根原金人(共通語)

概要

 それで、この人はね、物凄い力持ちで、頭もいいから、竹富島は小さいから、もうなんでも権力でね、自分の物にしようとして、与那国島はほら山あり川ありでね、ちょっと大きいでしょ。だから、「こんな小さい島ではね、自分の思うように出来ない。あの与那国島をなんとかして自分の物にしよう。」と思ったらしいですね。それで、与那国島に行ってね、与那国の人と戦争して勝ってるんですよ。それから、与那国の女をまあ彼女に娶って、与那国で生活したり竹富に帰ったりしとったら、もう与那国の人は、やっぱし、根原
金人を悪者と思っているわけさね。「あの人がいたら与那国の島はいつかはあれにみんな占領されるから、この与那国の島は無くなる。」と大変心配してよ。この根原金人の彼女にね、昔の簪を渡して、「与那国を助けると思ったら、これが来たらね、一緒に寝た時にね、この簪で突いて殺しなさい。そしたら、殺してくれたら、あんた死んだ後は、ずうっとあんたを神様として祭ってあげるよ。」と部落からの頼みだったらしいね。で、この彼女は、やっぱしね、自分の旦那だから相当苦しんだんだろうけど、だけど自分の島とは代えられないと思ったんじゃないですか。それで自分で、この簪(かんざし)で根原金人が寝たところを突っ突いたとかしてから殺したらしいですよね。毒を盛りなさいって言われて毒殺したとかとも言いますよ。
 そしたら、根原金人は、殺されているけど、すぐ外に出た勢いで、ばんと立って、それも立ったまま死んでたらしいんですよ。それから、もう一週間とか倒れなかったって。倒れないでいたらね、もうお腹の中から、ずうっと蛆が湧いてからね、目からも鼻からも口からも、蛆がどんどん体内から出てね。ばらばらとこう落ちたから、与那国の人はもうびっくりしてよ、根原金人が、お米を齧ってると思ったんだって。「見てご覧この人は、殺されとってもね、あんなにお米噛んでる。」って言って、与那国の人がびっくりしとったけど、一週間か十日ぐらいで倒れたらしいですよね。そして、この彼女は今でも、約束通りちゃんと宮になって神様として祭ってあるというけど、この根原金人は、あそこで倒れてあっちの与那国で埋まってて、そのまま人に踏まれているもんだから、後でね、随分ね、この竹富島にね、祟りがあったらしい。何年前ですかね、その頃は、私なんか台湾に居てわからんかったけど、この島の草木がみんな枯れてね、大変な餓死と不景気になったから、「これはなにかある。」と言ってこっちの古老たちがユタに行ったりしたらしい。そ
したら、「これは、この根原金殿(ネーレカンドゥ)がね、自分の島に帰りたいと言っている。向こうの与那国島からこの根原金人(ねはらかんどぅ)の骨を拾って竹富島に持って来ないと、竹富島はうかばれん。」と言うことで、根原金殿の遺骨をこっちへ御供しないといけないちゅうことで、こちの神司と島の親方、顧問たちが行ってね、もう何百年もなってるから、捜すのも難しかったでしょうけど、向こうでちゃんと捜して、皆で祈願して御供して来たという話だったんです。それで、今は、根原金殿の遺骨といってから、あそこの根原家にあるです。
根原金人(ねはらかんどぅ)は大男でね、お家はこっちから行ったとこにありますけど、もう力持ちだったらしいですね。この人がこの島の種取り祭を建てたんですよ。種取り祭は、この人が与那国に行く前にあれしたんじゃないかね。だから、種取り種取り祭にはね、ユークイって言ってお宮で踊りしますでしょ。お宮から来たら、一番最初この根原に行って、皆で銅鑼太鼓叩いて、みんなこの銘々の三か部落に別れて行って、ずうっとみんな竹富の家を一軒一軒回るんですけどね、また最後に根原金人の家に行って集まって、それからまた、そこからまたあの御嶽に踊りしにいくですよ。
・ユタ‥‥ 神ががりなどの状態で神霊や死霊など、超自然的存在と直接に接触・交流し、託宣、ト占.病気治療などを行う呪術・宗教的職能者。ユタの関与する領域は、病気や不幸・幸運などの原因判断とその除去、位牌や墓、先祖の祭祀に関する疑問や不審、適否の判断など様々で、人々の生活と信仰の前半に幅広く密着し大きな位置を占めている。・司‥‥宮古・八重山の御嶽を守る神女の一般的呼称。個々の御嶽の司祭者である。・神司‥‥女神職のこと。既婚、未婚を問わず、女子として十分な教養を身につけ、女としての豊かな経験を積み、氏子(御嶽を中心とした一族のこと。)の信頼の厚い女子が継承していく。

再生時間:5:20

民話詳細DATA

レコード番号 47O200320
CD番号 47O20C019
決定題名 根原金人(共通語)
話者がつけた題名
話者名 細原千代
話者名かな ほそはらちよ
生年月日 19200124
性別
出身地 沖縄県八重山郡竹富町字竹富
記録日 19950910
記録者の所属組織 沖縄口承文芸学術調査団
元テープ番号 竹富町字竹富T26A07
元テープ管理者 沖縄伝承話資料センター
分類 伝説
発句(ほっく)
伝承事情
文字化資料
キーワード 与那国,蛆,米,大男
梗概(こうがい)  それで、この人はね、物凄い力持ちで、頭もいいから、竹富島は小さいから、もうなんでも権力でね、自分の物にしようとして、与那国島はほら山あり川ありでね、ちょっと大きいでしょ。だから、「こんな小さい島ではね、自分の思うように出来ない。あの与那国島をなんとかして自分の物にしよう。」と思ったらしいですね。それで、与那国島に行ってね、与那国の人と戦争して勝ってるんですよ。それから、与那国の女をまあ彼女に娶って、与那国で生活したり竹富に帰ったりしとったら、もう与那国の人は、やっぱし、根原 金人を悪者と思っているわけさね。「あの人がいたら与那国の島はいつかはあれにみんな占領されるから、この与那国の島は無くなる。」と大変心配してよ。この根原金人の彼女にね、昔の簪を渡して、「与那国を助けると思ったら、これが来たらね、一緒に寝た時にね、この簪で突いて殺しなさい。そしたら、殺してくれたら、あんた死んだ後は、ずうっとあんたを神様として祭ってあげるよ。」と部落からの頼みだったらしいね。で、この彼女は、やっぱしね、自分の旦那だから相当苦しんだんだろうけど、だけど自分の島とは代えられないと思ったんじゃないですか。それで自分で、この簪(かんざし)で根原金人が寝たところを突っ突いたとかしてから殺したらしいですよね。毒を盛りなさいって言われて毒殺したとかとも言いますよ。  そしたら、根原金人は、殺されているけど、すぐ外に出た勢いで、ばんと立って、それも立ったまま死んでたらしいんですよ。それから、もう一週間とか倒れなかったって。倒れないでいたらね、もうお腹の中から、ずうっと蛆が湧いてからね、目からも鼻からも口からも、蛆がどんどん体内から出てね。ばらばらとこう落ちたから、与那国の人はもうびっくりしてよ、根原金人が、お米を齧ってると思ったんだって。「見てご覧この人は、殺されとってもね、あんなにお米噛んでる。」って言って、与那国の人がびっくりしとったけど、一週間か十日ぐらいで倒れたらしいですよね。そして、この彼女は今でも、約束通りちゃんと宮になって神様として祭ってあるというけど、この根原金人は、あそこで倒れてあっちの与那国で埋まってて、そのまま人に踏まれているもんだから、後でね、随分ね、この竹富島にね、祟りがあったらしい。何年前ですかね、その頃は、私なんか台湾に居てわからんかったけど、この島の草木がみんな枯れてね、大変な餓死と不景気になったから、「これはなにかある。」と言ってこっちの古老たちがユタに行ったりしたらしい。そ したら、「これは、この根原金殿(ネーレカンドゥ)がね、自分の島に帰りたいと言っている。向こうの与那国島からこの根原金人(ねはらかんどぅ)の骨を拾って竹富島に持って来ないと、竹富島はうかばれん。」と言うことで、根原金殿の遺骨をこっちへ御供しないといけないちゅうことで、こちの神司と島の親方、顧問たちが行ってね、もう何百年もなってるから、捜すのも難しかったでしょうけど、向こうでちゃんと捜して、皆で祈願して御供して来たという話だったんです。それで、今は、根原金殿の遺骨といってから、あそこの根原家にあるです。 根原金人(ねはらかんどぅ)は大男でね、お家はこっちから行ったとこにありますけど、もう力持ちだったらしいですね。この人がこの島の種取り祭を建てたんですよ。種取り祭は、この人が与那国に行く前にあれしたんじゃないかね。だから、種取り種取り祭にはね、ユークイって言ってお宮で踊りしますでしょ。お宮から来たら、一番最初この根原に行って、皆で銅鑼太鼓叩いて、みんなこの銘々の三か部落に別れて行って、ずうっとみんな竹富の家を一軒一軒回るんですけどね、また最後に根原金人の家に行って集まって、それからまた、そこからまたあの御嶽に踊りしにいくですよ。 ・ユタ‥‥ 神ががりなどの状態で神霊や死霊など、超自然的存在と直接に接触・交流し、託宣、ト占.病気治療などを行う呪術・宗教的職能者。ユタの関与する領域は、病気や不幸・幸運などの原因判断とその除去、位牌や墓、先祖の祭祀に関する疑問や不審、適否の判断など様々で、人々の生活と信仰の前半に幅広く密着し大きな位置を占めている。・司‥‥宮古・八重山の御嶽を守る神女の一般的呼称。個々の御嶽の司祭者である。・神司‥‥女神職のこと。既婚、未婚を問わず、女子として十分な教養を身につけ、女としての豊かな経験を積み、氏子(御嶽を中心とした一族のこと。)の信頼の厚い女子が継承していく。
全体の記録時間数 5:38
物語の時間数 5:20
言語識別 共通語
音源の質
テープ番号
予備項目1

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