |
| 発句(ほっく) | - |
| 伝承事情 | - |
| 文字化資料 | - |
| キーワード | イナタラ,平良の金持ち,オファーギマス,母親に死別,水鏡,自分を滅ぼす男,八重山へ島流し,二人の美しい姉妹,黄金,バラの花のハチマキ,バラの縄で帯,神様,八重山の御主 |
| 梗概(こうがい) | イナタラは平良の金持ちでオファーギマスという人の家に使われていた。小さい頃に母親に死別し一人ぽっちだった。オファーギマスは、ある日、大きな盥に水をいっぱい入れて、自分の息子と二人、水鏡をのぞかせる。するとイナタラの姿は、誰かが傘を差し掛けているのが映っていた。これは自分を滅ぼす男になると思ったオファーギマスは、イナタラを八重山へ島流しにする。イナタラは八重山の山野を開墾して、自分の土地を耕し、たくさんの粟を作り、大変な実りになった。イナタラは一人で山の中で小屋を建てて住んでいた。ある日、二人の美しい姉妹が、水を汲んでの帰り畑の側を通っていて、見事に実った粟を見て、姉の方が「このような畑を作れる人と結婚して、この粟を食べてみたいものだ」と言う。そのことを聞いて妹が父親に話す。すると父親は怒って娘を家から追い出し、イナタラを呼んで、この女はお前の妻か、と聞く。イナタラは「いや違う」と答える。イナタラと結婚すると言い張る娘には、イナタラの頭が金色に輝いて見えた。畑も全部黄金だった。娘がどうしてもイナタラと結婚すると言うので、その父親はイナタラを殺そうと思い、バラの花のハチマキとバラの縄で帯をさせ、沖縄の御主の所へ連れて行って、「夜も昼も田を耕させ、また薪割などをさせて、一生こき使ってくれ」とあずける。。イナタラの妻は黄金をクバの葉に包んでそれを夫の首に掛け、「これは誰にも見せてはいけない。昼夜ずっと首に掛けて田を耕しなさい」と教える。御主は、イナタラが休みもせず、死に物狂いで働いているのを見て、これは普通の人間ではない。神様かも、と思う。ある日、たくさんの薪を割るように言い付けると、イナタラは一日中休まずに薪を割り続ける。ますます不思議に思った御主は、イナタラを呼んで「あんたは何者だ」と聞く。イナタラは「ここに連れてきた人の婿です」と答える。また御主は、「その首に掛けているもの何か」と聞くと、「妻が出掛ける時に糊を包んで掛けてくれた」と話す。御主は、この男はただ者ではないと思い、「あんたは八重山の御主になりなさい」と言う。ところがイナタラはそれを断わって、父親である八重山の御主のプヤク(助役)になると言う。御主はイナタラにきれいな着物やハチマキなどを与えて、これを着て国に帰りなさい」と言う。父親を先に帰し、イナタラは立派に着飾って、船も飾り立て八重山へ帰っていった。島ではムティアガラと褒められ、盛大に迎えられた、その後、イナタラは子供の頃世話になった平良の家々を訪ね、みんなに黄金を分けて与えた。そして八重山でも貧しい人々に温かい手を差しのべた。それで、この人は神様だとみんなから尊敬され、崇められたという。 |
| 全体の記録時間数 | 7:52 |
| 物語の時間数 | 7:41 |
| 言語識別 | 方言 |
| 音源の質 | △ |
| テープ番号 | - |
| 予備項目1 | - |