これは自給自足の波照間での出来事だけど、ある百姓が昼は畑仕事やって夜は毎日舟で出て行って魚を釣るのを楽しんで生活をしておったというんですよ。その晩は月夜で舟で釣りに出掛けたらあんまり釣れなかったが、エイが釣れたから舟にあげて仰向けにして置いたというんですよ。すると仰向けにしてあるそのエイがですね、なんだか目をきょろきょろして非常にその男を欲しそうな目つきであったというんです。このエイの穴は女のと似ているわけなんですね。男はそのエイの穴を見てですね、自分のものが立ったらしいですね。男はたまらんですね。誰も見る人もいないからこれにですね、自分のを入れてエイと愛し合ったらしいです。もうそうなったら家に持ち帰って食べられんでしょ。「これは家に持ちことは出来ないから、帰してやろう。」と食べられんから、釣り針も解いて、これをまた舟から降ろして放してやったらしいんですよ。それから後、それは何年たったか、「こっちがよう釣れる場所だ。」と同じところに錨を降ろしてまた魚を釣ろうとしておるうちに、「お父さん、お父さん。」という呼び声が向こうからするらしいんですよ。「これは不思議だな。どうして海でお父さんという声がするのか。」と思っていると、また、「お父さん、お父さん。」と呼ぶらしいですよ。「誰が呼んでいるか。」と見たら、その舟の側にはエイの子が何匹か分からんほどいてね、「お母さんがお父さんを呼んでいらっしゃいと言ってますよ。」と言うもんで、「そうか。」と言うと、エイの子が何べんもその舟の側に寄ってきてですね、「お母さんが家にいらっしゃいとおっしゃってますよ。」と言うから、「どうして行くか。」と言うと、「いや、私達が案内します。」って案内されて行ったのが島からちょっと離れた何か御殿みたいのがある龍宮みたいなところで、そこに行ったら色々御馳走なんかも出たり宝物も見せたりして本当にものすごい歓待ぶりだったらしいんですよ。だから、長らくそこで遊ぶだけ遊んでいるうちに、また島におる妻のことも思い出して、「妻も心配しておるはずだ。自分は帰らなくてはならん。」と言って相談したら、エイのお母さんが、魔法の壺を持って来て、「じゃ、この魔法の壺を持って帰りなさい。」と言ってその親父に壺をあげたらしいですよ。「これはどうしてやるか。」と言ったらね、「この魔法の壺に声をかけるとね、自分の望みのものは酒でも美味しいものでも何でも自分の望みのもの出てくるから自由に使ってください。」と。「いやあ、ありがとう。」と言って、その魔法の壺というのをですね、持って帰って来たらしいですよ。奥さんは何日も行方が分からなかった夫が帰ってきたから、喜んで毎日美味しい弁当を作って畑にその持たすっていうんだよ。夫は、その魔法の壺を奥さんに見せたら喧嘩になりますからね、だから、「これは絶対に秘密にしよう。」と畑に持って行って、畑でね、毎日昼飯の時間になるとその魔法の壺から御馳走なんかを出して食べたから、その奥さんが作ってくれた弁当は何も食べない。から夕方奥さんが弁当をあけてみると、毎日全然食べもしないで家に帰ってくるらしいんですよ。奥さんは、「あんなにおいしいのをその作ってやったのに。これは今度は昼飯の時間に隠れて見ないといけないな。」とあんまり不思議でたまらんからね、昼飯の時間に行って隠れて見るとねえ、奥さんの作った弁当はそばに置いて、自分の前にどんどんおいしい御馳走をたっぷり出して食べておったらしいですよ。それを見た奥さんは、「こりゃ大変だ。」と思ってですね、急に行って、「こりゃ何か。」ってどなりつけたらしいですよ。すると夫は驚いてしまって、あわてていたら、そのとき奥さんは、夫が出していたおいしいものばっかりに目をつけておって、壺には目を付けてないから、夫は、奥さんに知らんれんように魔法の壺を田圃(たんぼ)の畦(あぶ)の吸い込み〔排水口〕に隠したらしいですよ。それから後はですね、奥さんに見つかるから、吸い込みに隠した壺からは、しばらくは御馳走も出さないでおったら、後で、またこの壺を探そうとしたが、探せなくてその吸い込みからどこに消えたのか謎になったというお話がある。これはこっちでの話。
| レコード番号 | 47O201369 |
|---|---|
| CD番号 | 47O20C068 |
| 決定題名 | エイ女房(共通語) |
| 話者がつけた題名 | - |
| 話者名 | 勝連文雄 |
| 話者名かな | かつれんふみお |
| 生年月日 | 19170518 |
| 性別 | 男 |
| 出身地 | 沖縄県八重山郡竹富町波照間 |
| 記録日 | 19950911 |
| 記録者の所属組織 | 竹富町口承文芸学術調査団 |
| 元テープ番号 | 竹富町字波照間T22B02 |
| 元テープ管理者 | 沖縄伝承話資料センター |
| 分類 | 本格昔話 |
| 発句(ほっく) | - |
| 伝承事情 | - |
| 文字化資料 | - |
| キーワード | 龍宮,壺,畑の穴 |
| 梗概(こうがい) | これは自給自足の波照間での出来事だけど、ある百姓が昼は畑仕事やって夜は毎日舟で出て行って魚を釣るのを楽しんで生活をしておったというんですよ。その晩は月夜で舟で釣りに出掛けたらあんまり釣れなかったが、エイが釣れたから舟にあげて仰向けにして置いたというんですよ。すると仰向けにしてあるそのエイがですね、なんだか目をきょろきょろして非常にその男を欲しそうな目つきであったというんです。このエイの穴は女のと似ているわけなんですね。男はそのエイの穴を見てですね、自分のものが立ったらしいですね。男はたまらんですね。誰も見る人もいないからこれにですね、自分のを入れてエイと愛し合ったらしいです。もうそうなったら家に持ち帰って食べられんでしょ。「これは家に持ちことは出来ないから、帰してやろう。」と食べられんから、釣り針も解いて、これをまた舟から降ろして放してやったらしいんですよ。それから後、それは何年たったか、「こっちがよう釣れる場所だ。」と同じところに錨を降ろしてまた魚を釣ろうとしておるうちに、「お父さん、お父さん。」という呼び声が向こうからするらしいんですよ。「これは不思議だな。どうして海でお父さんという声がするのか。」と思っていると、また、「お父さん、お父さん。」と呼ぶらしいですよ。「誰が呼んでいるか。」と見たら、その舟の側にはエイの子が何匹か分からんほどいてね、「お母さんがお父さんを呼んでいらっしゃいと言ってますよ。」と言うもんで、「そうか。」と言うと、エイの子が何べんもその舟の側に寄ってきてですね、「お母さんが家にいらっしゃいとおっしゃってますよ。」と言うから、「どうして行くか。」と言うと、「いや、私達が案内します。」って案内されて行ったのが島からちょっと離れた何か御殿みたいのがある龍宮みたいなところで、そこに行ったら色々御馳走なんかも出たり宝物も見せたりして本当にものすごい歓待ぶりだったらしいんですよ。だから、長らくそこで遊ぶだけ遊んでいるうちに、また島におる妻のことも思い出して、「妻も心配しておるはずだ。自分は帰らなくてはならん。」と言って相談したら、エイのお母さんが、魔法の壺を持って来て、「じゃ、この魔法の壺を持って帰りなさい。」と言ってその親父に壺をあげたらしいですよ。「これはどうしてやるか。」と言ったらね、「この魔法の壺に声をかけるとね、自分の望みのものは酒でも美味しいものでも何でも自分の望みのもの出てくるから自由に使ってください。」と。「いやあ、ありがとう。」と言って、その魔法の壺というのをですね、持って帰って来たらしいですよ。奥さんは何日も行方が分からなかった夫が帰ってきたから、喜んで毎日美味しい弁当を作って畑にその持たすっていうんだよ。夫は、その魔法の壺を奥さんに見せたら喧嘩になりますからね、だから、「これは絶対に秘密にしよう。」と畑に持って行って、畑でね、毎日昼飯の時間になるとその魔法の壺から御馳走なんかを出して食べたから、その奥さんが作ってくれた弁当は何も食べない。から夕方奥さんが弁当をあけてみると、毎日全然食べもしないで家に帰ってくるらしいんですよ。奥さんは、「あんなにおいしいのをその作ってやったのに。これは今度は昼飯の時間に隠れて見ないといけないな。」とあんまり不思議でたまらんからね、昼飯の時間に行って隠れて見るとねえ、奥さんの作った弁当はそばに置いて、自分の前にどんどんおいしい御馳走をたっぷり出して食べておったらしいですよ。それを見た奥さんは、「こりゃ大変だ。」と思ってですね、急に行って、「こりゃ何か。」ってどなりつけたらしいですよ。すると夫は驚いてしまって、あわてていたら、そのとき奥さんは、夫が出していたおいしいものばっかりに目をつけておって、壺には目を付けてないから、夫は、奥さんに知らんれんように魔法の壺を田圃(たんぼ)の畦(あぶ)の吸い込み〔排水口〕に隠したらしいですよ。それから後はですね、奥さんに見つかるから、吸い込みに隠した壺からは、しばらくは御馳走も出さないでおったら、後で、またこの壺を探そうとしたが、探せなくてその吸い込みからどこに消えたのか謎になったというお話がある。これはこっちでの話。 |
| 全体の記録時間数 | 9:21 |
| 物語の時間数 | 8:34 |
| 言語識別 | 共通語 |
| 音源の質 | △ |
| テープ番号 | - |
| 予備項目1 | - |