昔、オンガン長老という和尚さんが大きい猫を養っていた。その頃、葬式のとき墓まで行く間に、棺の中に猫が入って、骨だけ残して死者を食べた。どこから入るのかわからなかった。ある日、和尚さんのおばが死んだ。時間が遅いので、葬式は翌日することになった。和尚さんが猫と一緒に夕飯を食べていると、誰かが門の方で猫を呼んでいた。猫は出ていってしばらく入ってこなかった。和尚さんが何の為に呼ばれたか猫に聞くと、「明日、葬式があるから死体を食いに行こうと誘われた」という。でも猫は、「それは和尚さんのおばさんだから、食べるわけにはいかない。あなたたちだけ行きなさい」と断わって来たと話した。和尚さんが、一体、お前たちはいつ棺の中に入るのかと聞くと、猫は、「村はずれで棺桶に雲がかかるように暗くなったときに入り、墓の近くでまたそうなったときに出る。和尚さんはお経を読みながら、必ずナギナタを持って行き、ガンをガバーンと叩け」と教えた。葬式のとき、言われたとおりお経を読みながら行くと、村はずれで猫のいうとおりになった。和尚さんは教えられたとおり、ナギナタでガンを叩いた。人はみな、怖い葬式だと言った。墓で開けてみると、死体はそのままで、棺の中に猫が三匹死んでいた。それ以来、ガンの頭に白い丸印をつけて、その和尚さんがついていることをあらわし、葬式の人にはナギナタの作り物を持たせるようにした。
レコード番号 | 47O234737 |
---|---|
CD番号 | 47O23C246 |
決定題名 | 猫檀家(共通語) |
話者がつけた題名 | 猫が死者を食べる話 |
話者名 | 佐和田カニ |
話者名かな | さわだかに |
生年月日 | 19001210 |
性別 | 女 |
出身地 | 伊良部村佐和田 |
記録日 | 19760329 |
記録者の所属組織 | 沖縄国際大学口承研 |
元テープ番号 | 伊良部T06A09 |
元テープ管理者 | 沖縄伝承話資料センター |
分類 | 本格昔話 |
発句(ほっく) | - |
伝承事情 | - |
文字化資料 | - |
キーワード | オンガン長老,猫,葬式,棺 |
梗概(こうがい) | 昔、オンガン長老という和尚さんが大きい猫を養っていた。その頃、葬式のとき墓まで行く間に、棺の中に猫が入って、骨だけ残して死者を食べた。どこから入るのかわからなかった。ある日、和尚さんのおばが死んだ。時間が遅いので、葬式は翌日することになった。和尚さんが猫と一緒に夕飯を食べていると、誰かが門の方で猫を呼んでいた。猫は出ていってしばらく入ってこなかった。和尚さんが何の為に呼ばれたか猫に聞くと、「明日、葬式があるから死体を食いに行こうと誘われた」という。でも猫は、「それは和尚さんのおばさんだから、食べるわけにはいかない。あなたたちだけ行きなさい」と断わって来たと話した。和尚さんが、一体、お前たちはいつ棺の中に入るのかと聞くと、猫は、「村はずれで棺桶に雲がかかるように暗くなったときに入り、墓の近くでまたそうなったときに出る。和尚さんはお経を読みながら、必ずナギナタを持って行き、ガンをガバーンと叩け」と教えた。葬式のとき、言われたとおりお経を読みながら行くと、村はずれで猫のいうとおりになった。和尚さんは教えられたとおり、ナギナタでガンを叩いた。人はみな、怖い葬式だと言った。墓で開けてみると、死体はそのままで、棺の中に猫が三匹死んでいた。それ以来、ガンの頭に白い丸印をつけて、その和尚さんがついていることをあらわし、葬式の人にはナギナタの作り物を持たせるようにした。 |
全体の記録時間数 | 4:33 |
物語の時間数 | 4:14 |
言語識別 | 共通語 |
音源の質 | ◎ |
テープ番号 | - |
予備項目1 | - |