西塘(共通語)

概要

この西塘さんの話は、四百二十年位前だったかな。やっぱし役人が沖縄からこうこっち治めに来るんですよね。そしたら、あの頃はもう本当に百姓さんしかいないから、「役人が来たあ。」と皆逃げるらしいですよね。だけど、この西塘という人だけは、知らん顔してからブランコに乗って遊んでいたところ役人がね、「なんであんたは役人が来ても怖くないの。なんで逃げない。」って尋ねたから、「自分はね、何も怖くない。」ってから、「じゃ、あんたはおりこうだ。」っと言って、沖縄から来た役人がお煎餅と言う人もおるし、蜜柑と言う人もおるがね、「じゃああんたに褒美をあげる。」って言って、お煎餅を役人が西塘さんにあげたら、ふっと二つに割ってね、同じ煎餅をこれ食べたり、これ食べたりしたらしいですね。そしたら役人が、「あんたこの右の手と左の手の煎餅とは、どれがおいしいか。」と言ったら、この子供は、お煎餅置いて、ぱちっと手たたいて、「どっちが多く鳴ったか。」って言ったって。そしたら、この煎餅も二つに折って食っているんだから、どっちがおいしいか分からんでしょ。また両手を叩いて手が鳴ったらどれが多く鳴ったか分からんでしょう。だから、そう言われたから役人の方が、顔負けしてよ、「これはもうこんな田舎の百姓の子なのに、大変な子供だ。」と驚いて、役人は沖縄に帰ったんだそうです。
 その頃、首里城の石垣が築かれていたでしょ。その首里城の石垣は、なんべんもなんべんもね、どんどん築くけどね、崩れてばっかりおって成功しないらしいのよね。あれが上手、これが上手って、そう言うから築かせているけど、崩れてばっかりおるから、首里の役人が、「ああ、そうだ何十年前に竹富島に行った時に、こういう子供がおったけど、あの子は、今頃はもう二十歳位になって、立派な青年になっているはずだから、あの子だったらきっと素晴らしく積むだろう。」と言ってね、こっちにわざわざまた来たらね、その頃は、この西塘さんは、もう十九か二十歳位になっていたから、首里の役人は、西塘さんを一緒に連れて行って、西塘さんに首里城の石垣を積ませたんです。もうそれがね、西塘さんは、石垣をこう屏風型にずうっと築かれてまして完成させたんです。この西塘さんが築いた首里城の石垣は、戦争で破壊されたけど、戦争前まであったんですよ。また、首里の園比屋武御嶽(そなやんうたき)って首里城に入るこっちにあるよね。西塘さんは、首里城築いたから、その園比屋武御嶽(そなやんうたき)にもちゃんと祀られているですよね。
 それで、向こうにいらしてから首里城築いていて、もう長いことなって、どんどん歳をとって二五、六年ぐらいになったでしょう。そしたら、もう首里城の王様が、役をくれたわけさね。そして役をもらって、しばらくあっちにおるうちに、西塘さんは、こっちでね、結婚して男の子供一人作ってから首里に行っとるけど、もう長く年月になって、向こうでもう役人になったもんだから、賄いのお世話をする女の方がちゃんとおったんでしょ。そしたらこれが彼女になったさね。そいでこの人は、首里の王から、「八重山を守りなさい。」と八重山の初代の町長みたいな役をもらってこっちに帰っていらしたって。

再生時間:7:55

民話詳細DATA

レコード番号 47O200246
CD番号 47O20C014
決定題名 西塘(共通語)
話者がつけた題名
話者名 細原千代
話者名かな くまばらちよ
生年月日 19200124
性別
出身地 沖縄県八重山郡竹富町字竹富
記録日 19950322
記録者の所属組織 沖縄口承文芸学術調査団
元テープ番号 竹富町字竹富T3A03
元テープ管理者 沖縄伝承話資料センター
分類 伝説
発句(ほっく)
伝承事情
文字化資料 沖国大国文学科平成8度卒業論文 竹富島の民話 p49
キーワード 役人,蜜柑,煎餅,両手,園比屋武御嶽
梗概(こうがい) この西塘さんの話は、四百二十年位前だったかな。やっぱし役人が沖縄からこうこっち治めに来るんですよね。そしたら、あの頃はもう本当に百姓さんしかいないから、「役人が来たあ。」と皆逃げるらしいですよね。だけど、この西塘という人だけは、知らん顔してからブランコに乗って遊んでいたところ役人がね、「なんであんたは役人が来ても怖くないの。なんで逃げない。」って尋ねたから、「自分はね、何も怖くない。」ってから、「じゃ、あんたはおりこうだ。」っと言って、沖縄から来た役人がお煎餅と言う人もおるし、蜜柑と言う人もおるがね、「じゃああんたに褒美をあげる。」って言って、お煎餅を役人が西塘さんにあげたら、ふっと二つに割ってね、同じ煎餅をこれ食べたり、これ食べたりしたらしいですね。そしたら役人が、「あんたこの右の手と左の手の煎餅とは、どれがおいしいか。」と言ったら、この子供は、お煎餅置いて、ぱちっと手たたいて、「どっちが多く鳴ったか。」って言ったって。そしたら、この煎餅も二つに折って食っているんだから、どっちがおいしいか分からんでしょ。また両手を叩いて手が鳴ったらどれが多く鳴ったか分からんでしょう。だから、そう言われたから役人の方が、顔負けしてよ、「これはもうこんな田舎の百姓の子なのに、大変な子供だ。」と驚いて、役人は沖縄に帰ったんだそうです。  その頃、首里城の石垣が築かれていたでしょ。その首里城の石垣は、なんべんもなんべんもね、どんどん築くけどね、崩れてばっかりおって成功しないらしいのよね。あれが上手、これが上手って、そう言うから築かせているけど、崩れてばっかりおるから、首里の役人が、「ああ、そうだ何十年前に竹富島に行った時に、こういう子供がおったけど、あの子は、今頃はもう二十歳位になって、立派な青年になっているはずだから、あの子だったらきっと素晴らしく積むだろう。」と言ってね、こっちにわざわざまた来たらね、その頃は、この西塘さんは、もう十九か二十歳位になっていたから、首里の役人は、西塘さんを一緒に連れて行って、西塘さんに首里城の石垣を積ませたんです。もうそれがね、西塘さんは、石垣をこう屏風型にずうっと築かれてまして完成させたんです。この西塘さんが築いた首里城の石垣は、戦争で破壊されたけど、戦争前まであったんですよ。また、首里の園比屋武御嶽(そなやんうたき)って首里城に入るこっちにあるよね。西塘さんは、首里城築いたから、その園比屋武御嶽(そなやんうたき)にもちゃんと祀られているですよね。  それで、向こうにいらしてから首里城築いていて、もう長いことなって、どんどん歳をとって二五、六年ぐらいになったでしょう。そしたら、もう首里城の王様が、役をくれたわけさね。そして役をもらって、しばらくあっちにおるうちに、西塘さんは、こっちでね、結婚して男の子供一人作ってから首里に行っとるけど、もう長く年月になって、向こうでもう役人になったもんだから、賄いのお世話をする女の方がちゃんとおったんでしょ。そしたらこれが彼女になったさね。そいでこの人は、首里の王から、「八重山を守りなさい。」と八重山の初代の町長みたいな役をもらってこっちに帰っていらしたって。
全体の記録時間数 8:17
物語の時間数 7:55
言語識別 共通語
音源の質
テープ番号
予備項目1

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