走馬蟹(はらまいがん)は走るのが速いと自慢(じまん)していた。それを聞いた蛙が走馬蟹(はらまいがん)に言った。「お前は一番走るのが速いと自慢しているが、俺も速いよ。いつか俺と勝負をしよう。」と言った。走馬蟹(はらまいがん)は、蛙なんかに負けないと思ったから、「あ、いいよ。」と言った。蛙は、「それじゃ、今度の十五夜の晩に勝負しよう。」と言うと走馬蟹(はらまいがん)も承知した。十五夜の日を待っていると、きれいな十五夜の満月が出たので蛙は走馬蟹(はらまいがん)がいる浜に出掛けて行った。砂浜では、走馬蟹(はらまいがん)が待っていた。蛙は、「はい、今日は素晴(すば)らしい月夜で天気もいい。さあ、勝負しよう。」と言った。最初は走馬蟹(はらまいがん)が蛙を背中に乗せて走ることになった。走馬蟹(はらまいがん)は、日ごろ自慢しているだけあって、蛙を背中に乗せると砂浜の砂の上をササササ、ササササと目が廻るほどの速さで走った。蛙は、走馬蟹(はらまいがん)の背中から降りると、「ああ、いい気持ちだった。なるほどお前が速く走るな。」と言って走馬蟹(はらまいがん)を褒(ほ)めた。今度はまた蛙が走馬蟹(はらまいがん)を背中に載(の)せて走ることになった。「さあ、俺の背中に乗りなさい。今度は俺(おれ)が走ってみせる。だけど、俺が一回跳び上がると、ずうっと向こうまでバー、バーと跳び上がるから、下を見ているとひっくり返ってお前の命が危(あぶ)なくなる。だから、どんなことがあっても下を見るなよ。俺が跳び上がったら、お前は天の月を見ているんだぞ。」と言った。走馬蟹(はらまいがん)はどこも見ないで月だけを見ていた。すると雲が月の近くをサアーッと流れて行くので、それを見た走馬蟹(はらまいがん)は、蛙が目が廻るほど速く走っているように思っていた。やがて蛙は、「ああ、疲れた。降りてくれ。」と言うから走馬蟹(はらまいがん)が降りて見たら、そこは乗った所と同じ所だった。蛙は走ったふりをしただけで、少しも走っていなかったので、走馬蟹(はらまいがん)は怒って、蛙の腰の骨を鋏(はさみ)で挟んで、パチャリと折った。だから、蛙の腰は今も曲(まが)っている。
| レコード番号 | 47O201856 |
|---|---|
| CD番号 | 47O20C101 |
| 決定題名 | 蛙と蟹の話(方言) |
| 話者がつけた題名 | - |
| 話者名 | 大久真徳 |
| 話者名かな | だいくしんとく |
| 生年月日 | 18941018 |
| 性別 | 男 |
| 出身地 | 沖縄県八重山郡竹富町小浜 |
| 記録日 | 19750808 |
| 記録者の所属組織 | 沖縄県口承文芸学術調査団 |
| 元テープ番号 | 竹富町字小浜T46A02 |
| 元テープ管理者 | 沖縄伝承話資料センター |
| 分類 | 動物昔話 |
| 発句(ほっく) | - |
| 伝承事情 | - |
| 文字化資料 | - |
| キーワード | 走馬蟹,十五夜,競走 |
| 梗概(こうがい) | 走馬蟹(はらまいがん)は走るのが速いと自慢(じまん)していた。それを聞いた蛙が走馬蟹(はらまいがん)に言った。「お前は一番走るのが速いと自慢しているが、俺も速いよ。いつか俺と勝負をしよう。」と言った。走馬蟹(はらまいがん)は、蛙なんかに負けないと思ったから、「あ、いいよ。」と言った。蛙は、「それじゃ、今度の十五夜の晩に勝負しよう。」と言うと走馬蟹(はらまいがん)も承知した。十五夜の日を待っていると、きれいな十五夜の満月が出たので蛙は走馬蟹(はらまいがん)がいる浜に出掛けて行った。砂浜では、走馬蟹(はらまいがん)が待っていた。蛙は、「はい、今日は素晴(すば)らしい月夜で天気もいい。さあ、勝負しよう。」と言った。最初は走馬蟹(はらまいがん)が蛙を背中に乗せて走ることになった。走馬蟹(はらまいがん)は、日ごろ自慢しているだけあって、蛙を背中に乗せると砂浜の砂の上をササササ、ササササと目が廻るほどの速さで走った。蛙は、走馬蟹(はらまいがん)の背中から降りると、「ああ、いい気持ちだった。なるほどお前が速く走るな。」と言って走馬蟹(はらまいがん)を褒(ほ)めた。今度はまた蛙が走馬蟹(はらまいがん)を背中に載(の)せて走ることになった。「さあ、俺の背中に乗りなさい。今度は俺(おれ)が走ってみせる。だけど、俺が一回跳び上がると、ずうっと向こうまでバー、バーと跳び上がるから、下を見ているとひっくり返ってお前の命が危(あぶ)なくなる。だから、どんなことがあっても下を見るなよ。俺が跳び上がったら、お前は天の月を見ているんだぞ。」と言った。走馬蟹(はらまいがん)はどこも見ないで月だけを見ていた。すると雲が月の近くをサアーッと流れて行くので、それを見た走馬蟹(はらまいがん)は、蛙が目が廻るほど速く走っているように思っていた。やがて蛙は、「ああ、疲れた。降りてくれ。」と言うから走馬蟹(はらまいがん)が降りて見たら、そこは乗った所と同じ所だった。蛙は走ったふりをしただけで、少しも走っていなかったので、走馬蟹(はらまいがん)は怒って、蛙の腰の骨を鋏(はさみ)で挟んで、パチャリと折った。だから、蛙の腰は今も曲(まが)っている。 |
| 全体の記録時間数 | 2:10 |
| 物語の時間数 | 2:04 |
| 言語識別 | 方言 |
| 音源の質 | ○ |
| テープ番号 | - |
| 予備項目1 | - |